和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第336話 】
2014年 07月 21日 談

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高松城水攻めで、清水宗治(むねはる)の最期を見届ける官兵衛

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の視聴率がウナギ登りとか! 和尚も毎回欠かさず視聴しています。それにしても、昨日放映された岡山高松城主・清水宗治の最期のシーンは素晴らしいものでした。あまりにも有名な秀吉の高松城水攻めに遭い、最終的には軍師官兵衛の和議の条件を受け入れて水上の小舟の中で切腹して果てたわけですが、最後の最後まで盟主・毛利公を裏切ることなく再三再四の織田方への協力要請を断り、武士としての仁義を貫きとおした清水宗治の真骨頂でもあります。

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清水宗治、最期のシーンは見ごたえがありました。

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母から言い伝えられたことですが、実は母方の祖先こそこの清水宗治だそうで、切腹後、秀吉がその息子・景冶を大名に取り立てるよう進言するも、父の遺言どおり毛利家の家臣として仕えましたが、関ヶ原の戦いの後、子孫の一部は信州松代・真田公に仕えたそうです。詳しくはわかりませんが、何処かで一度調べてみたいと思っています。本当に縁ほど不思議なものは有りませんね。400年も経てドラマ化されるのもまた摩訶不思議です。

さて、テレビの中で遠い祖先に出会いつつ、お盆の準備に入っています。きっと祖先の霊がいろいろな方法で武士の精神を今に伝え来ているのかもしれません。それにしても秀吉公が清水宗治に「日本一の武辺」との賛辞を贈ったといいますから、よほどの精神の持ち主だったと思います。その宗治の辞世の句「浮世をば 今こそ渡れ武士の 名を高松の苔に残して」。いまは亡き母の霊と共に、人間の生くるべき心を祖先が和尚に伝えて来ているのかもしれませんね。有難いことです。「南無観世音菩薩」友峰和尚より

 

 

友峰和尚のちょっといい話 【 第335話 】
2014年 07月 20日 談

大地を揺るがすほどの早朝の雷轟でした。同じ地域にお住まいの皆様もきっと飛び起きたことと思います。雷の過ぎ去ったあとは一転して静寂の中、すがすがしい風が境内を吹き抜けて行き、自然のダイナミックな営みを目の当たりにした感があります。

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荒木画伯のお兄様と姪御さんです

今日は日曜日。午前中から、昨日に引き続きギャラリー渓仙舎での「荒木芳栄個展」に多くの方々が見えています。なんと素晴らしいことでしょうか!ここ2、3日の天気予報は総じて雨もしくは豪雨が予想されるとのことでしたが、開催当日から今日まで摩訶不思議なことに、深夜に雨が降って、夜明けと同時に素晴らしいお天気になるというパターンとなっています。神仏のご加護と唯々感謝しています。

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片岡正明様ご夫妻 / 荒木芳栄個展にご来場くださいました。

和尚が常に感じ取ることがあります。それは、日頃からの御交誼によって全ての事が成り立っているという事実で、まさに当たり前のことであって当たり前のことではないという現実です。天も地も、人も物も、総べてのものが応援してくれています。

和尚の口癖「何者のおわしますかは知らねどもかたじけなさに涙こぼるる」ですね。実際のところは、自分の心がそのような御縁を導き出しているのかも知れません。仏道を行じる者として常に「無心、無碍」の実践を心がけていきたいと思います。真理はあるがままですね。

今日の晴天とともに多くの縁者が訪れてくれている大安禅寺、お盆の真っただ中、和尚はひたすら大いなる御霊に感謝の真を捧げる日々が続いています。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第334話 】
2014年 07月 19日 談

 

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「荒木芳栄個展」が始まりました! / 大安禅寺・渓仙舎にて

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荒木画伯と、ご主人のマーク・イゴネ氏

オープニングパーティに始まり、今日は大盛況の「荒木芳栄個展」開催でした。心配された雨予報も一転して青空の良いお天気となりました。本当に仏天のご加護の賜物です。昨日から個展が開催されたわけですが、今日は招待日とあって午後を過ぎた頃から続々とお客様が見え始め、1時過ぎにはギャラリーが満員となり有り難しの一言です。

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和尚の親戚の廣瀬様ご夫妻もわざわざ愛知県日進市より来ていただき、また岐阜市から伏屋様ご夫妻、福井テレビジョン放送㈱の山崎会長様、片岡様。中村様、北嶋様、蒔田様、藤田様、野口先生始め社中の皆様、もう沢山の方々においで頂き感謝の一言です。勿論、荒木画伯の御両親そして御親戚、お友達も沢山沢山来られました。お寺は人の集まるところでなければなりませんね。境内が活気に溢れた一日となりました。今後、新命副住職の企画でギャラリー「渓仙舎」が活用されていくことを切に願ったものです。ご縁と円を大切に!なんて、とある銀行さんの宣伝にもありましたが、やはり人との御縁ほど大切なものはありませんね。人とのご縁はさらなる縁に広がっていきます。これを「衆生縁」といいますね。いろいろな催しものを通して、いろいろなジャンルの方との縁を広げていくことも「布教」としての大切な行動だと思います。

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個展は24日まで開催です、どうぞご来寺頂きたくお待ちしております。お寺の境内の佇まいには格別な風情があります。そこにいるだけで、深い安らぎを感じるものです。そんな悠久の歴史を感じさせてくれる環境の中での個展開催、神仏に守られている事を心から感じ取った一日となりました。本日御来寺下さいました皆々様に、厚く御礼を申し上げます。友峰和尚より

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ご来寺を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 

 

 

友峰和尚のちょっといい話 【 第333話 】
2014年 07月 18日 談

第31回「花菖蒲祭」を無事に終えて、早や三週間になろうとしています。年中行事もそうですが、お寺は多くのボランティアや協力者の支援があってこそ、無事に行事を円成できるというものです。今回も金曜坐禅会会員はじめ世話方、檀信徒、庭師方々の奉仕的サポートを以て、スムーズにお祭りを遂行することができました。昨日は、感謝と御礼の気持ちを込めてささやかながら打ち上げの小宴の席が設けられました。心を同じくして接客に終始した一か月余り、本当におつかれ様でしたの一言です。宴席は盛り上がり、慢性疲労の心身が会話とともに癒されていくのを覚えます。

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第31回花菖蒲祭 打ち上げの宴席にて

多くの観光客を迎え、皆の緊張感が途切れることのなかった一か月間だけに、解放された今の気分はきっと最高なものに違いありませんね。とにかく楽しい時間を過ごすことができました。「気配り、目配り、酒配り」なんて言っていた人がいましたが、少々のお酒は実にいいものですね。「ノミニュケーション」でしょうか。

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そんな楽しい時間も夢また夢と過ぎ去って、一夜明け今日は早朝からギャラリー「渓仙舎」周辺の徹底したお掃除をしました。和尚の座右の銘が「掃除」という事はすでに皆様も周知の如しですが、この掃除!!普通に清掃ぐらいに思ったら大間違いですぞ。徹底的に除き掃うのですから、真剣勝負です。掃除を終えた時、自分の心が放心するくらいにして絶妙なる心境を得て初めて「掃除」と言えます。とことん納得がいくまでやらねば「掃除」とは言えません。本当に有り難いことに、「掃除」の徹底はあらゆる御利益を受けることになります。「掃除」とは「真理を行じる行為」そのものですね。真理を行じるものには必ず仏天の加護があります。それが現世利益として人々に還元されます。日頃なにか上手くいかないことが生じたら、どうか徹底した「掃除」を実行あれ!!必ず御利益有りですね。

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さて、綺麗になったギャラリー「渓仙舎」で、”荒木芳栄個展”が始まりました。早速にウグイスが、お祝いのための素敵な鳴き声を聞かせてくれています。「法々~法華経」なんと有り難いことでしょうか。素晴らしい作品が展示されています。皆様、是非ご来寺ください。お待ち申し上げております。友峰和尚より

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友峰和尚のちょっといい話 【 第332話 】
2014年 07月 17日 談

7月はお盆月で、毎日「棚経」のため、檀家様のお家へお参りに行きます。ここ数年は副住職にその法務をお願していて、和尚はお寺のお留守番といったところですが、この、お盆のお参りを「棚経」と呼ぶ理由、以前もお話ししたかと思いますが、昔は檀家様の家の中まで入らず、縁側に設えた施餓鬼棚(精霊棚)の前でお経をあげたそうです。普通に考えれば、仏間に立派な仏壇があるわけですからその場所でお経を唱えればよいのですが、そこがそれ、実に昔の方は先祖に対して敬虔な気持ちを持っていますから、御先祖が無事にわが家を見つけて確実に降りて来てくださる様にとの計らいからわざわざ外に施餓鬼棚を設けたわけで、棚と、仏旗の代わりに旗を四方に立てて、道しるべとしてより分かるようにしたことから、その行為を「棚旗」(たなばた)として7月7日に準備をしたといわれています。和尚の子供の頃には、縁側に施餓鬼棚を設け灯篭が両側にあり、ローソクの灯りがクルクル回転していたことをかすかに思い出します。本当に素晴らしいことだと思います。

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先祖の霊を偲び丁寧なお迎えをしていたころの事が懐かしく感じる今日この頃です。スローライフ時代の、実に心温まる思い出です。勿論、お盆といえば必ず「おはぎ」を母親が作ってくれたものです。おはぎイコールお盆といった感がありました。現在ではどこのお家でも、棚も無ければ旗も無い状況です。仏、ホットケという事か? 御先祖の霊供養の月参りをするお家も、年々少なくなっていきます。少子高齢化がますます加速していく近未来、何もかもが風化しようとしています。こんな時代だからこそ、寺院においてはしっかりとお盆の行事を遂行しなければならないと思います。大安禅寺では現在もなお、本堂の広縁に立派な施餓鬼棚が設えられ、400年間、脈々と「大施餓鬼会」が厳修されて来ています。心の安心は偏に、御先祖の霊供養の中にあります。その供養の真意は「感謝の真を捧げる」の一点にあります。言わずもがな一人として親を持たずにこの世に生を受けたものはいません。新命和尚の心を籠めての棚経が続いています。友峰和尚より

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友峰和尚のちょっといい話 【 第331話 】
2014年 07月 16日 談

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ガーデンの風景 / 大安禅寺庫裡にて

最近、ニュースの内容が昔とは随分と違って来ているようにかんじます。和尚なりに直観して思うにやはり、電子機器の進化による犯罪が多発しているように感じます。人類の未来の発展を考える上においては電子機器の発展を度外視しては考えられないため、今後は、自己防衛のための対策を個々が真剣に考えなければならない時期に来ていると思います。明治時代の禅僧さえ、その時代において文明の発達は人類に危機を及ぼすと警告している著書が多くあります。パソコンや携帯電話なくして未来を創造することが難しくなっている今日、幼少期からの電子機器に対する十分な学習が求められていますね。すでにその取り組みが始まっているところもあるようですが、犯罪から子供たちを守るためにはもっともっと急がねばならないのではと危機感を覚えるものです。

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と言いながら、和尚も電子機器の恩恵を受けています。こんなに便利なものが発明されるとは思いもよらないことでした。特に、海外に出かけたときなどは強く感じます。スカイプ通話やあらゆる情報収集など、驚くほどの便利さです。世の中の事柄は常に相反性を含んでいます。たとえば「善は急げ、急いては事をし損じる」「一石二鳥、二兎追うものは一兎を得ず」など、他にも沢山ありますね。となりますとやはり、便利な物を使いこなすための努力が求められているようです。便利であるということの裏には、便利さを創造するに至った恐ろしいほどの知恵が潜んでいることを知るべしという事なのかもしれませんね。人類の進歩と調和は実に、人間にとっての永遠のテーマのようです。パソコンを離れて一度外に出れば、うっそうとした木々の緑が和尚の全体を包んでくれます。現実世界とバーチャル世界。なんとも現代社会は厄介な時代に入っているようです。友峰和尚より

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アトリエを望む / 大安禅寺にて

 

友峰和尚のちょっといい話 【 第330話 】
2014年 07月 15日 談

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ニューヨーク個展打ち合わせ / 大安禅寺 応接室にて

今年の10月22日よりサラ・ローレンス大学(ニューヨーク州)での個展開催の為、日本旅行福井支社の西内さん、斎藤公一さん、そして文房流の野口翠智さんを交えて旅行日程の打ち合わせをしました。今回は22日より1週間、個展を開催する予定となっていますが、同行される約10名の方々の現地での詳しい行動日程なども含めて話し合いが行われました。40年ぶりのニューヨーク訪問なので、本当に楽しみです。現地では、一般の方々はじめ大学教授並びに学生の皆さんへの墨蹟パフォーマンスや座禅指導、また、お煎茶といけばなの教室も行われる予定となっているだけに、今から十分な計画と準備が求められています。

今回の個展のテーマは、「天地一指」です。世界の国々の人々が一つの心となって未来を創造していくことを願っての開催です。そんな大げさなことを言わなくても「みんな仲良し」でいいと思います。「和合」の精神で力一杯、全身全霊で書に打ち込んでみたいと思っています。和尚にとってはパリに続いての二ューヨークでの個展開催、禅僧としての法力が求められています。半端な願心ではとても世界には通用しないことを十分に承知しています。66歳でのチャレンジです。66は、数字の語呂合わせで「無・無」です。心を無心にして創作活動を開始したいと思います。

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作品展の準備をされるマーク・イゴネ氏と荒木画伯

さて、大安禅寺境内にある「ギャラリー渓仙舎」では、今月18日から24日まで開催される「荒木芳栄・個展」の準備が始まっています。いろんなイベントを通して、法縁の輪が大きく広がっていくことを切に念じてやまないものです。明日は大安禅寺開山・大愚宗築禅師の命日でもあります。深く感謝の真をささげたいと思います。友峰和尚より

 

 

 

友峰和尚のちょっといい話 【 第329話 】
2014年 07月 14日 談

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全日本司厨士協会北陸地方本部 物故者供養祭 / 大安禅寺 枯木堂にて

内閣府認定公益社団法人「全日本司厨士協会北陸地方本部」主催の物故者供養祭が大安禅寺で修行されました。今年で19回目となる供養祭で、来年は慰霊碑建立20周年を迎えます。東京より宇都宮久俊総本部会長はじめ全国から幹部の方々が集まり、午前11時半より厳粛な雰囲気の中、物故者の供養が営まれました。思えば19年前、フレンチレストラン・ジャルダンの黒味傳シェフとモンシェルトントン・カトーの加藤祥師シェフが「司厨士関係者の慰霊碑を建立したい」と大安禅寺を訪ねて来られた時のことを思い出します。今年、日本食が世界文化遺産に登録されましたが、洋食も含め今日の日本食文化の地位を築いてきたのも先人の御徳の賜物であるという敬虔な気持ちに端を発してのご依頼でした。和尚も快くお受けしたものです。

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あれから19年の歳月が流れましたが、黒味様は福井県本部・名誉会長として、加藤様は北陸地方・終身名誉会長として、現在もなお組織の発展に尽力されておられます。少子高齢化の進むなか、先祖の墓を守り切れないために「墓じまい」という現象が起きている今日にあって、先人の御徳を組織を以て讃えていくことの尊さと大切さと有り難さを、つくづく感じ取った物故者供養祭となりました。「ありがたや 師の恩思う 如意の後」という世語が残っていますが、いつの時代にあっても先人の努力と苦労の積み重ねの上に自分の今があることを忘れてはならないと自省するものです。

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法要終了後、住職法話のようす

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宇都宮久俊総本部会長様、幹部の皆様とともに / 大安禅寺 愈好亭にて

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7月はお盆月、御先祖の恩に報いんが為にもしっかりと御供養を通して、さらなる向上の誓いにつなげていきたいものです。今日は、供養を修行した為か心安らかな一日となりました。午前中は拝観者の方も来山されており、またパリからのお客様マーク・イゴネさん、荒木芳栄さんも打ち合わせのために来山され、寺内が賑わいを見せていました。「供養有り、拝観あり、来客あり」の禅寺。いいですね! お香のたちこめるお堂もこれまたいいですね! 歴史の説明を受けられている拝観者の姿もいいですね! 新命和尚の元気な法話の声が本堂に響き渡っているのもいいですね! 職員が一生懸命にお客様の接客をしている姿も美しいですね!

嗚呼、有り難し!有り難し!「南無観世音菩薩」 友峰和尚より

 

 

友峰和尚のちょっといい話 【 第328話 】
2014年 07月 13日 談

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寳勝寺盂蘭盆会法要のようす / 寳勝寺本堂にて

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涼しい日和の「寳勝寺盂蘭盆会法要」となりました。朝から小雨の降るなか、午前10時半より施餓鬼会が厳修され、法要終了後には檀信徒の皆様とともに昼食を交えての楽しいひと時を過ごしました。やはり、みんなでワイワイガヤガヤ語り合うのは大変楽しいものです。一年に一度の参拝の方もおられるので尚更のことです。

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法要終了後、昼食懇親会のようす

さて、無事に金沢三カ寺の盂蘭盆会を終了しましたので、今度は自坊の法務に集中です。間もなく「荒木芳栄個展」が大安禅寺で開催されます。荒木画伯は以前、大安禅寺で職員として勤めていた方ですが、その時も仕事をしながら洋画の勉強を続け、2002年に退職されてフランスパリに渡欧、以後12年間、画家として活動されている方です。

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荒木画伯の作品より

今回は日本で初めての個展開催となりますが、是非皆様も御来寺頂きたいと思います。3年前に和尚がパリで個展を開催したときには、荒木画伯のご主人・マーク氏が経営されている「ギャラリー・メタノイア」に大変お世話になりました。今回はそのお礼も込めて、福井・大安禅寺と金沢・寳勝寺のギャラリー提供となっています。魚や小鳥、動物などをモチーフにたくさんの作品を書いておられるそうで、荒木画伯の作品展示を楽しみにしています。「夢は必ず叶うもの!」を信念に頑張っておられるそうですから、本当に夢が叶うことを念じています。次々と色々な行事を遂行しながら、前に前にと進んでいきます。友峰和尚より

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友峰和尚のちょっといい話 【 第327話 】
2014年 07月 12日 談

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少林寺盂蘭盆会法要のようす/少林寺本堂にて

台風一過、猛暑になると思いきや涼しい風が吹き抜ける中、少林寺盂蘭盆会の法要が修業されました。金沢市の高台にある寺町寺院群は日本海を見下ろす位置にあり、犀川を海の方からまた逆に野田山の方からと大変涼しい風が吹きつけます。昨日の天気予報では、今日は30度を超える真夏日になるというので寳勝寺から扇風機3台を持ち込んでの法要となりましたが、扇風機も顔負けといったところでした。

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約30名近いお参りの中、施餓鬼会法要が営まれました。和尚の一人三役といった忙しさでしたが、無事に法要を終えた後の爽快さは格別なものがありました。何がそうさせるかは言うまでも無く故人の御霊が喜んでいるからです。このような心の世界は、宗教者のみが知りうる世界なのかもしれませんね。

昨日のテレビ番組で現代のお墓事情がいろいろ紹介されていましたが、その中で、自分の亡きあと子供たちには墓守りをしてもらえないという理由から、先祖代々の墓地の「墓じまい儀式」が放映されていました。本当に残念な光景でした。最終的に、先祖のお骨は海に「散骨」として撒れたわけですが、そうなりますと自分は何のためにこの世に命を頂いたのか、きっといつの日か自分に問い直す時が来ることと和尚は思います。”墓じまい”の状況には色々な事情はあるにせよ、過去の戦争で多くの英霊がいまだ国外の地に眠っている現状の中、親の遺骨を求めて今なお激戦地を訪ね歩いている遺族の方々のお気持ちをどのように捉えるのでしょうか。我々がこの世に命を頂いてよりもっとも大切なことは、祖先の恩と父母の恩に感謝の誠をささげることにあると思います。その気持ちが「お墓」という形となって、幾多の困難な時代を通し今日まで代々感謝の心として受け継がれてきたものと思われます。「親の背中を見て子は育つ」と言います。先祖のお墓に花や供物を供え線香を捧げる姿こそ、「目に見えぬ祖先の霊に敬虔な気持ちを捧げる親の後ろ姿」であることを、心から思う今日の盂蘭盆会法要でした。友峰和尚より

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 法要終了後の法話のようす

 

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