和尚のちょっといい話
手鏡など普段はあまり使うことも無かったのですが、入院してからというもの本当によく使っています。自分の顔をしげしげと見つめる時間もないほど毎日忙しく動いていた時のことが嘘のようで、自分の姿と対面しながら具に観察しているとなかなか面白い発見があり一人楽しんでいます。昔の顔立ちとは随分と違ってきましたが、今の自分の顔も結構気に入っています。それにしてもこの数日間で顔が長細くなったものだと感心するばかり。和尚は達磨図を描くのを得意としていますが、皆様から「和尚に似ている!」と言われていた事に合点がいきました。
「 一日清閑 一日福 」 「 八風吹不動 」 / 2017年
顔立ちは兎も角も、やはり肝心なのは“心”です。「差し向かう 心ぞ清き 水鏡(みずかがみ) 垢(あか)付きもせず 色付きもせず」と詠んだ歌がありましたが、肝心なのは顔より心だと思います。外面も大切ながら心も大切で、心身一如を目標にして健康回復に向け頑張って参ります。
さて一週間ぶりのお食事を頂きました。赤児で言うならお食い初めの心境でしょうか! 美味しい、美味しくないの状況では有りません。本当に心の底から神仏に感謝申し上げました。頂きます!ご馳走様!ありがとうございます! 友峰和尚より
爽やかな秋晴れの良いお天気が続いていますが皆様にはお元気にお過ごしのことと思います。まもなく秋季彼岸会を迎え、暑さ寒さも彼岸までの格言通りにずいぶんと過ごしやすくなって来たように感じます。今はまだ入院中ですが時折窓を開けて自然の空気を取り入れながら身体を休めています。
それにしてもこの一週間で体重が激減し、入院当初より7キロほど痩せました。自撮りしてみましたが如何でしょうか? 頬が痩けたぶん禅僧らしくなったと自賛しています。いわゆる羅漢顔です!これとて仕方のない事ですが良い事も沢山あります。日頃ご無沙汰している方々とのお電話での交流ならびに自然観察。今日もたくさん雲を見ましたが、実に面白く癒される時間となりました。常に形を変えていく姿にはロマンがあります。
またこれまでの運動不足を解消するために、あらゆるストレッチをして筋力の低下を防いでいます。何より考える時間がたっぷりとあり退院後の法務活動など思案していますが、先ずは健康回復優先です。さて今日から食事が開始されますが、一週間ぶりの夕食はお粥からです。ソロリソロリとゆっくり噛み締めて感謝を込めて頂きましょう。友峰和尚より
お釈迦様が「法華経」などを説いた場所として有名な 霊鷲山
仏陀説法の地であるインド・霊鷲山(りょうじゅせん)ラージギルを以前修行仲間達と巡拝した折、全員で坐禅をしていると頭上の空に大きな翼を広げた鷲の形をした雲が現れ大変感動したものでした。このたび英国エリザベス女王が死去されましたが、訃報が発表されると同時にバッキンガム宮殿をアーチで包むかのように虹が架かり、また生前のエリザベス女王の御姿が雲の形となって現れた映像がSNS上にアップされていました。
バッキンガム宮殿に架かった 虹
禅の言葉に「宇宙双日(そうじつ)なく 乾坤只一人(けんこん ただいちにん)」とありますように、本当に女王の人徳の深さを実感したものです。「風は息 虚空は心 日は眼(まなこ) 海山(うみやま)かけて 我が身なりけり」という道語も有ります。「宇宙の真理」とは自我を捨てて無心に自然の道理に従って“自利利他”の道を歩むことであり、対立する心を放下し、あるがままの人生を歩んで参りたいと願うものです。エリザベス女王御逝去に接し、哀悼の意を表しますとともに心からご冥福をお祈り申し上げます。
エリザベス女王の御姿と話題になった イギリス上空の雲
さて、皆様からの温かいお見舞いの言葉を頂き日々回復に向かっています。色々ご心配をお掛け致しておりますが、一息仏心と心に銘じてさらに治療に専念し再び皆様とのお目もじを楽しみに致しております。元気!根気!やる気!新三K胃腸薬で頑張って快復を目指します! 友峰和尚より
窓からの景色
部屋から金沢市内が望めますが、秋空の澄み切った空気感の中、真っ白な雲の変化を眺めているのもなかなか風情を感じます。普段は空を見上げてじっと観察することも無いだけに実に面白く見続けているのですが、雲の形の変化は人生に似て結構哲学できるものです。「秋なれや 月を追う雲 逃げる雲」という俳句が有りましたが正に人生もかくの如しで、うかうかしているとアッという間に時間が過ぎ去ってしまうものです。
さて入院6日目を迎えていますが、身体が不調だった原因の病名も大腸憩室症炎と分かり現在はひたすら点滴治療に徹しながらの断食が続いており、週明けより食事が開始されるとのことでした。不思議な事に、絶食して6日目を迎えているのに全くお腹が空かないのは何故なのでしょうか? 胃は空っぽなのにグルグルと軽やかな音を立てています。人生74年目にして初めて一週間の断食となり、きっと内臓達も大休息し大喜びしているに違いありません。これこそ禍を転じて福と為すとなることを願うばかりです。
それにしましても看護師さん達の働く姿には言葉もなく合掌しながら感謝しています。世の中には本当に色々な職業がありますが、患者のお世話ほど大変な仕事は無いと思います。そのご苦労に応えるためにも療養に徹して、一日も早い回復を目指し精進して参りましょう!頑張ります! 友峰和尚より
「病みてこそ道心(どうしん)の起こる候 不幸はこれ道(どう)の幸いなり」 この言葉は、妙心寺を開創された第九十五代花園法皇様が妙心寺開山無相大師と会われた時に語られた言葉ですが、和尚も普段よく法話の中で引用させて頂いています。本来で有れば普段の生活の中で道心が生かされねばなりません。煩悩多き人間の世界ではなかなか自分をさておいて相手を思いやるほどの余裕も気力も無いように思います。
しかしながらいちど病に臥すと、自分の病気と対面する中で日々“命とはなんぞや!心とは何ぞや!”と自問自答するものです。まして入院となりますと色々な病気療養に苦悩されている患者の姿に直面し、健康で元気であった頃の自分をつくづく振り返り感謝の念で一杯になります。病みてこそ道心の起こる候、不幸はこれ道の幸いなり! 花園法皇様が無相大師と出会い素直に発した真の心でもあると思います。吾(われ)いまだ救われざるに他人(ひと)を救わんと誓うなり、という菩薩の行は正にこの事だと思います。
さて入院5日目に入り次第に病棟の患者様の療養様子を伺い知るにつけ、自室にて皆様方の一日も早いご快復を坐禅をしながら心から祈念しています。無病息災から一病息災を心に刻み、健康回復に向けて療養に精進して参りたく思っております。友峰和尚より
「 閑日 」 渓仙 書
9月に入ってから体調を崩し静養しながら法務を遂行していましたが、大事を取って近くの病院に検査入院しました。当初は一週間ほどを予定していましたが、内視鏡検査なども含めこの際徹底して検査をして頂き、身体の復調に専心したいと思います。現在はコロナ禍のため一旦入院すると面会謝絶となり不便な事も多々ありますが、深い山に隠遁した気持ちで日々療養に努める所存です。
寳勝寺では 外掃除の一日
されど実際には入院した途端に法務が大変気になりさっそく新命和尚にも連絡して予定を調整していますが、新命和尚も多忙を極めている様子で、日頃より御厚誼を頂き御加担くださっている桂岩寺和尚様に代務をお願いしたところ快く承諾くださり本当に感謝し安堵しています。しばらくの間、檀信徒皆様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、体調が回復次第法務に復帰したいと願っております。
秋の草花が咲き始めた 中庭
霊苑でも 秋のバラが咲き始めました
さて約30年ぶりの病院療養生活ですが、何もかもが違っていました。近代的な病室や院内の風景など別次元に感じます。ただ今はWi-fiの時代、病室にインターネット装備が無いのが残念ですが、療養となれば当たり前の事です。久しぶりに日々の点滴から静養が始まりましたが、診察の合間を見ながらベッドの上で坐禅をしています。病室からは市内が一望できますが、なんとも忙中閑ありの心境です。臨済義玄禅師の「赤肉団上に一無位の真人あり。常に汝等諸人の面門より出入す。未だ証拠せざる者は看よ!看よ!」の禅問答を日々拈提して参りたいと思います。友峰和尚より
寳勝寺境内にて
台風一過の朝を迎えましたが、心配した風雨災害もなく無事通過したようで安堵しました。強風に備えて片付けようとしていた霊苑入口の五色の吹き流しですが、風に煽られたのか竹竿の天辺に絡まり降ろすのが難しい状態になっていました。境内の草木もどんよりした曇り空のもと再び息を吹き返しているようでした。
天辺に引っかかっている吹き流しです
玄関の白萩が 今年も大きく育っています
宝勝寺の応接間の床の間に「喫茶去」の墨蹟が掛けられており、来寺くださった方々からよく説明を求められます。以前フランス・サンリス市で開催されたアートサクレ芸術祭の折、和尚の墨蹟パフォーマンスとして越前和紙作家・長田和也(おさだかずや)さんの手漉き和紙に大書した時のもので、あまりに大きい作品で来客者の方からは全体が見たい為の質問かと思います。
フランス サンリス市 アートサクレ芸術祭での墨蹟大書
寳勝寺 応接室にて / 2022年 元旦
「喫茶去(きっさこ)」の意味はその字の通り“どうぞお茶を召し上がれ”で、禅問答のひとつとして大変有名な語でも有ります。中国唐時代(618~907)の禅僧・趙州禅師(じょうしゅうぜんじ)を訪ねてきた修行僧との問答で、趙州禅師の「あなたは初めてこの寺に来たのか?」という問いに対して修行僧が「ハイ、初めてです。」と答え、それに対し趙州禅師が「どうぞお茶を召し上がれ。」と言ったのを「喫茶去。」と言います。
庫裡玄関に咲く シュウカイドウ
また、趙州禅師は次に来た修行僧に対しても同じく「この寺に来たのは初めてか?」と問い、「イエ、前にも来たことがあります。」の返事に対しても「喫茶去。」と応えたことを禅問答として今日まで伝えられています。所謂、誰彼差別する事なく平常心にて“どうぞお茶を召し上がれ。”と応える、趙州禅師の恐ろしい修行僧への探りの言葉でもあります。また「喫茶喫飯是道」という禅語もあるように、日常の何気ない生活の中において、無心無碍(むしんむげ)なる所作が求められているようです。さて宝勝寺は寺カフェです。どうぞごゆっくりお茶を召し上がれ!南無観世音菩薩 友峰和尚より
台風11号が夕刻ごろ北陸沖を通過するそうですが、フェーン現象も手伝って日中気温が35℃を超える真夏日となりました。嵐の前の静けさでは有りませんが、風も相当強く吹くとのことですから充分ご注意頂きたいと思います。今は台風の季節ゆえに近年の線状降水帯による秋雨も心配です。
秋の七草 藤袴
法務遂行もひと段落して9月以後の段取りをしていますが、陶芸家・谷中耀子さんの個展開催や金澤伝燈寺里芋収穫奉納祭なども予定されており少しずつ準備を進めて参りたく思っています。どのような行事も参列者・鑑賞者の皆様に喜んで頂くためには色々な工夫が求められており、アイデアが浮かんでは消えまた浮かんでは消えしながらも思案している時は実に楽しい時間でも有ります。
「 喫茶去 」 渓仙 書
これまでに幾度も行事を開催してきた経験を活かして、会場の設営やディスプレイなどにも力を入れています。また今年の金澤伝燈寺里芋収穫奉納祭では境内にバザーや蚤の市なども設けて地元の方々との交流を図りたいと願っています。9月に入ってから急に月日の経つのが加速していくように感じる今日この頃ですが、季節の変わり目でも有りますのでくれぐれもお体に気をつけてご自愛くださいますようご祈念申し上げます。友峰和尚より
「 壷中天 」 渓仙 書
長い間休息を取っていなかったので久しぶりの休暇を過ごしていましたが、急に体調を崩し今日は検診のため病院に行く始末。幸いに事なきを得たものの身体は思うように動かない為、しばらく静養することとしました。6月からの長きに渡る酷暑と例年に無い激務を遂行していたことが原因と思われる「老人性疲労」だそうですが、やはり無理の効かない身体になって来ているようです。皆様に於かれましてもくれぐれもご無理はご用心!ご用心! 9月に入り幾分気温も下がり過ごしやすくなって来たようですから、どうかお身体ご自愛ください。
「 忍 是々 」 大安渓仙 書
寳勝寺も少しずつ落ち着きを取り戻して普段のリズムになって来ました。健康の秋!スポーツの秋!体力作りに今後は努力をしていきたいものですね。さてまもなく秋季彼岸会を迎えようとしています。ふれあいパーク霊苑の参詣者も増えて来たように思います。祖先の恩と父母の恩に感謝しながら過ごして参りたいと思います。友峰和尚より
台風11号の進路が気になるところですが、気象予報では6日の午後頃に北陸沖を通過するとのことで何かと心配です。また今後は秋雨前線の影響で長雨も予想されるため気の抜けない状況が続きます。
昨日もブログでお知らせしましたが、東京在住の陶芸作家・谷中耀子(やなかようこ)さんの個展が10月8日(土)より16日(日)まで寳勝寺で開催される予定です。久しぶりに和尚も墨蹟禅画などの作品を一緒に展示することとなっていますが、個展のテーマが「 空 ~舞う~ 」となっており、2014年10月22日より28日までアメリカニューヨーク州・サラローレンス大学学舎内で禅画展を開催した時の事を思い出していました。
その時には大学生や一般来場者の前で墨蹟大書を披露し、「紅葉秋風に舞う」と揮毫しギャラリーの皆様から大きな拍手を頂いたものです。その様子を動画でご覧頂きたいと思いますが、今では懐かしい思い出の一つとなっています。
2019年11月 寳勝寺にて谷中耀子さんとともに
谷中耀子作品集 「煌めく藍」より
今回は寳勝寺での個展開催という事で、「空」をテーマに小さな作品を中心に谷中耀子さんの陶芸作品と融合するよう色々工夫して展示したいと考えています。ブログをご覧頂いている皆様には是非御来寺くださり作品を鑑賞して頂ければ幸いです。また10月15日(土)には大安禅寺重文山門並びに鐘楼修復保存工事完成記念式典も開催予定となっており多忙を極めますが、今から入念に計画を練って多くの方々に御来寺頂けるよう墨蹟制作に入りたいと思います。
本日はカフェを臨時休業して終日休息を取りました。いつもは火曜日が休寺日ですが、日曜日の休息は本当に休んでいる気がしたものです。おそらく日曜日は国民全体の休日ゆえに和尚にとってはこれまでにあり得ない特別な感覚だったのかも知れません。大休息の後に大躍動有り!!大いにリフレッシュして更に前進して参りたいと思います。友峰和尚より