寶勝寺日誌
日々着々と進んでいる御手洗所移設工事ですが、新しい壁や床板が張られ、木の香り漂う清々しいトイレの全景が見え始めています。
一方、旧お手洗い所の解体工事も始まりました。メリメリバキバキという音と共にあっという間に解体されましたが、何も無くなってみますと、なるほどかつて玄関だったという風格が戻ってくるように思います。
約1か月後には、ここが式台(玄関)になっているということで、工事の過程が本当に楽しみです。
屋根瓦の葺き替えが無事完了しました。来週頃には足場の解体が始まるとのことで、整然と佇む屋根がまもなくお目見えです。旧お手洗い所は、電気や水道が止まり、いよいよ式台玄関復興工事が始まります。それに先駆け、式台玄関の屋根に銅板が葺かれました。
復元された懸魚(げぎょ) / 撮影 平成27年2月3日
本堂屋根の妻飾り「懸魚(げぎょ)」が、大工師の岩内さまによって復元されました。屋根の頂に取り付けられる飾りです。水を思わせる魚を模り、火除けのおまじないの意味があるそうです。足場が外れ本堂全景を拝見できる日が本当に楽しみになって参りました。
屋根の修復が大凡終了し、続いて、お手洗所移設工事が本格的に進んでいます。
本堂・上の間、柱の補修が進み、新しい材木が継ぎ足されています。古い柱にぴったりと組み合わさっています。
外側の柱にも、新しい材木が継ぎ足されました
柱の足元には、鉛の板が敷かれています。大工師の方に触らせて頂きましたところ、柔らかく大層重い板でした。この板を敷くことによって、柱と束石がゆっくりしっくりと馴染み、尚頑丈になるとのお話でした。
こちらは、本堂・上の間(お茶室)の最奥です。御手洗所移設に際し、腐っていた柱の補強が行われているところです。
お手洗所側です。古い柱の腐った部分を切り落とし、加工しておられます。
「古い柱」ですが、断面部分の木の密度や瑞々しさに驚きました。「ここに新しい材木を組み足して補強すると、また百年はゆうに持つ。」と、大工師の岩内さまがお話しくださいました。
左側の柱も同じように補強が行われます。
立春を前に、晴れ間に小雪にちらつく良いお天気となりました。寳勝寺の本堂屋根修復も終盤に入り、本堂正面側の屋根の瓦ふきが始まっています。屋根に運ばれ、整然と並べられた瓦が頼もしく、清々しい光景です。
こちら側にも・・・
地元報道機関の取材があり、屋根瓦と棟札とともに写真撮影中の住職
お堂の中よりも、外気の方が暖かく感じられる本日、中庭では昨冬植樹された蝋梅の木に、小さなつぼみを見つけることが出来ました。
屋根工事の足場と雪に阻まれて、しばらく疎遠になっていた中庭ですが、着々と春に向かっているようです。
そんななか、今日は寳勝寺檀信徒で市内にお住まいの北條さまがご挨拶にお越しくださり、久しくご歓談下さいました。住職の御誕生日お祝いケーキを賜り、茶礼をされているところです。本日は誠にありがとうございました。
また、夕刻には金沢市歴史文化部・歴史建造物整備課の皆様が御来山下さり、御手洗い所移設工事現場の視察が行われました。寳勝寺本堂は伝統的建造物に選定されており、創建当初からの柱や基礎部分を丁寧に調査されていました。工事も一日、一日、着実に進んでおります。
本堂正面側の屋根です。現在、瓦野地を取り付ける工事が行われています。
瓦も徐々に運び上げられており、屋根の修復終了まではあとわずかとなりました。
午後からは、金沢市・歴史文化部歴史建造物整備課の新保様が、松浦建設㈱の東野様とともに御手洗い場所の視察の為、来山されました。
お手洗いの移設に向けて、本格的な工事が始まっています。床面のモルタルが崩され、壁面も解体されました。現代の物が取り外され、建物と土間だけになりますと、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような空間です。
古くからあると思われる格子窓からは和の文化独特の絶妙な明かりが入り、今の日本のおトイレ文化の先駆けではなかったかと思われるほど趣があります。新しく設置されるお手洗いのインテリアも、現存する窓を残し、お寺らしい落ち着いた色合いになる予定です。