和尚のちょっといい話
メトロポリタン美術館にて
愈々アメリカ生活も、残すところあと二日となりました。今日は、グリフィス教授が妻の希望に応えてメトロポリタン美術館へ案内してくれました。車でのマンハッタン入りで、また違った角度からニューヨーク市内の街並みを見学できました。気温はぐんと下がって5度ぐらいで、肌に突き刺さるような寒さでしたが、やはりニューヨーク市内は色々な建物が混在してなかなか面白く感じたものです。
メトロポリタン美術館 館内のようす
夕方からは先般の「サラ・ローレンス大学個展」で墨蹟デモンストレーションと坐禅会に参加くださった、グリフィス教授の御友人のお家に招かれて夕食を頂きました。本格的なお抹茶席の御点前を奥様が披露して下さり、誠にもって感動いたしました。夕食には奥様の和子さまが手作りの日本料理とりわけちらし寿司をごちそうして下さり、久しぶりの日本食を堪能しました。
和子さまとともに
帰国を前にしての心づくしのお料理に、ただただ感謝の気持ちでいっぱいになりました。明日が最後の日を迎えますが、振り返ってみても本当にたくさんの方々との御縁を頂きました。明日はグリフィス教授の家に泊まりますが、今回の締めくくりとして感謝の読経をしたいと考えています。友峰和尚より
今回の個展の最後を締めくくった今日の大学生との懇談は最高でした。グリフィス教授の計らいで、特別講師として迎えられました。学生の皆さんに坐禅指導、お経の実践、また大安禅寺のホームページを利用してのお寺の紹介、そして学生さんとの禅に関しての質疑応答、最後に全員に色紙をプレゼントして、色紙に書いてある禅語の意味をグリフィス教授が丁寧に説明されました。学生の皆さんが大変喜ばれ、授業が終了すると多くの方が記念写真を希望され和やかな雰囲気の中で終了することが出来ました。
一番驚いたのは、この日グリフィス教授から直接頂いたサラ・ローレンス大学長様からの感謝状です。野口翠智先生!ビッグプレゼントですよ! 今回の「禅文化展」開催に対する認定書で、写真のごとく皮で作られた額の立派なものです。和尚にとっても生涯を通じて大切な記念の品物となりました。グリフィス教授と家内とともに喜びを分かち合いました。
「Certificate of Recognition Noguchi Suichi」
「Certificate of Recognition Yūhō Takahashi」
一日も早く野口先生にお届けしたいのですが、今しばらく楽しみにお待ちくださいね。野口社中の皆様、大学側から今回の茶華道展は素晴らしいものだったと絶賛の言葉を頂きました。帰国したら皆さんと共に喜びを分かち合いたいと思っています。それからグリフィス教授が、野口先生から頂いた越前焼の陶器作品を大変喜ばれていました。何もかもが新鮮な体験でした。今は全て成し終えて感謝の中にいます。今日は大変気持ちの良い一日でした。不思議な話です、ニューヨークが自分の故郷のように思う気持ちでいっぱいです。縁に導かれての約20日間、本当に本当に充実した時間を過ごすことが出来ました。心から感謝申し上げます。友峰和尚より
ホワイトプレーンズ市・カンブリアホテルでの朝を迎えました。久しぶりの雨でゆったりとした時間を過ごしましたが、今日は夜の7時からサラ・ローレンス大学でグリフィス教授の宗教学授業に同席して、学生達と禅について懇談します。今回の禅文化個展は色々な目的を持っての開催でした。特に、禅仏教の心を伝えるために墨蹟禅画展、墨蹟デモンストレーション、坐禅、書道教室、懇話会、読経、華展、華道教室、茶道教室、また野口先生始め日本から参加された皆様を交えての学生との懇話会等、盛り沢山のカリキュラムを遂行しながら日本の文化の伝道に努めてきました。今日は最後の授業でもあり、学生達との懇親を含めた質疑応答を楽しみにしています。約20日間に渡ったニューヨークまた各州訪問での体験が、和尚の今後の活動をどのような方向性に導いてくれるかは分りませんが、少なからず、今までに経験したことのない世界での色々な体験が必ずや生かされていくことを念じて止みません。毎日が緊張の連続で、このブログも日々の日記のようなものになってしまい、読んでくださっている皆様には面白くもない物だったことと思います。
サラ・ローレンス大学にて、グリフィス教授の宗教学授業に参加しました
学生たちと話していますと、心は本当に楽しく、自分がまるで今大学に通学しているかのような錯覚さえ起こします。自分の歳を忘れ、何かを学ぼうとする気持ちが自分でも嬉しく、そんな時、今回の個展・茶華道展開催の意義を見出す思いです。
人生、常に何かに向かってチャレンジすることは新しい自分の発見でもあると思います。自分との出会いの旅が続きます。法句経に「己こそ 己のよるべ 己をおきて誰によるべぞ よく整えし己こそ 真(まこと)得難きよるべなり」とあります。恐らくは人生の最後の最後までが自己を見つめる旅であることを思う今日この頃です。友峰和尚より
昨日はグリフィス教授の家に泊まり、奥様のサラさんとともに朝食をとりながらこれまでの出来事を色々と話し、楽しいひと時を過ごしました。流石にここまで来ますと、楽しかった事、面白かった事、またハプニング等、話の内容は多彩でした。
グリフィス教授のお家にて、奥様のサラさんとともに
奥様のサラさんは、イエール大学院で仏教とりわけ仏像を専門に研究されており、現在は曹洞宗関係の仏典の翻訳をされているそうです。とても穏やかで親しみを込められての流暢な日本語には圧倒されます。サラさんの案内で近くの町にあるカンブリアホテルまで車で送って頂きチェックインした後、妻と三人で近くのカフェで町の説明など聞きました。とても素敵なホテルです。
カンブリアホテルにて / ニューヨーク州・ホワイトプレーンズ
昨日まではアメリカ大陸の奥地ベルモントの深い山中に居ましたが、今日は一変して大都会に移動し、なんともかんとも不思議な感覚が続いています。夫婦が二人きりになったのは今日が初めて。これまた摩訶不思議な雰囲気で、まるで二人でアメリカ旅行に来たような感覚となったものです。このような経験が出来るのも偏にグリフィス教授との40年にもわたる御縁が導いてくださっているものと感謝しています。これまでに多くの外国の方々と交流を深めてきました。70歳近くになった今日、イギリスのお友達、パリのお友達、アメリカのお友達などなど交流を更に深めつつある現状に、縁のなせる業そして機が熟す機縁を感じます。世界は実に広大で、その国々の歴史も文化も生活習慣も何もかもが違いますが、心の有りようにおいては各国共通ですね。人々の悩みもまた共通しているものが多く見受けられます。今回のニューヨークでの個展開催とその後の研修を兼ねた旅は、和尚にまた色々なテーマを与えてくれました。禅の精神は最近、アメリカでも再びクローズアップされてきています。文明社会が進めば進むほどマインドフルネスの必要性を痛感します。今、新命副住職が色々と模索を始めている禅の実践と布教活動ですが、大いに結構なことだと思います。認知症カフェ、ヨガ、祈祷等、どれもがマインドフルネスの実践ですね。禅がもっとオープンに活用されんことを思います。さて野口美智子先生始め御社中の皆様、その後お元気にお過ごしでしょうか? ニューヨークでの茶華道展の効果は出て来ましたでしょうか! 世界の中心都市ニューヨークでの試みは和尚も人生最後のチャレンジでした。今またニューヨークの凄さを改めて感じていますよ。現場に来なければ実感できない世界です。仏教の聖地インド・ブッタガヤを訪れた時、仏陀は和尚に告げられました、汝すべからく己を知るべしと。有りがたいメッセージでした。二度無い人生です。宇宙を創造するすべてのものに感謝しつつ残りの時間を過ごして参りたいと思います。有り難うございます。友峰和尚より
ベルモントでの朝を迎えました。広い農場に馬が放牧されていて、とても長閑な風景を見せていました。明日は雪になるという予報でした。今日は午後からニューヨークへ戻ることになり、午前中に支度を整えて一つの荷物を郵便局から日本に送った後、グリフィス教授の運転する車でニューヨークへ向かいました。途中、コネチカット州在住のメアリーさんと夕食を共にする約束をしていた為、ハートフォードで高速道路を降りてメアリーさんと再会、一緒に食事をしました。
個展にも来てくれたメアリーさん、故郷コネチカットで再会
ニューヨークへ戻ると簡単に言いましても、広い広いアメリカ大陸ですから平均時速120キロぐらいで、何時間もかけての移動で流石に腰がきしむ思いでした。グリフィス教授のお宅に着いたのが午後の9時半でした。運転するのは只一人グリフィス教授ですから、本当におつかれさまでしたと労いの言葉を掛けるのが精いっぱいで、大変お疲れになったことと思います。今日だけで500キロ以上走ったという事でした。明日からは再びニューヨークでの生活に変わります。サラ・ローレンス大学での学生との懇話も残されているので、頑張って締めくくりたいと思っています。友峰和尚より
北陸観音霊場巡礼の事が大安禅寺のホームページに出ていましたが、国が変われば人間の行動の何もかもが違ってくるのが実感として伝わってきます。ただ一つだけ、心の安心を求めている行動には共通点を見出します。ニューヨークでの個展に参加くださった加賀容子様の巡礼されているお姿が有りましたが、環境の急激な変化の中での巡礼の旅だったと思います。帰国しましたら心境などお聞かせ頂くことを楽しみにしています。
大自然の中での休息
ベッキーさん手作りのアップルパイは、すべて自家栽培
ホームページのおかげで、海外に居ても大安禅寺や寶勝寺の現在の状況がよくわかるので安心して毎日を過ごすことが出来ています。本当に有り難い事です。寶勝寺のホームページに初めて墨蹟パフォーマンスの動画が掲載されました。このこともより一層リアルな感じで皆様にお伝えできることと思います。緊張の連続だった毎日でしたが、改めて動画を見るとその時の緊張感を思い出します。スタッフの皆さんが色々サポートして下さっている事もわかりました。
自坊の大安禅寺を守っている玄峰副住職はじめ職員の皆様にも感謝いたします。アメリカでの滞在も残り少なくなってきました。今日はベルモントから車で再びニューヨークに戻ります。サラ・ローレンス大学でもう一度グリフィス教授の授業に参加し、学生達との懇話会を持って今回の禅文化個展の最終といたします。しばしのスローライフを味わったベルモントでの休息でした。友峰和尚より
斎藤公一様へ 此の度の個展に御参加いただき、本当に感謝しています。いつも和尚の作品を立派に表具して下さり、アメリカでも評判です! グリフィス教授が掛軸を友達に見せています。最後に書いた大作の表具も無事間に合い、個展を盛り上げてくれました。いろいろ大変だったと思いますが、大きなサポートをしていただき有り難う。帰ってからはまた新たな作品の制作にかかります。今後ともよろしくお願いします。
グリフィス教授の御妹・ベッキーさんのお家にて
さて、今日は、ベルモント州にあるグリフィス教授の妹さんの家に来ています。午前中はお母様の住まいにお邪魔して友人の御夫婦と一緒に昼食をしました。お母様は87歳で、約20年ぶりにお会いしましたが大変お元気で嬉しく思いました。昨日は素晴らしい田舎のホテルに泊まり大休息をしたおかげで、今日は体も軽く腰も順調で、多くの方と会うことを楽しみに感じています。極めて残念なのは、英語が出来ないことですね。本当に残念です。早く同時通訳の電子機器が出来て欲しいものです。ベルモントの家は森の中にあり、大きな牧場もあり、さっそく馬に挨拶しました。
時間が止まるほどゆったりとした空間です。ここでもアメリカの国土の広大さを痛感します。何もかもが壮大で圧倒されますよ。毎日が過ぎるほどに、あの、個展開催に向けて準備に忙しかった日々や、開催中のことを思い出しています。本当にハードな日程でしたね。苦あれば楽ありでしょうか! 帰国が楽しみになってきた今日この頃です。友峰和尚より
ハプニング続きの移動日から一夜明け、ニューハンプシャー州・ハノーバーのホテルにて
グリフィス教授と、ご息女・ハナちゃんとともに
グリフィス教授のお母様と、久方ぶりの再会
ゆったりとした時間のなかで朝食
グリフィス教授が、お母様に個展の様子を説明
個展開催期間中のハードな毎日が嘘のような、のんびりした時間です
11月1日です。日本は2日ですね。今年もあと2ヶ月となりましたが、本当に1年があっという間に過ぎて行きます。11月は霜月と言うように間もなく北陸は厳しい冬を迎えますから、この時期は今年最後の休息月間という事でしょうか。
仁さんの家の近くの森にて / ミシガン州アンナーバー
和尚は今、アメリカです。今年の締めくくりの月でもあるので、この1年を振り返り猛省したいと思っています。3月の金沢市・しいのき迎賓館での墨蹟禅画展に始まり、10月、ニューヨーク州サラ・ローレンス大学での禅文化展を今年の大きな実践行動と捉えています。その間、寶勝寺での新たな活動や大安禅寺における法務の修業等、どの場合でも多くの方々の支えが有って円成していきます。世の中すべて、密接な関わりをもって新たな縁が生じていきますから、どのような縁も未来への種子となることを今年も身を以て体験したものです。サラ・ローレンス大学での個展開催にあたっても、加賀好さんがまだ小学6年生ながら参加され、活発にお手伝いをして下さいました。和尚にとっても、緊張を解してくれるマスコットのような存在でした。また今回の催事を通して新たなスタッフを得たような感じでした。
好さんの書が、学生さん達のお手本になりました。/ 書道教室にて
容子様と一緒に、2度の坐禅会に参加
仁さんのお手伝いをされる好さん
黙々とお手伝い中・・・
学生さんとの懇談会にも参加されました。
この御縁も故、加賀信行氏に有りました。奥様の容子様は御主人亡き後、今日も尚、大安禅寺の金曜坐禅会に出席されていますが、その御精進には頭の下がる思いです。容子様が今回の個展に参加されることを聞き、大変嬉しく思いました。御主人とは長い長い御厚誼を頂いて居ました。勿論御主人も長く坐禅会に来ておられました。そのようなご縁から今回参加頂きましたが、容子様も積極的にお手伝い頂き、言葉にならないほど心の中で感謝申し上げました。きっと御主人のお導きではなかったかと感じています。個展開催中にあっても、好さんが日々成長を見せる姿に感心いたしました。
撮影:加賀 好さん
2度の墨蹟パフォーマンスでは、好さんが写真撮影を担当してくれました。
今後、彼女が夢に向かって大いに努力されることと頼もしく思っています。全ての御縁に感謝の真を捧げる1年となりました。これからも周りの人との御縁を大切に、まい進していきたいと思います。友峰和尚より