寶勝寺日誌

髙橋友峰住職「第1回 アートサクレ芸術祭」のご案内
2018年 08月 08日

2019年 4月、フランス・サンリス市で開催される芸術祭「第1回 アート・サクレ芸術祭」に、髙橋友峰住職が招待禅僧として参加することになりました。こちらはその芸術祭をご紹介するページです。ぜひ御覧下さい!

 

 

サンリス市 

 

「第一回 アート・サクレ」フェスティバル

開催期間:2019年 4月21日(日)~4月28日(日)

2019テーマ「大地から星への詩」

ノートルダム大聖堂 * 聖ピエール教会 * 聖フランブール礼拝堂

 

 

公式サイトを是非ご覧下さい↑ こちらをクリック

 

 

※動画の中で、住職のメッセージ映像が紹介されています。(2分52秒頃~)

 

 

 

       

       歴史あるサンリスの風景 芸術祭会場となる美しい教会

 

 

スピリチュアルな世界を表現するための舞台

 

このフェスティバルは、あらゆる文化・分野・時代を混ぜ合わせ、全ての宗教やスピリチュアルな活動から創造された美に門戸を開いています。コンサート、展覧会、会議など精神芸術の多様性や活発さを反映し、多彩なプログラムから構成されています。(公式サイトより)

 

 

芸術、最も普遍的な財産の芸術よりも重要なことは、人々が共に集うことでしょうか?

「芸術」…、文化と思想は欠くことの出来ない結び付きです。芸術は、生まれや言語、作者が誰であろうとも、様々な人々の象徴的・審美的・表現力豊かな世界に出会うことを可能にしてくれます。これが、この聖ピエール教会で8日間に渡って開催されるコンサート、展覧会、アトリエ、スタンド、会議などのイベントの骨子です。サンリス「アート・サクレ」フェスティバルは、スピリチュアルな生活や活動を行っているアーティストのみならず、感じたものを自由に表現しようとするアーティストにも門戸を広く開いています。

力の噴出

宗教の復活は、過去30年間に渡りフランスで観察された最も重要な事柄の一つです。が、この動きは、絵画や彫刻の下で、大部分が過小評価または無視されています。20世紀の初めから、芸術作品は魂を失った近代性を反映する傾向にあります。しかし、聖なるものは排除することが出来ません。それは灰の中から蘇り、私たちに力が湧き出る共通のビジョンを与えます。

 

存在をたたえる

このフェスティバルでは、集中力、繊細な感覚、感情、抽象、探究、バランス、混沌……表現するために歩み続け、自己を超える努力をしているアーティストが沢山いることを伝えたいと思っています。そう、世の中には、騒音から遠く離れて作業を続けるアーティストが存在しています。彼らの作品は、近代主義の基準にはそぐわないかもしれませんが、確かに近代社会の中に存在しています。そういった作品に光を与えることは私たちの誇りです。

 

神秘を解き放つ

サンリスには長い歴史と厳かな大聖堂が存在しています。「芸術」は、そのサンリスの懐でフェスティバルの一時を共に過ごすように導いてくれる糸です。宗教の枠を超え、サンリス「アート・サクレ」フェスティバルが出展者・来場者共に感嘆し、神秘を解き放ち、とりわけ敬意を共有できる機会になれば幸いです。御友人や御家族、そしてお一人でも是非ご来場下さい!

 


 

 

サンリス、「王家の街」…

 

中世の美しい街並みを残すパリ近郊の街サンリス(オー=ド=フランス地域圏、オワーズ県)。フランス・カペー王朝の始まりの地(987年)でもあるサンリスは、その後もシャルル10世(19世紀)の治世まで数世紀に渡り歴代フランス国王が訪問し、滞在地としてその地位を保ち続けてきたことから、現在に至るまで「王家の街」と呼ばれています。石造りの古い街並みが残るこの町は、「髪結いの亭主」や「王妃マルゴ」など、フランス映画の撮影舞台として数多くスクリーンにも登場し、映画人を惹き付けて止まない街としても知られています。

王宮の目の前に建つノートルダム大聖堂は、12世紀から16世紀にかけて建造されたサンリスのゴシック建築の象徴です。またユーグ・カペーの妻アデライード王妃(Adélaïde d’Aquitaine/945-952頃-1004)によって建てられた聖フランブール礼拝堂や13世紀にルイ9世(Louis Ⅸ/1214-1270)の命で建てられた聖モーリス小修道院など、街にはフランス王家ゆかりの歴史的建造物が数多く残されています。
その他にも、街の中心部にある3つの博物館が、サンリスの豊かな歴史と文化を今に伝えています。

 

大安禅寺 薔薇園のご紹介
2018年 06月 23日

 

平成30年6月19日、寺内と境内につづき、花菖蒲園と薔薇園を観賞させて頂きました。花菖蒲は満開を過ぎ名残花となっていましたが、緑葉の中に、浮かぶような大輪の花が本当に美しく咲いていました。

 

なぜか 紫の品種ばかり カメラが向いてしまいます

 

【 薔薇園にて 】

 

釣鐘状のクレマチス 圧巻の花房です

 

「大安禅寺 薔薇園」では、今年も奥様にご案内して頂きながらのとても贅沢なひとときを過ごさせて頂きました。山から吹き抜ける清風、野鳥のさえずりとともに、多種多様なバラやクレマチス、ラベンダーやミントなどのハーブと珍しい初夏の花々、グランドカバーといわれる地表の草花まで本当に見応えのある、美しい薔薇庭園となっています。

 

~ 薔薇の花々 ~

ピース (Peace)/ フランス

ベルサイユのばら「La Rose de Versailles」 / フランス

園内には品種名や産地の説明札が付けられているものもあり、どの花もとても優雅な名前です。お伺いした6月19日、バラの木々は一度目の満開を終え、再び次々と新しいつぼみを付け始めていました。花菖蒲祭千秋楽から7月にかけても、見頃が続いているのではないでしょうか。

 

 

 

 

つぼみ から 大輪へ 刻々と変化する花の姿

 

 

ときおり 遠い異国を旅しているような 気持ちになりました

 

 

 

 

 

 

 

 

 

透き通るレモン色のバラ 木陰の青紫陽花が 黄色を一段と際立たせます

 

八つ橋のテラスの 屋根の上にまで伸びる枝葉に大きなつぼみ

 

 

 

【 クレマチス の花々】

園内にはいり、最初に迎えてくれる純白のクレマチス。真紅のバラとのコラボレーションが、花菖蒲祭の華やかさを引き立てるかのようです。

 

バラのつぼみとクレマチスの調和

 

 

 

 

 

鈴なりの満開クレマチス

 

クレマチス 鉄線 と アナベル(白紫陽花)

 

 

 

 

 

珍しいクレマチスの花後 なぜこんな くるくる に なるのでしょう

金クルクル品種 と 銀クルクル品種のコラボレーション 花の色も 絶妙 です

 

お客様も不思議そうに眺めておられました

 

 

こちらも 本当に珍しい クレマチス  「 サンダー 」というそうです

 

 

風にそよぐ五色の吹流し、 清々しい大安禅寺薔薇園でのひとときとなりました。また来シーズンを心待ちに、お花の写真を眺めつつ寳勝寺での植栽に精力的に取り組んでいきたいと思っております。

誠に ありがとうございました

 

大安禅寺をお参りしました
2018年 06月 22日

 

大安禅寺境内にて 本堂正面より本尊聖十一面観世音菩薩を参詣

平成30年6月19日火曜日、大安禅寺を拝観し花菖蒲園や薔薇園をゆっくりと観賞させて頂きました。当日撮影しました写真を中心にご紹介させて頂きます。

 

【 境内にて 】

 

大門の前に 沙羅双樹

つぼみはもちろんのこと ふさふさとした大きな葉です

 

境内じゅう 朱や緑のもみじ眩しい景色

 

庫裡玄関までの 壮大な参道の景色です

大自然の中の のびのびとした花々

 

【 寺内にて 】

庫裡玄関にて 「萬松山」の扁額と 住職が描かれた達磨図衝立

 

文房流晴心会 野口支部様によるいけばな と 長田和也様の手漉越前和紙行燈

 

 

中庭にて 蒔絵のようなもみじのきらめきに感動しました

 

誕生佛 と 平出全价和尚禅画 「唯我独尊」のもとに

 

 

【 いけばな展 】

文房流晴心会野口支部様の華展「緑風に誘われて」

 

 

支部の皆様によって常にお花の入替えや生けこみが行われており、華展期間中は毎日、活き活きとした新作が展示されています。花や葉々の凜とした姿はいつまでも眺めていたい、離れがたいような美しさです。

 

 

 

同じ作品を どの角度から鑑賞しても 美しい姿です

 

 

江戸時代は きっとこんな光のもと お花を鑑賞されていた事と 思いを巡らせました… / 開基堂にて

 

 

「行雲流水」 渓仙 書 / 松雲院にて

 

 

【 旧参道 や 駐車場 にて 】

どこまでも続くような 松林と紫陽花です

 

北陸の山の中の しっとりと潤った紫陽花

6月下旬から7月へ 本格的梅雨に入るとますます美しくなることと思います

寳勝寺 盂蘭盆会のご案内
2018年 06月 21日

【平成30年度 寳勝寺・盂蘭盆会のご案内 】

本年の盂蘭盆会法要は、7月8日 午前十時より厳修致します。

寳勝寺檀信徒の皆様には丁重なるご返信を賜り厚く御礼申し上げます。(返信の締切は7月1日です)

本年も皆様方の御来寺を心よりお待ち申し上げております。


 

日中友好の朝顔 植替えをしました
2018年 06月 14日

丈夫で 元気な苗が 育っています

今年も「日中友好の朝顔」の季節がやって来ました。例年にも増して元気で丈夫な苗が育っています。六月の清風吹き抜ける寳勝寺境内にて、今日は苗床からプランターへの植替え作業をしました。

暑くなく寒くもなく、絶好の植替え日和です。山門に、境内に、霊苑にとますます沢山のお花を咲かせることになっており、今から本当に楽しみに準備しています。

植替え作業に引き続き、中庭の大掃除をしました。2月の大雪の影響からか(?)今年は異常なほど旺盛に植物が育ち、実生が生え、森のようになっていました。惜しみつつ草とともに実生を抜き取り、枝を剪定するなどして形を整えました。梅雨時期となり、苔もいっそう生き生きしています。

庭の中央に 大安禅寺から株分けされた花菖蒲です

柏葉紫陽花もいきいきと

境内 初夏の花
2018年 05月 18日

雨の前 の 蒸し暑さです

遠くで雷鳴が聞こえ始めました、寳勝寺玄関前です。6月下旬のような蒸し暑さで、今夜にかけて暴風雨になるとのこと。朱傘や毛氈の床机を片付けようか否かと迷っているところです。

沙羅双樹の樹

ふれあいパーク霊苑の薔薇に引き続き、本日は寳勝寺境内の庭をご紹介させて頂きます。式台玄関の前に新しく植えられた沙羅双樹、いつのまにか大きな葉を広げ、たくさんのつぼみがついています。大安禅寺の沙羅双樹とずいぶん樹形が違うので、冬の間は「本当に沙羅双樹?」と疑いの眼でしたが、細い枝先にも大きなつぼみがつきました! 開花が本当に楽しみです。

沙羅の木の根元には、細竹、白萩、ツワブキとともに、涼やかなアシや小菊を植えています。細竹は一年に一度、七夕の折に短冊などを飾りつけています。

ホタルブクロ つぼみが出て来ました

玄関横 の 定家かずらが咲き始めました

 

やぶらん

突貫忍冬

京かのこ

天蓋百合 野地菊

かつてのお庭から移植した草花も、それぞれの新しい場所で根を伸ばし始めています。

高田様から頂いた 茉莉花の苗

山門に咲く睡蓮は ご近所のアイドル

ふじばかま

寳勝寺の中庭では、2月大雪の影響で植物の成長にも変化がありました。屋根雪落下で紫陽花が四方に折れてしまったのですが、かわりに根元のふじばかまが旺盛に育っています。

なんと珍しいカメムシを発見 背中の絵柄が昆虫のようです

 

「カフェ」

苗を購入して3年目のバラ、その名も「カフェ」です。3年を経てようやくたくさんの花を咲かせてくれるようになりました。寳勝寺の庭もふれあいパーク霊苑も改葬修繕後、初めての春を迎えています。来年、再来年へと本当に楽しみなお庭になっています。

ふれあいパーク霊苑の薔薇
2018年 05月 17日

 

いよいよ薔薇の花が咲き始めました、宝勝寺ふれあいパーク霊苑です。晴天と雨、五月のお天気に添って毎日次々と開花しています。この度は、霊苑に咲く薔薇のようすを特集してご紹介させて頂きます。

 

絹のような花びらです

スタンダード薔薇 花束のように

合祀墓「 宙 ~そら~ 」の 美しい花園

壁面の薔薇

故人のお名前を刻むガラスプレートにつたう ツルバラと葡萄

まぶしいほど 鮮やかな濃い桃色

代々墓「奥の院」にて

石柱を伝うツルバラ 開苑から一年で こんなに旺盛に成長しました

 

色鮮やか美しい姿かたちの花々が、苑内の御墓を優しく包み込むように咲いています。この地で眠られる御霊とともに、お参りの方々の心も真に癒される庭園霊苑となりました。毎日訪ねたい、いつまでもお参りしていたい、気持ちになります。

   

 

これからますます美しく開花していくことと思います。

皆様 薔薇の季節に 是非ご参拝ください

大型連休中の寺カフェ
2018年 05月 01日

いよいよ五月となりました。今日も無事、寺カフェのお仕事を終え、静けさの戻った玄関前です。霊苑改葬と境内改修後、初めての春の大型連休を迎えていますが、美しく整った寺の景色には沢山の感謝とともに、不思議なずっと以前からそうだったかのような懐かしさを感じています。

こでまり

かつて式台玄関の右脇に植えられていた、こでまりです。やや小さく剪定されていますが、新しい場所で大きな花を咲かせています。

ニシキギ

四年ほど前、奥様が本堂前に植えられたニシキギです。当時の何倍も大きくなりました。新緑から紅葉まで、一年じゅう美しい樹木です。

ニシキギ たくさんの小さな花を咲かせています

移植された木々の根にくっついて 蔓日々草が出てきました

式台玄関のおだまき 健在です

式台玄関のオダマキが、今年も元気に開花しました。昨年、鉢植えにしたオダマキは今年まったく芽が出ず、無念ではありますが、種が残っていますのでまた新たに育ててみたいと思っています。

新しく 玄関に植えました 都忘れ

中庭の白すみれ 庫裡玄関前に少し移植しました

 

連休中、寺カフェのお客様をおもてなしするため寺内のあちこちに生花を飾っています。昨年に引き続き今年も傳燈寺のお山から山野草を頂いて来ました。

ちごゆり

ひめしゃが

鈴蘭 ビオラ 風知草 は 寳勝寺の庭からです

 

また、ふれあいパーク霊苑でも、「和エリア」の花々を始め「洋エリア」のバラがたくさんのつぼみをつけ始め、開花が待ち遠しい近頃です。

湧水のせせらぎとともに

代々墓「奥の院」 石柱の薔薇

歴史深いこの地に 美しい開花を 待ち遠しく思います

まだまだ続く大型連休、お客様には寺内でゆっくりされた後、また境内の床几に座ってゆっくり語らう姿がなんとも嬉しい日々です。御来寺下さいました皆様に心より厚く御礼申し上げます。寺カフェは5月6日まで休まず開業しています。ぜひお立ち寄りください。

新芽が次々と / 擬宝珠 アジュガ

春の訪れです
2018年 04月 12日

今朝の寳勝寺 式台玄関にて

穏やかな春風の吹く今朝の寳勝寺玄関前です。植物がいっせいに育ち、花々が開き、一日一日の変化に心躍るような季節がやって参りました。この時期の寺カフェには、多くの外国人旅行者の方がお見えになります。(四月中、金沢港には欧米からのたくさんのクルーズ船が寄港しているそうです。)時には外国の方で席がいっぱいになるほどですが、皆様には本当に「お寺のカフェ」を喜んで下さっている様子で、スタッフもわずかの基礎英語と笑顔で張り切って応対しています。

 

まもなく スズラン が咲き始めます

野菖蒲が成長しています

 

 

エアコンの上に、季節を告げるお客様が・・・

そして今日は、寺カフェのオープンと同時に季節を告げるお客様が舞い込んで来ました。「つばめ」であります。本堂じゅうをバタバタと往来し大騒ぎでしたが、なぜか吉兆を運んで来てくれたような、嬉しい出来事でした。

じっとこちらを見ています・・・

このあと、本堂正面の大扉から飛び去って行きました

 

 

そして最後にやはり、嬉しい出来事がありました。寺カフェのお客様からのありがたいメッセージです! 本当に嬉しいお言葉でした。長い冬が明けてまた本格的な観光シーズンがやって来ますが、今年も一年、頑張って務めて参りたいと思います。

 

中庭にひっそりと イカリソウが咲いています

3/11 春季彼岸会住職法話
2018年 03月 21日

【平成三十年度 春季彼岸会 住職法話のご紹介】

 

 

「うかうかと 暮らすようでも瓢箪の 真ん中あたりに締めくくりあり」

なかなか粋な歌ですが、現代社会は立ち止まることなく前へ前へと進んで行きますから、うかうか暮らしているとあっという間に一生が終わってしまいます。 今日、3月11日は未曾有の東日本大震災が起こった日ですが、人生は本当にいつ何が起きるかわかりませんから、我々は常に自分を省みながら生きていかねばならないと思うものです。 ・・・臨済宗の祖、臨済義玄禅師の言葉を集めた「臨済録」の中に、次のような逸話があります。

 


 

師、因みに一日河府に到る。府主王常侍、師を請じて陞座(しんぞ)せしむ。(ある日、臨済禅師は県知事の王常侍に説法を請われて河北府へ行きました。)

 

時に麻谷(まよく)出でて問う、「大悲千手眼、那箇(なこ)か是れ正眼?」(臨済禅師が演壇の座に登ると、麻谷が進み出て禅問答をしかけました。「千手千眼観世音菩薩の、どれが本当の手であり、どれが本当の眼でしょうか?」)

 

師云(いわ)く、「大悲千手眼、那箇(なこ)か是れ正眼、速(すみや)かに道(い)え、速かに道え。」(臨済禅師は言われました。「どれが本物だと? お前こそ答えてみよ。」)

 

麻谷師をひいて師を下(くだ)らしめ、麻谷却って坐す。(その言葉を聞くや、麻谷は臨済禅師を演壇から引きずり降ろして自分が演壇に登り、この全身こそがその手であり眼であるということを示しました。)

 

師近前(きんぜん)して云く、「不審。」(すると今度は臨済禅師が麻谷に近づき、突然「ごきげんよう。」と挨拶をされました。麻谷が本当に悟り切り、真の手、真の眼に成り切っているかを確かめるためです。)

 

麻谷擬議(ぎぎ)す。師も亦た麻谷をひいて下らしめ、師却って坐す。麻谷便(すなわ)ち出で去る。師便ち出で去る。(思いがけない禅師の言葉に、麻谷は一瞬うろたえました。その隙に臨済禅師は麻谷を引きずり降ろし、再び自身が演壇に座られました。引きずり降ろされた麻谷は、さっとその場を立ち去りました。これもまた千手千眼観世音菩薩に成り切った自由な働きを示す行動でした。その思い切りのよい行動に、臨済禅師もまた、さっと演壇から降りられました。)

 


 

・・・禅問答というのはとても面白いですね。常に「自己の主体性」を試しているわけです。普段の生活の中でも、人間はいつも他人と比較してしまいます。「俺は駄目な人間だ。」とか、「俺は偉いぞ。」というふうに思ってしまうんです。奢ったり卑下してみたり、泣いたり笑ったりしながら、この肉体はいずれ朽ちていく。では、肉体を失ったとき、我々の心はどこへ行くのか。極楽か地獄かと迷うんです。ところが、真剣に坐禅を続けていくと、ある時、本来自己というものは何も無いとはっきり解かるようになります。「俺のものだ、俺の体だ。」と思っている、その「俺」が一番の問題で、この肉体も、生きているという証しの心臓も、自分が作ったわけではないのです。・・・修行時代、朝課(ちょうか・朝のお勤め)の際、師匠に「殿司(でんす※)、何しとるかー!」といきなり怒られたことがあります(※でんす…お経を唱える役割を与えられた雲水のこと)  「何をしているんだ! 熱いじゃないか! よく見ろ!」と言われるので何のことかと思うと、仏壇の花にローソクが近づきすぎているというのです。「お前たちは、花に成り切っていないから解からないんだ! 顔の横にローソクがあったら火傷するだろう?!」と。そういう、対象と一体となった修行をする。常に相手に成り切る。成り切ったら自分を捨て切って、捨て切ったら思い切って行動する。それが禅です。

・・・今回の大雪では、霊苑職員の皆さんが来る日も来る日も除雪をして参道を確保してくれました。「雪はイヤだな、寒いな。」などと言っていたら人生は何も出来ない。寒くて辛いけれど、雪に成り切って、スコップに成り切って、外へ躍り出ていく。それこそが「彼岸」であり「パーラミタ」、すなわち「般若の智慧」です。もとより何も無いのだから、自分に執着する心を捨て切って、何事にも全身全霊で相手を思いやり人生を歩んで行くことが大切です。・・・今回は7回目の春季彼岸会ということで、今年も無事に円成出来たことを心から感謝申し上げます。お盆には、ふれあいパーク霊苑の合同供養などもありますので、また皆様そろって御出席頂ければと思います。本日はお参り頂きまして本当にありがとうございました。 

2018年3月11日 春季彼岸会法話より (事務局が編集しました)

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