和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第940話 】
2016年 03月 15日 談

全国宗務所長会議二日目。今日は早朝の開山堂拝塔に引き続き、妙心寺管長猊下ご出席のもと小方丈にて総茶礼が行われ、その後、微笑殿にて本尊諷経(ほんぞんふぎん)が行われました。盆地の京都はさすがに厳しい冷え込みとなり、まだまだ春は遠い先のようで、学生の頃を思い出していました。

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昨日に引き続いての会議でしたが、午後4時には無事に終了し、少しの休息時間を利用して久しぶりに妙心寺山内を散策しました。皆様は妙心寺に参拝されたことが有りますでしょうか?今から約670年前に、花園上皇が時の高僧・関山慧玄禅師を花園離宮に迎えられ開山とした、臨済宗妙心寺派の大本山です。当時の御所地でもあっただけに、今も閑静かつ荘厳な雰囲気を保っています。宗務本所はその入口に建てられており、会議を終えた後の散策は実に爽快でした。宗務所長を拝命して丸4年が過ぎましたが、その間、妙心寺に参拝できる幸せをずっと感じて来たものでした。言い換えれば御釈迦様に一歩でも近づける場所とでも言いましょうか? それと同時に、全国の僧侶仲間達に会えることも楽しみの一つとなっています。

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古都京都は和尚にとってやはり格別な場所のようです。不思議なことに、大安禅寺の禅風、寳勝寺の禅風そして妙心寺の禅風はそれぞれに趣きを異としているのですが、共通点はいづれも清々しい空気に包まれているというところでしょうか。 せっかく京都に来たのだから先斗町にでも行ってみようかなんて思いましたが、まもなくお彼岸会を控えているのでここんところは我慢、我慢です。遠くから修行僧の打つ木版の音がこだまして聞こえてきます。観光都市・京都ですが、妙心寺だけは全く別世界のようでした。さて、明日も頑張ってまいりましょう。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第939話 】
2016年 03月 14日 談

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世界的にも名が知られている古都・京都ですが、JR京都駅からはそのような古都の雰囲気は全く感じられません。されど超近代的な駅の建物が観光客に自然に受け入れられているのも事実のようです。今日は会議出席のため妙心寺の宗務本所に来たわけですが、流石にそこだけは別世界の聖域と感じました。

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近年は地球全体での文化遺産保護運動が活発化しており、さらなる保護を願うものです。大安禅寺の建造物が国指定重要文化財となって8年が経過しましたが、その間にも色々な個所が傷んでいきます。文化遺産を後世に残していく事の大切さを感じながら、今後も保存の努力が求められています。

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さて、今日の全国宗務所長会議も同様に、我が宗派発展の為の質疑応答がなされましたが、人間だけは文化財保護のようなわけには行かず、常に進化が求められています。伝統的宗教の形骸化を防ぐための会議ながら、寺離れや墓じまい・派遣僧・直葬などの社会的現象に対処するにはやはり仏教の原点に立ち返る事が必須のようです。言い換えれば、伽藍仏教から人間仏教に立ち返るチャンスは今なのかも知れません。早春の古都、大本山妙心寺の禅風そのままに法悦を感じ取りながらの会議参加となりました。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第938話 】
2016年 03月 13日 談

鶯の鳴き声を聞きながらの朝を迎えました。本当に穏やかな春の風情漂う境内はゆったりとした感じがしました。この時期は拝観者もまばらで、そのことが一層枯淡な禅寺の雰囲気を醸し出しているようです。

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午前午後に渡って色紙書きに没頭しましたが、毎年この時期恒例の作業ながら流石に歳を感じ始めています。先日、副住職から朱円相の「一に掃除・・・」の言葉を書いた色紙依頼を受けて初めて書いてみましたが、なかなかどうして佳い雰囲気の仕上がりとなり、今後は縁起物の一つとして志納所に置いておこうと思います。

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「一に掃除 二に笑顔 三四元気に おかげさま」 大安友峰 書

古来より朱色は魔除けや生命の躍動を表す色として仏教寺院の仁王門や神社の鳥居、または落款の肉などに使われています。我々の宗派では管長様の袈裟の色も朱色と決まっています。朱色で囲まれた「一に掃除」の文言にさらなる法力が加わるという事でしょうか? 毎日のように信じがたいような事件、事故、災害が発生していますことから、「魔除け」の色紙がきっと災難消除の効果を上げてくれることを願っています。

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和尚の日曜日の過ごし方は様々ですが、最近では副住職が法務を担当してくれているため本当に助かっています。これまではアトリエから臨む木々の枝を眺める余裕なども無かっただけに、最近は日曜日らしい日曜日を堪能しながら四季の移り変わりの情景を楽しむことが出来ています。今まで気づかなかった事の一つ一つを身に染みて感じ取るようになっています。そこで誰かさんが言いました。「和尚も先が見えて来たね!」とか。そうかも知れませんが、なんとなく自分ひとりでにこにこ楽しんでいる時間が増えて来ているのは確かなようです。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第937話 】
2016年 03月 12日 談

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「滋賀北陸教区花園会役員会」のようす / 大安禅寺に

一生を通して人々の住む場所としての居住県を幾たび変えるかと言えば、ほとんどの方が同じ県に生涯の住居を構えることが多いのではないでしょうか。勿論、仕事の関係上、出張などで他県に暫らくの間住まれることはあると思いますが、家族全員が他県に転宅する方はそんなに多くはないと思います。和尚は現在、金沢市と福井市を行き交いながら住んでいますが、住む場所によってこんなにも気持ちが変化するものなのかと感心するばかりです。中には遠く海外に住居を移す方もおられますから尚更の事、ご当地の風土環境や習慣の違いなどから新たな気分を味わっている事と思います。

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今日は大安禅寺で「滋賀北陸教区花園会役員会」が開催されたため福井に居ますが、その環境の変化をしみじみと味わっています。和尚は一度、海外の国に住んでみたいという希望を持っています。全く見知らぬ国に住んでみたいのです。誰ひとり知る人のいない、言葉の通じない環境で果たしてどのような気分を味わえるのか試してみたいのです。「ところ変われば品変わる」という言葉は、人々の心に於いても同じことが言えるかと思います。中国の生んだ「孔子」は、孔子にとって良い環境を選ぶために両親が幾度も転居したそうです。また、仏教がインドの北部地方で誕生したこともその環境から生まれたのだと思います。和尚の勝手気ままな独り言と思ってお許しください。さて教区花園会役員研修会ですが、30名の方々が参加されました。晴天域に恵まれた清々しいなかでの研修会と成りました。お昼には卑山名物の精進料理を賞味頂き、副住職の法話や寺内拝観、各部内会議など一日の日程を無事に終えて散会となりました。

IMG_6079 (500x334)御斎坐 精進料理

IMG_6060 (500x334)大安禅寺副住職の法話

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教区発展の為に多くの役員皆様がお世話をされていますが、今日は本当にお疲れ様でした。今後とも宜しくお願い申し上げます。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第936話 】
2016年 03月 11日 談

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昨晩はしんしんと冷え込む厳しい寒さとなりましたが、そんな中、寶勝寺で6名の参加者のもと初めての坐禅会が開催されました。聞くところによれば世界的にも著名な仏教学者・鈴木大拙博士や西田幾多郎氏なども以前寶勝寺で坐禅をされたとか。禅寺の面目は坐禅行にありますから、再び坐禅会が開催されたことを嬉しく感じています。

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思えば今から40年ほど前に、大安禅寺で坐禅会を開催したことを思い出します。はじめは数名の会員でしたが、今では毎回20名を超える方々が参加されています。どのような事でも続けることの難しさを感じますが、坐禅ほど続けることの困難さを感じるものも他にないかもしれません。座布団一枚の世界ですから面白味や即効性を求めても無理な話ですが、山登りのように頂上を目指し登って行く心境に似て、苦しみの中に一瞬の安らぎを得るような世界なのかも知れません。

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坐禅後、「白隠禅師坐禅和讃」を唱和

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「石中に火あり 打たざれば出でず 人中に仏性あり 修ぜずんば現れず」です。とは言っても継続が大切ですから、一人でも多くの方が参加できるよう工夫しながら進めて行きたいと思っています。

DSC07317 (500x375)終了後の茶礼のようす

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来月は4月14日(木)に開催します。ぜひご参加下さい。


一夜明けて、今日は東日本大震災発生から5年目を迎えました。今朝方も厳しい冷え込みとなり、当時の悲惨な津波の災害状況が思い出されます。本堂に飾られた「津波」の図と共に多くの震災物故者の御霊の鎮魂を念ずるばかりです。心からご冥福をお祈り申し上げます。友峰和尚より

 

友峰和尚のちょっといい話 【 第935話 】
2016年 03月 10日 談

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禅宗の日課経典の中のひとつでも有り、一般的にも良く知られている「般若心経」(はんにゃしんぎょう)ですが、過去現在を通して多くの高僧や学者の方々が翻訳をされています。その中でも、幕末から昭和初期にかけて活躍され京都大本山妙心寺管長職も務められた山本玄峰老師の提唱(講義)が実に面白い。当時録音されたものをまとめた本が発刊されているわけですが、その内容は説得力があってしかも力強くわかり易く説かれ、他に類を見ない程です。そうは言っても皆様には何をもって優れているのか伝えようも無いのですが、結論から言えば、「何にも思うな 思わぬところに花が咲く」という内容でしょうか?

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数年前、修行時代の仲間達とともに御釈迦様の修行地インドの仏跡をぐるりと旅しましたが、その時に痛感したのは雄大な大自然の素晴らしさでした。日本でも昔は人里離れた深い山奥や静かな環境を選んで修行場としたのもうなずけます。近代文明の発展は人間の心も身体も限りなく拘束していくように思いますが、唯一その環境から脱皮できるのが「坐禅」だと思います。大自然と心身が同化する体験は坐禅も同じで、座布団の上で無我の境地を体得することが出来ます。いつの時代に有っても心の自由を求める人々の願いは変わらないのだと思います。

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いよいよ寶勝寺でも本日より坐禅会が開催されます。雄大な大自然の中に居るような感覚を皆様も一度体験してみませんか? 般若心経そのままに大いなる智慧との遭遇こそ坐禅の醍醐味であると和尚は思います。嗚呼良き行いにはやはり努力と辛抱が伴うのは、昔も今も変わらない現実なのかも知れませんね。坐禅に来たれ!! 友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第934話 】
2016年 03月 09日 談

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3月9日は「感謝をささげる日」言い換えれば「サンキューデー」とは和尚が勝手に決めて、徹底的にお部屋の整理整頓をしてみましたが、結構気分の良い一日となりました。日用品を整理する為の棚や小箱を求めて近くのホームセンターを訪ねましたが、レジの女性店員さんの余りにも笑顔が素敵で丁寧な対応にまず今日最初の「有り難う」の言葉。その女性に近場のガソリンスタンドの場所を訪ねたところ、これまた親切な応対で2度目の「有り難う」の心。スタンドではセルフサービスながらスタッフの若き男性の方が一つ一つの所作を分かりやすく教えてくれて、3度目の「有り難う」を言いました。買い物を終え、寺に戻って早速に部屋の整理整頓にあたりましたが、小物入れ整理箱のおかげでスムーズに片付けが出来て思わず整理箱さんに「有り難う」って呟きました。こんな風に一日を過ごして行くと、数えきれない程の「有り難う」の気持ちを持って過ごしている事が良くわかります。考えてみればどれだけ多くの感謝の気持ちを表すことが出来たかが、一日の幸せ感の密度を高めていくように思います。「有り難う、お蔭様」この二つの心が自分のライフワークを豊かにしてくれている仏の心のようです。さて、今日はまた、ホームページ総閲覧者数10万名を超えた記念すべき日となりました。本当に多くの皆様に読んで頂けることに心から感謝申し上げた一日となったようです。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第933話 】
2016年 03月 08日 談

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2年前にブログを開始してから、明日あたりで総閲覧者数が10万人を突破しそうです。時折以前のブログを振り返って見るのも面白く、自分の行動パターンや老化現象の進み具合などが読み取れます。また、その時々に出会った方々との出来事も話題として書き残しているので、皆様も是非、昔を振り返って見て頂ければと思います。写真などは特に、その場面の真を捉えている為、如実に伝わって来るものが有ります。「ずいぶんと若かったものだ」と思う写真や「いやいや当時はそのように考えていたのか」など、心の動きが実感できるのもブログの面白味なのかも知れません。一見、自分の日記のようでもありますが、エッセイなども含めて人間模様が伝わって来るような気がします。これからも書き続けて行ければと念じています。私用で福井在住のお茶華の先生に久しぶりに電話した折、和尚のブログを見て下さっているとの事で、大変嬉しく思ったものでした。今日は寶勝寺・寺カフェがお休みだったので、疎遠になっていた方々に消息の電話をしたり、部屋の備品調達の買い出しに行っているうちに時間が過ぎてしまいました。外出してみれば、相変わらず金沢市内は平日にもかかわらず観光客の方々で賑わいを見せていました。この10日から木曜坐禅会を開始ししますが、金沢市を訪れる外国人の観光客の方々にも今後は参加して頂けたらと思っています。さてさて皆様もいちど街なかでの坐禅にトライしてみませんか?「安禅は必ずしも山水を用いず 心頭滅却すれば火もまた自ずから涼し」 どうぞ勇気を奮ってご参加ください。 風流ならざるところまた風流って心境を得ること間違いなしですぞ! 坐禅に来たれ!! 友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第932話 】
2016年 03月 07日 談

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宗教界でも色々な本が発刊されていますが、今日は午後から「月刊住職」の取材がありました。現在、寺町には青年僧を中心とした「寺活」のグループが組織されており、西方寺様を会長に承証寺様、長久寺様、妙法寺様の4ヶ寺の住職が集まって「寺活」についての活動状況等が報告されました。

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我々の宗派も最近では青年僧が活発に布教活動を展開しているわけですが、金沢市寺町寺院群は約60ヶ寺の各宗各派の寺院が集合している全国的にも珍しい地域だけに、今後の寺活が注目されています。そんな中での取材を受けたわけですが、各寺院の僧侶の方々から大変有意義なお話を聞くことが出来ました。和尚はアドバイザー的立場ですが、若き青年層の活躍を見守って行きたいものです。

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このところ暖かい気候が続いていましたが、明日からは再び寒気が入って寒くなるとか。この時期「三寒四温」なる言葉が有りますが真にその通りで、暑くなったり寒くなったりしながら次第に過ごし易い春を迎えて行くようです。さて、大安禅寺から依頼されていた色紙書きも本日で全て仕上げることが出来ました。筆を持つ手もこれまでと違って軽快に動いてくれましたが、早春の暖かさが身も心もほぐしてくれているようです。それにしましても宿題はいくつになっても辛いものですね。友峰和尚より

友峰和尚のちょっといい話 【 第931話 】
2016年 03月 06日 談

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なんとなんと22℃まで気温の上がった暖かい一日となりました。屋内に居るより外に出た方が気持ちが良く、時折強く吹きつける風の中に、仄かに桜の匂いを感じさせてくれました。もう確実に桜の開花準備が始まっているようです。天気予報では午後から雨模様とのことでしたが、予報に反して穏やかな一日となり、寺カフェを訪れる観光客に旅行を満喫されている様子をうかがい知ることが出来ました。午後からは野町の少林寺様を訪ね、その後は和尚を訪ねて来られた方々の応対となりましたが、日曜日という事もあってのんびりと過ごすことが出来ました。

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この11日、東日本大震災発生から5年を迎えるという事で、当時和尚が描いた「津波」の作品を本堂に展示して11日の霊供養に備えました。テレビや新聞でも当時の悲惨だった震災状況が報道されています様に当時の恐ろしい光景がよみがえって来るようです。今改めて自分の津波の作品に接して見て当時以上にその悲惨さを思います。「津波」の絵は、東日本大震災を後世に伝えていくための震災メモリアル作品として、寺に保管して毎年展示していきたいと思います。寺カフェを訪れる方々にも是非、見て頂きたいと思っています。

DSC07239 (500x375)「津波 ~般若心経~」

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一日を無事に終える時、心から感謝の念が湧いてきます。無事でいることの喜びと同時に、無事であることの難しさを感じ取るからかも知れません。最近は余りにも心を揺るがすような事件事故災害のニュースが多いだけに尚更の事です。せめて日曜日くらい、楽しいニュースを拝聴したいと願うものです。まもなく桜の季節!心待ちしているのは和尚だけではないようです。友峰和尚より

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