和尚のちょっといい話
早春の暖かい土曜日の一日でしたが、皆様お元気にお過ごしでしょうか? 霊苑改葬工事の為、土曜と日曜日のみ寺カフェをオープンして観光客への便宜を図っています。山門入り口からは現在、工事用バリケードが並べられていますが、そのバリケードと記念写真を撮って行く観光客の方が見受けられます。実にご当地アイデアと言いますか、バリケードの形が兼六園のあの有名な「ことじ灯篭」デザインになっていて、旅行者の好評を得ているようです。金沢市全体が歴史の見える町づくりに取り組んでおり、色々な箇所に於いても工夫がなされています。
寳勝寺のミニことじ灯篭
そんな長い長い工事用ガードの間を通ってカフェを利用されているわけですが、5月頃にはおしゃれなお庭の道が完成する予定となっています。㈱ココ・プランニング宮崎デザイナーの作庭コンセプトは、「自然な川の流れ」をイメージしているのだそうです。本当に今から完成を楽しみにしていますが、一般的にお寺には近寄りがたいというイメージが有るそうですから、尚更のことエントランスのイメージは大切ですね。
本日の工事現場にて 土地家屋調査士の西野様と
墓石の復元が始まっています
寺内には 荒木芳栄画伯の作品を展示
さて、パリ在住の荒木芳栄画伯が先般東京で個展を開催されましたが、その時の作品を卑山に展示する事になりました。「寳勝寺ギャラリー」でお茶を飲みながらお魚の作品をご鑑賞いただければと思っています。日々温かさを増す今日この頃ですが、各お部屋にも春のお花が活けられより一層華やいだ雰囲気になっています。皆様も是非、休息にご来寺下さい。きっとリラックスされること間違いなしです。お元気にお過ごしください。友峰和尚より
今日3月3日は「桃の節句」ですが、数字の語呂合わせで「耳の日」でもあるそうです。加齢と共に和尚も昔よりずいぶんと音や会話が聞こえづらく、身体の色々な部所の不具合を実感するようになって来ました。耳の日だけでなく、8月7日は「鼻の日」、11月9日が「口の日」、10月10日が「眼の日」などと有りますが、せめてものそういった記念日には、自分の身体の部位一つ一つに感謝の意を表したいものです。
好天気の中、霊苑工事現場で打ち合わせをしました
さてそんな耳の日でしたが、何か「耳寄りな話し」を皆様にお伝え出来るかと言えば、全くに平穏無事の日だったため、耳さんに感謝した一日となりました。まず午前中のお檀家様月参りの諷経の際、お経を唱える自分の声に感謝したものでした。声が出る事への感謝! また自分の声が聞こえる事への感謝! 自分の心と声が同調できる事への感謝! お檀家様と会話出来る事への感謝! 東京からのお客様との会話、工事現場での関係者との会話、電話での会話等々・・・、耳さん大活躍の毎日です。「耳で良く味わう」という言葉が有りますが、一人一人の言葉をよく聴いてみると、なるほど味わい深く感じるものです。「ざる耳」「馬耳東風」「鉄砲耳」などあまり良かざる言葉も有りますからご用心! 良い耳の事を「巾着耳」と言うんだそうですよ。ピコ! 何処からともなく「ひな祭り」の歌声が聞こえて来ました。いいですね!どうか子供達の無事なる成長を心から祈ってやみません。友峰和尚より
三月三日は「桃の節句」 雛祭りですが、皆様は何かお祝いの予定をされていますでしょうか?「うちには女の子がいないから」なんておっしゃらないで、大いに春の到来を家族皆でお祝いして欲しいものです。文明の発展とともに伝統的慣習やしきたりが薄らいでいく現代社会ですが、日本における人間の「絆」と「安定」は伝統的慣習によって支えられて来たといっても過言ではありません。ある意味での、人間が生きて行くための生活の知恵でも有ります。我が国の「伝統的慣習」の源は中国五千年の歴史から学ぶものが多いわけですが、ひと口に迷信と片付けずに、慣習の中身を吟味してみる事も大切かと思います。
流し雛
そもそも暦の上で「陽」が重なる日を「凶の日」と捉え、お祝い事によって「吉」を呼ぶ意味合いが深まれます。古来、お雛様は子供の成長を願い、流し雛をして色々な災難から子供の心身を守ってもらう為の化身でも有りました。また「桃」の木は魔除けとも言われています。菱餅、白酒、アラレなども厄払いの為のお供物でもあります。お祝い事は子供達と大人達との心を繋ぐ大切な行事だと思います。核家族化、独居老人、少子化社会の進む中で、伝統的慣習を今いちど振り返り、辛抱強く家族の絆を大切にしてきた日本社会の伝統的行事の大切さを強く思うものです。友峰和尚より
須貝さんが 和尚に会いに来てくれました
千葉県 千倉のお花畑より
ワーオ!とても素敵な「キンギョソウ」のお花が本日寳勝寺に届きました。東京にお住まいのお檀家 額様から頂いたものですが、このところの疲れがいっぺんに吹っ飛ぶような気分でした。今日は職員より写メールでお花の画像を受け取りましたが、明日はお花との御対面!今から楽しみにしています。本当に有り難うございました。3月3日はお雛祭りですから、本尊佛様の御真前をはじめ寺内のあちこちにお飾りしたいと思っています。
大安禅寺 書院にて
自坊に戻るのはある意味での休息時間でも有り、孫達との交流時間でも有ります。書院に飾られている雛段に「雛あられ」を買って来てそっとお供えしましたが、同時に昔むかしを思い出していました。お雛祭りには母親が必ずあられ菓子を作ってくれたものでした。学校から帰るとあられを炒る香ばしい匂いが境内中に漂っていて、お砂糖をからめた甘い香りとともに懐かしく思い出されます。「あれから60年!」今もなお母親のあられを炒る姿が浮かんで来ます。一年を通して、行事の度ごとに母を想い出す今日この頃です。「世のなかに 一億人の 母有れど 我が母にして 勝る母なし」和尚の心に残る歌ですが、母親の子供に対する深い情愛は決して忘れる事の出来ない思い出です。さて皆様!まもなく雛祭りです。大いに子供の成長をお祝いしたいものですね。友峰和尚より
母に抱っこされているのが和尚です
寳勝寺ふれあいパーク「奥の院」へ進む 道 のかたちが見えてきました
「寳勝寺ふれあいパーク」霊苑改葬工事に伴う、檀信徒墳墓の新地移転が始まりました。四百年の歴史を有する武家寺寶勝寺の檀信徒先祖墳墓は、「奥の院」と称する区画に安置されます。奥の院正面には「三界萬霊塔(檀信徒皆様の永代慰霊塔)」と「歴世塔(歴代住職の慰霊墓)」並びに今回の改葬工事の縁起を記した「顕彰碑(寳勝寺を代々支えられて来た檀信徒武家方々の顕彰碑)」が建てられる予定となっており、3月12日に厳修される「春季彼岸会」までには大方の檀信徒墳墓 墓石移転を終えることが出来るかと思っています。
㈱河原市石材 河原市社長様との打ち合わせ中
「奥の院」は今回の改葬計画の中でも最も重要で慎重かつ丁寧に進めてきただけに本当に安堵しています。現在すさまじい勢いで「墓じまい」が全国的に発生しているそうですが、少子化が急激に進む社会の中で、先祖墳墓への思いも価値観も、何もかもが変化しているようです。当然の事ながらこれまで伝承されて来た先祖墳墓の有り方についても、変化が求められています。「寳勝寺ふれあいパーク霊苑」はそのような墓地問題を解決していく為の未来型霊苑でも有ります。現在はまだ工事中ですが、ブログをご覧頂いている皆様には是非現地見学をして頂きたいと心より願っています。我々の現生活の安心は「祖先の霊」と共に有ることを改葬工事とともに知る毎日となっています。
さてテレポーテーション的行動の今日この頃ですが、本格的春の到来も間近のようです!和尚もなんとか健康に気を付けながら過ごしていますが、皆様に於かれましてはどうかお元気にお過ごしくださいますよう祈念申し上げております。また㈱豊蔵組江川部長様始め霊苑工事関係者皆様も十分にお気を付けて頑張ってくださいね!ピコ! 友峰和尚より
傳燈寺町会長の西川様、建設会社の宮本様とともに / 傳燈寺にて
新たな兼務住職地となった金沢市傳燈寺町の臨済宗妙心寺派「瑞応山 傳燈寺(でんどうじ)」に、本日は地元町会長・西川氏の御協力を頂き改めて今後の寺院復興について協議しました。昨年先代住職が遷化された後も、何度か訪ね視察を重ねて来ましたが、このたび正式な本山の辞令を受け先ずは寺内整備から着手していくことになりました。
本堂や庫裏の傷んでいるところを点検
境内地の境界を確認中
寺の裏手には洞窟が有り、その奥には霊験あらたかな弁財天様がお祀りされていると聞き、早速に洞窟の中に入ってお参りしてきました。先住職の並々ならぬ精進努力で一時期には多くの弁財天信仰者が全国からお参りされ大いに境内が賑わったそうです。現在はひっそりと静まり返った状況ですが、先住職の宮崎恭黄和尚の恩徳を感じながら少しづつ復興に尽力していきたいと念じています。
弁財天の御祀りされている洞窟へ
水辺の奥にある、岩山の洞窟
それにしましても町会長の西川様には本当にお世話になっております。傳燈寺のお檀家様は一軒も無く、現在は西川氏にお留守番をお願いしています。六百年の歴史を有する禅寺だけに、数々の仏様にまつわる不思議な縁起が伝えられてきていますが、その一つ一つの逸話を整理しながらもっと多くの方々にその事を知ってもらい、「有り難い御利益寺」としての布教活動を展開していきたいものです。
西川様から 傳燈寺町のお話しを伺う
境内に咲く蝋梅
さてさて、最近は大安禅寺も寳勝寺も傳燈寺も、ブログは寺院復興の話ばかりとなっています。とても「ちょっといい話」ではないのかも知れませんが、将来的にいい話となるよう努力あるのみです。頑張りましょうぞ!頑張りましょうぞ!なにくそ、負けてたまるか! 友峰和尚より
大安禅寺の建造物の今後の修復工事方法を見極めるため、現在、公益財団法人・文化財建造物保存技術協会、通称「文建協」の関係者により二年に渡る調査工事が行われています。卑山の建物のほとんどが国指定重要文化財となっている為、平成三十年より向う十ヶ年計画で文化庁指導のもと、全面修復工事が始められる予定で、緊張感をもって対応しています。ブログをご覧いただいている皆様にも工事が始まりましたら是非見学に来て頂きたいと思っています。禅宗寺院独特の枯淡でシンプルな書院造の本堂を初めとして、開基・松平光通公を祀る絢爛豪華な霊屋、また山門や鐘楼など、当時の宮大工方の見事な建築技術と間近に接することが出来るかと思います。
大安禅寺 開基堂
開基堂 堂内
昨年末の調査の様子
今回の修復工事を通して新たな発見が出てくると思いますが、今から楽しみにしています。昭和二十三年六月に発生した福井大震災により半壊や全壊となった建物もあり、今日まで修復工事が繰り返されて来ましたが、今回は文化庁の指導により徹底的に復元されるとのことで本当に嬉しく思っています。しかしながら松平家の菩提所という事もあって檀家数も少なく、今後の修復工事卑山負担割当金については檀信徒と共に大変心配しています。国と郷土の文化遺産でもある重要文化財を後世に伝えて行くという見地から、和尚も先頭に立って多くの方々にご協力ご支援をお願いしていきたいと思っています。友峰和尚より
「福海寿山」 渓仙 書
今年は酉年ですが、先般、滋賀県草津市に嫁いでいる娘を訪ねたところ娘の趣味でも有るフェルトの「親子鶏」をもらい、本日寳勝寺志納所に飾りました。和尚の描いた鶏の絵色紙や職員の折り紙の鶏そしてパリで活躍中の荒木画伯の鳥図の作品と合わせて、志納所も「とりづくし」で賑わっています。寺カフェ利用のお客様も帰り際には志納所に立ち寄って下さり、可愛い鶏たちに声を掛けてくれているようでなんとも面白く微笑ましい光景です。各部屋から聞こえて来るお客様の声も小鳥のさえずりに似て、どことなく春めいた雰囲気を感じさせてくれたものでした。
土曜日の本日はカフェをオープンしていましたが、お寺でくつろぐ観光客の方々のファッションもすっかり春の色合いに趣きを替えているように思います。和尚はこの一週間の疲れがどっと押し寄せ、今日はさすがに休息日としましたが、早朝には妻から電話で地元新聞の一面に大安禅寺の記事が大きく掲載されているとの事! 突然掛かって来る電話は訃報が多い我々の職業の中に有って、本日の電話で報告を受けた記事内容も極めて緊張させられるものでした。まもなく始まろうとしている「平成の大事業10年計画、卑山諸堂全面修復復元工事」の前触れ記事でも有りました。新命副住職とのツーショットの写真が同じく掲載されたそうですから、気持ちを新たに副住職と共に不退転の気持ちで修復事業に臨みたいと思います。さてさて和尚の身体がこれから10年持つか持たないか? 檀信徒皆様が一番心配されているそうですが、文化財保護の為の修復工事と自分の身体のメンテナンスと、同じ立ち位置で頑張って参りたく思っています。南無観世音菩薩 友峰和尚より
植樹された しだれ梅 が咲き始めました
「春よ来い 早く来い 歩き始めたみいちゃんが 赤い鼻緒のじょじょ履いて おんもへ出たいと待っている」大正時代の日本の童謡「春よ来い」の歌詞ですが、38年と56年の北陸豪雪の時にはしみじみと春が待ち遠しいと思ったものでした。近年では昔ほども雪が降らなくなった北陸地方ですが、やはり春の到来を待ちわびる気持ちは昔とちっとも変わりませんね。今日などは寒の戻りのような冷たい北風が吹き抜けていましたが、その風の中にも春の匂いを感じさせてくれました。
昨日までのリズムとは一変して、今日は寶勝寺での会議となりました。「ふれあいパーク霊苑改葬工事」も順調に進んでいますが、6月の完成に向けて更に細かい打ち合わせ会議となっています。霊苑の全体像が見えて来るにつれ、㈱ココ・プランニング 宮崎デザイナーから関係業者の方により立体的な発想が伝達されていきます。また中本大資社長様との打ち合わせも更に綿密なものとなって来ています。
「寳勝寺ふれあいパーク霊苑」のコンセプトは「家族の絆」に有ります。核家族化が問題視されている現代社会に於いて家族の絆を思う時、ひいては祖先との絆も同時に思うものです。「報恩謝徳」の気持ちを素直に表わす事の出来るような「霊苑」を目指しています。霊苑改葬工事に携わりながら、祖先の恩、父母の恩に深く感謝する毎日となっています。友峰和尚より
新命玄峰副住職の修行仲間で組織する「岫雲会(しゅううんかい)」の北陸大会が午後一時半より卑山で開催されました。京都・大本山妙心寺専門道場
より新命和尚の師匠、岫雲軒老大師はじめ四十数名の会下僧侶の出席のもと法要が厳修され、記念撮影後はバスにて懇親会会場へ向かわれました。
妙心寺専門道場は昔から天下一の鬼叢林として知られていますが、現在でも枯淡で厳しい修行が続けられています。二年に一度、修行を了え各地の寺院の住職や副住職に就任している仲間たちが、お世話になった師匠を招いての懇親の場でも有ります。和尚は西宮市の海清寺専門道場で修行を致しましたが、こちらも毎年、会下会を開催しています。専門道場を出て、数年の月日が過ぎ行くほどに修行時代のいろいろな思い出が懐かしくまた、師匠の深い慈悲と恩を思うものです。和尚の師匠は既に他界されていますが、本日は本当に久しぶりに師匠にお会いしたような、感動を受けたものです。
僧侶にとっては、修行時代に師匠と過ごした日々は終生忘れ難いものです。「有難や 師の恩思う 如意の跡」という世語が有りますが、厳しくも慈悲に溢れた老大師の言葉が有り難く思うこの頃です。若き僧侶達の今後の活躍を心から祈念したいと思います。本日は全国から卑山にようこそご来寺頂き厚く御礼申し上げます。友峰和尚より