和尚のちょっといい話
9月も半分が過ぎようとしていますが、まもなく23日(土)に秋季彼岸会を迎えます。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように秋分の日を境に徐々に秋の風情に変化し気温も下がって服装も長袖になるなど、約70日間以上も続いた真夏日ともお別れです。
昨日のニュースで秋の味覚松茸が例年に無く不作だと伝えられていましたが、このことも今年の気候は日照り続きで降雨が少ないのがその原因だそうです。松茸に限らず野菜や果物また米についても例外でなく、米農家に於いては深刻なコメ不足となっているとのことでした。以前「平成の米騒動」と言われ冷夏による不作が原因で日本のコメ不足が発生し、政府がタイからコメを緊急輸入し当時タイ米を食べた事を思い起こします。
境内の白萩 / 例年より随分遅く9月下旬頃見頃となりそうです
近年の気候変動や異常気象による干ばつや水害被害が世界的に増加し、それに加えてウクライナ戦争による食料不足危機も世界的大問題となっている状況を踏まえ、今いちど仏教の原点に立ち返り「もったいない」「ありがたし」の気持ちと共に食事をする際に合掌して唱える「いただきます」「ご馳走様」の深い意味を子供達に伝えて頂きたいと強く願う今日この頃です。友峰和尚より
9月16日(土)より18日(月)の3日間に渡り、毎年恒例の「KANAZAWA JAZZ STREET2023」が始まりますが、今年で15周年を迎えるそうで年々盛大になり全国的知名度も上がっているようで金沢市内のホテルはどこも満室状態とのこと、一般観光客も自由に聞けるため県外からの旅行客にも大変人気が有ります。9月16日(土)午前10時40分より「いしかわ四高記念公園会場」でオープニングセレモニーが開催されますが、金沢市内各4会場で全国から参加している約100組近いグループや大学オーケストラはじめ有名バンドが演奏する予定となっています。
KANAZAWA JAZZ STREET 2023 | 9/16⽇【土】〜18日【月・祝】 開催
昨年はちょうど退院した記念にと妻と近くの会場に足を運びジャズ音楽を堪能したものでした。あれから1年が過ぎましたが、今年は休養も兼ねて寳勝寺より一番近い「片町きらら広場」での夜の部のジャス演奏を聞きたいと楽しみにしています。皆様も時間が有りましたら是非ジャズを聴きながら街なかを歩き、それぞれの会場でのジャズ演奏を楽しんで頂きたいと思います。またその折には是非寳勝寺カフェにも御来寺下さい。
和尚の学生時代はまさにジャズ一色で、マイルス・デイビスやソニー・ロリンズ、アート・ブレイキー、ルイ・アームストロングなど当時の有名ミュージシャンの大好きな曲を聴くため京都上京区河原町のジャズ喫茶「シアンクレール」に足しげく通ったものでした。今日、ジャズを聴くたびに懐かしく当時の青春時代の頃を思い出しています。友峰和尚より
寳勝寺 上間から
朝から雨模様の一日となりましたが、9月は昔の暦では「長月(ながつき)」ともいい秋の長雨を意味するとも言われています。今後は秋雨前線が活発化し今までの気候とは一変して急激な気温の低下が予想されますから、日々の体調管理に十分気をつけてお過ごし頂きたいと願うものです。
上間から見える 坪庭を作る予定地
昨日は友人の病気お見舞いのため日帰りで岐阜県高山市に車で向かいましたが、その道中は高速道路ながら富山から岐阜までその殆どがトンネルで、ユネスコの世界文化遺産に登録されている飛騨白川郷合掌集落のある「白川村」と飛騨高山側の「河合村」とを結ぶトンネルの長さは全長が10、7キロメートルあるそうで日本で2番目に長いトンネルだそうです。現在は対面通行となっており、もうひとつの飛騨トンネルが現在工事中だそうです。
桜、椿、むくげなどが植えられている本堂裏の庭
道路名は「東海北陸自動車道路」として昔に比べるとずいぶん便利になったものです。しかしながらトンネル内の走行が長時間にわたりしかも対面通行のため、運転には相当気をつかうものです。岐阜白川郷は世界的にも有名な観光地だけに、現在進行中の飛騨第2トンネルの完成が待たれているところです。
さて本日は臨時休息日としましたが、まもなく寳勝寺の修復工事が始まるため作庭の構想を練っていました。茶室から望む坪庭ゆえに、杉苔を主体にした枯淡な雰囲気を醸し出す石庭を考えています。何事も完成時の風景を想像している時が一番楽しいものですね。秋雨と共に心もゆっくりと養生したいと願っています。友峰和尚より
ミカンの木 / 夕方、少林寺にて
金沢市大樋町 高木屋金物店
金沢市大樋町「高木屋工芸店」にてガラス工芸作家の高橋ナオミさんが個展を開催しているというので早速見学に行きましたが、個展会場の高木屋さんは1848年創業の打刃物をメインにした鉄器台所用品店を生業としておられ、御自宅の町屋をこの度リフォームされて金沢市で活躍されている工芸作家の皆さんにお店の一角を展示室として開放されています。
高木屋さんの 店内にて
髙橋ナオミさんの個展を鑑賞しました
髙橋ナオミさん
いつも寺カフェをお手伝いくださっている 栗原さん
1848年に建てられた町屋をリフォームされた 会場内
またお店の奥にはこじんまりとした心字池の庭園があり、ナオミさんの作品を鑑賞した後しばしお庭も眺めながら歓談しました。金沢市内には歴史を有する伝統的町屋が約4000棟あるそうですから、今後もリフォームされて色々な分野で新しく活用されていくことを楽しみにしたいと思います。
お店の奥にある お庭を見せて頂きました
さて本日は友人の病気お見舞いに遠出をしましたが、高速道路は何処も彼処もメンテナンス工事中で長い渋滞となっており到着までに随分と時間が掛かってしまいました。
加齢とともに運転が危うくなって来たようで、そろそろ免許証返納の時期に来ているのかも知れませんね。「狭い日本、そんなに急いで何処に行く」と言われても後方から迫って来る車を見るのは辛いものです。クワバラクワバラ
寳勝寺本堂 上間の廊下に置いてあった品物を移動中
寳勝寺最後の普請ともいえる本堂南側壁面修復並びに上間の廊下側引き戸、庫裡側壁面修復工事がまもなく始まりますが、今日は早朝から茶室廊下側に置かれていた多くの品物を移転する作業をしました。工事が完成すると創建当初の如くに茶室から外の庭が望める様式に復元されますので今から楽しみにしています。
先日、上間側の外壁修復現場確認が行われました
寺カフェのアルバイトさんにも手伝ってもらい、、、
座布団やちゃぶ台・墨蹟作業用の板など、皆で運びました
工事を施工してくださる 高倉さんです
前回の修復工事では茶室は復元されましたが縁側の廊下は以前のままでカフェ利用のお客様も残念ながら茶室から庭を望むことが出来ませんでしたので、今回の修復が完成すると茶室の風格も上がるものと期待しています。完成しましたら秋には炉を使ったお茶会を催したいと願っています。また庫裡側の側壁も復元されるため、こちらも完成を楽しみにしています。
金沢市役所担当者の方による、庫裡側外壁修復のための視察 / 令和5年5月
国選定・寺町台伝統的建造物群のひとつでも有る寳勝寺も今回の工事でほぼ修復完了ということになり重要な臨済宗の禅宗建築物として後世に保存される事になりますが、金沢市歴史都市推進課のご支援ご指導には心から感謝申し上げる次第です。完成しましたら皆様には是非御来寺頂き、深まりゆく秋の禅寺の風情の中でお茶のひとときと共にゆっくりとお過ごし頂きたいと願っています。
ほととぎす
さて9月も矢の如く過ぎていきますが、まもなく23日(土)には秋季彼岸会を迎えようとしています。「暑さ寒さも彼岸まで」と格言にありますように、彼岸を過ぎますといっきに本格的な秋の季節に入り瞬く間に今年の終わり12月を迎えます。「光陰矢の如し 時人を待たず」で愚図愚図していると閻魔様がお迎えに来ますからご用心!ご用心!です。「長生きは只働くの他はなし 流るる水の腐らぬを見よ」ともあるように頑張って法務に作務にと精を出して参りましょう!!友峰和尚より
寳勝寺玄関の白萩
毎年この時期になると経験する現象ですが、夏の終わりを惜しむかのように蝉がしきりに鳴きそれと交差して秋の虫たちが一斉に鳴き始めました。まもなく蝉の鳴き声も次第に止む事と思いますが、なんとも感傷的な気分に浸るものです。金沢市内にあってもそのように感じるのですから自坊などでは猶更の事です。
松尾芭蕉が詠んだ句に「やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声」とあり、読み人知らずですが道歌に「声はすれども姿は見えぬ 君は深野(ふかの)のきりぎりす」とどちらも味わいの有る句ですが、次の一句でその意味合いが理解出来るかと思いますが「声はすれども姿は見えぬ 見えぬところに主(ぬし)かよう」と。いわゆる無心無碍(むしんむげ)なる心の世界を詠んだ歌なのですが、現代社会においては秋の夜長を自然の生業と共にゆっくりと過ごす時間も余裕も無いように思います。時々昔は良かったと言われる方がおられますが、自然のあり様は今も昔もそんなに変わっているとは思えませんね。
小菊 / ふれあいパーク霊苑
さて午前中に少林寺お檀家・中山家の月命日忌諷経に出向きましたが、故・中山八郎様は先般百歳の誕生日を迎えた後に大往生されました。人生100歳時代を迎えましたが「報恩感謝」の追善供養とともに祖霊供養の大切さを心より思うものです。友峰和尚より
「 一葉落ちて天下の秋を知る 」 渓仙 書
台風一過再び日中気温が30℃と上がったものの幾分涼しさを感じる一日となりました。午前中には墓前での開眼並びに年忌法要を修しましたが、台風の余波を受けてか時折テントを吹き飛ばすかのような強い風が吹き抜けていく中での法要修業となりました。
開眼並びに年忌の墓前諷経を修業いたしました
「坊主はお経」が一番主たる法務ですが、今年の夏は1ヶ月以上もの猛暑日が続いたことで墓前での読経は大変厳しい行ともなりました。しかしながら汗を流したぶん気持ちは爽快で、祖霊供養の大切さを感じるものです。
御供花が絶えることのない ふれあいパーク霊苑
和尚の高校時代の後輩 竹内幹雄さんと
午後には突然、高校時代の後輩・竹内幹雄さんが福井市より来寺され久しく歓談しました。和尚は高校時代の3年間美術部に属していましたがその部活の後輩で、東京青山にデザイン事務所を構え長年第一線で活躍されており、10年前に地元へ戻り現在は福井市大手で(有)竹内幹雄デザイン事務所を運営しているとの事、福井に帰省された際に大安禅寺を訪ねて来られ、それ以来の御目文字でした。高校時代の思い出などは今では風化しつつあり竹内さんと話をしているうちに当時の記憶が蘇ってきましたが、なにしろ60年前の話ですから懐かしい限りでした。
竹内幹雄デザイン事務所 http://takeuchimikio-design.com/
さて「友遠方より来るまた楽しからずや」で楽しく歓談した後、金沢市内のホテルで講演をするとの事で再会を期して別れました。9月は長月ですから秋の夜長をゆっくり楽しみたいものですね。くれぐれもご自愛ください。友峰和尚より
ふれあいパーク霊苑 / 秋のバラのつぼみ
気温が30℃を下回ると身体が本当に楽になります。本日の日中気温も28℃と久しぶりに夏日となり、台風の影響からか蒸し暑さは感じるものの時折強く吹く秋の風はとても気持ちの良いものです。
霊苑にて / 十三回忌の墓前諷経を修業いたしました
午前中に墓前年忌法要が営まれましたが、地元を始め九州からのご家族と関東からのご家族が参詣され、ニュースによると関東地方の気温は20℃と今朝方は肌寒い気候となったそうですから全国の温度差には驚きました。
令和5年度 「文化財保護研修会」 / 大安禅寺 枯木堂にて
大安禅寺では公益財団法人・全国国宝重要文化財所有者連盟主催の現地見学会が開催され、全国から関係者約70名が参加され枯木堂に於いて文化庁文化資源活用課 主任文化財調査官・武内正和氏による「禅宗様建築の展開について」の講演並びに文建協・高木裕雄樹現場主任による修復説明がなされた後、現在進行中の重文本堂修理保存工事現場を視察されました。
新命副住職による 御挨拶
文化庁文化資源活用課 主任文化財調査官・武内正和氏による講演
文建協 高木氏による講演「重文・大安寺本堂ほか七棟の修理保存事業について」
文化財建造物保存技術協会 現場主任の高木裕雄樹氏
大安禅寺の説明と 修復現場の視察
開山堂
開基堂にて
本日和尚は寳勝寺での法務遂行のため欠席いたしましたが、自坊より見学会の報告を受け現在順調に工事が進められている事に感謝しています。さて9月に入ってから俄かに法務が多忙になって来ました。秋季彼岸会放生会が9月23日(土)に大安禅寺で厳修予定となっております。今年最後の年中行事でもあり、集中して法務遂行に取り組んで参りましょう。友峰和尚より
寳勝寺中庭 / 縞ススキの穂
凡そこの世の中に悩みや日々心配事の皆無の方などいないと思いますが、ひと口に悩みと言っても人それぞれに色々な事象や物質的、社会的、人間関係などその内容もその深さも違うため問題解決には「対一説」が望ましく、当然のことながら問題解決の雛形など何処にも有りません。
定期会計監査 / 片岡経営会計事務所 平馬さんと
悩みや心配事を解決していくには先ずはその起因が何であったのかを紐解くことと、悩んでいる事象との関連性の度合いを知ることが大切です。「何にも思わぬは仏の稽古なり」という世語がありますが、何も思わなければ何でもないことなら即座に「思いを捨て切る力」を養うのが呼吸法であり坐禅にも精通します。
金沢市役所担当者の方の立会いのもと 本堂外壁修復の打ち合わせ
心配事が生じると「息詰まる」状態が続きますから、息が詰まらないように呼吸法を日々履行することが悩み解決の第一歩かと思います。その呼吸法ですが、我々禅僧は「数息観(すそくかん)」と言って数をゆっくりと数えながら深い呼吸を繰り返します。詳しくは直接僧侶から指導を受けられるのが良いかと思います。呼吸法を習得するだけでも随分と気持ちが楽になるものです。悩みや心配事は究極自分自身で解決するしか方法が有りませんから、いちど呼吸法を体験してみて頂きたく思います。
打ち合わせ後の茶礼にて
さて話は変わりますが、このところ急激に気温が下がり過ごしやすくなりましたが今年は例年に無い猛暑日続きで体調不良の方もおられることと心配します。夏バテを解消するためには沖縄料理「ゴーヤチャンプル」がお薦めで、本日早速作りました。
ゴーヤチャンプルを作りました
ゴーヤと豚肉をほどよく炒め
焼き豆腐を投入
溶き卵を入れて混ぜ、ふたをしてよく蒸します
独特な苦みと豚薄切り肉に焼き豆腐と卵に鰹節がコラボして美味しい風味が夏バテ解消の栄養源として体力回復に貢献する事必定です!「何をくよくよ北山時雨 思いなければ晴れて行く」の道語も有りますように心安らかに参りましょう。「気にしない、気にしない。」友峰和尚より
寳勝寺の台所 / 喫茶設備の定期検査を受けました
金沢市保健所衛生指導課の方による寺カフェ設備の定期検査が午前中に行われましたが、卑山カフェを開業してちょうど満10年を迎え、開業当時の事を懐かしく回顧していました。開業当初は台所用品はじめシンクなども十分ではありませんでしたが、今では冷蔵冷凍庫や食洗機等々カフェに必要な調理器具や食器なども整備され常に整理整頓されています。
今年は例年に無い猛暑日が続きましたが、特に食中毒を防ぐためにもエアコンを大容量の器具に取り換え、台所の室内温度を低めに保つことが出来ました。検査は無事終了しましたが、食品衛生管理には今後も引き続き気をつけながら運営していきたいと思っています。
野町・少林寺にて / 金沢青年会議所の野村氏とヨガ指導の先生との打ち合わせ
午後からは金沢青年会議所・アカデミー委員会主催で9月25日(月)午前10時より開催される「朝からはじまる大人の寺子屋」のため、関係者の方々が会場の少林寺を下見されました。今日などは日中でも気温が約26℃と随分過ごしやすくなりホッとしています。
寳勝寺山門にて
本格的な秋の観光シーズンを受け金沢市内では10月にかけて色々なイベントが企画されているようで、街なかに再び賑わいが戻って来る気配です。今年も残すところあと4ヶ月!猛暑の日々からようやく解放されつつある今日くれぐれもご自愛ください。友峰和尚より