9月, 2022年

第3311話

2022-09-10

窓からの景色

 

部屋から金沢市内が望めますが、秋空の澄み切った空気感の中、真っ白な雲の変化を眺めているのもなかなか風情を感じます。普段は空を見上げてじっと観察することも無いだけに実に面白く見続けているのですが、雲の形の変化は人生に似て結構哲学できるものです。「秋なれや 月を追う雲 逃げる雲」という俳句が有りましたが正に人生もかくの如しで、うかうかしているとアッという間に時間が過ぎ去ってしまうものです。

 

 

さて入院6日目を迎えていますが、身体が不調だった原因の病名も大腸憩室症炎と分かり現在はひたすら点滴治療に徹しながらの断食が続いており、週明けより食事が開始されるとのことでした。不思議な事に、絶食して6日目を迎えているのに全くお腹が空かないのは何故なのでしょうか? 胃は空っぽなのにグルグルと軽やかな音を立てています。人生74年目にして初めて一週間の断食となり、きっと内臓達も大休息し大喜びしているに違いありません。これこそ禍を転じて福と為すとなることを願うばかりです。

 

 


それにしましても看護師さん達の働く姿には言葉もなく合掌しながら感謝しています。世の中には本当に色々な職業がありますが、患者のお世話ほど大変な仕事は無いと思います。そのご苦労に応えるためにも療養に徹して、一日も早い回復を目指し精進して参りましょう!頑張ります! 友峰和尚より

 

 

 

第3310話

2022-09-09

 

 

「病みてこそ道心(どうしん)の起こる候 不幸はこれ道(どう)の幸いなり」 この言葉は、妙心寺を開創された第九十五代花園法皇様が妙心寺開山無相大師と会われた時に語られた言葉ですが、和尚も普段よく法話の中で引用させて頂いています。本来で有れば普段の生活の中で道心が生かされねばなりません。煩悩多き人間の世界ではなかなか自分をさておいて相手を思いやるほどの余裕も気力も無いように思います。

 

 

しかしながらいちど病に臥すと、自分の病気と対面する中で日々“命とはなんぞや!心とは何ぞや!”と自問自答するものです。まして入院となりますと色々な病気療養に苦悩されている患者の姿に直面し、健康で元気であった頃の自分をつくづく振り返り感謝の念で一杯になります。病みてこそ道心の起こる候、不幸はこれ道の幸いなり! 花園法皇様が無相大師と出会い素直に発した真の心でもあると思います。吾(われ)いまだ救われざるに他人(ひと)を救わんと誓うなり、という菩薩の行は正にこの事だと思います。

 

 

さて入院5日目に入り次第に病棟の患者様の療養様子を伺い知るにつけ、自室にて皆様方の一日も早いご快復を坐禅をしながら心から祈念しています。無病息災から一病息災を心に刻み、健康回復に向けて療養に精進して参りたく思っております。友峰和尚より

第3309話

2022-09-08

「 閑日 」 渓仙 書

 

9月に入ってから体調を崩し静養しながら法務を遂行していましたが、大事を取って近くの病院に検査入院しました。当初は一週間ほどを予定していましたが、内視鏡検査なども含めこの際徹底して検査をして頂き、身体の復調に専心したいと思います。現在はコロナ禍のため一旦入院すると面会謝絶となり不便な事も多々ありますが、深い山に隠遁した気持ちで日々療養に努める所存です。

 

寳勝寺では 外掃除の一日

 

 

 

されど実際には入院した途端に法務が大変気になりさっそく新命和尚にも連絡して予定を調整していますが、新命和尚も多忙を極めている様子で、日頃より御厚誼を頂き御加担くださっている桂岩寺和尚様に代務をお願いしたところ快く承諾くださり本当に感謝し安堵しています。しばらくの間、檀信徒皆様には大変ご迷惑をお掛け致しますが、体調が回復次第法務に復帰したいと願っております。

 

秋の草花が咲き始めた 中庭

霊苑でも 秋のバラが咲き始めました

 

さて約30年ぶりの病院療養生活ですが、何もかもが違っていました。近代的な病室や院内の風景など別次元に感じます。ただ今はWi-fiの時代、病室にインターネット装備が無いのが残念ですが、療養となれば当たり前の事です。久しぶりに日々の点滴から静養が始まりましたが、診察の合間を見ながらベッドの上で坐禅をしています。病室からは市内が一望できますが、なんとも忙中閑ありの心境です。臨済義玄禅師の「赤肉団上に一無位の真人あり。常に汝等諸人の面門より出入す。未だ証拠せざる者は看よ!看よ!」の禅問答を日々拈提して参りたいと思います。友峰和尚より

 

第3308話

2022-09-07

寳勝寺境内にて

台風一過の朝を迎えましたが、心配した風雨災害もなく無事通過したようで安堵しました。強風に備えて片付けようとしていた霊苑入口の五色の吹き流しですが、風に煽られたのか竹竿の天辺に絡まり降ろすのが難しい状態になっていました。境内の草木もどんよりした曇り空のもと再び息を吹き返しているようでした。

 

天辺に引っかかっている吹き流しです

玄関の白萩が 今年も大きく育っています

 

宝勝寺の応接間の床の間に「喫茶去」の墨蹟が掛けられており、来寺くださった方々からよく説明を求められます。以前フランス・サンリス市で開催されたアートサクレ芸術祭の折、和尚の墨蹟パフォーマンスとして越前和紙作家・長田和也(おさだかずや)さんの手漉き和紙に大書した時のもので、あまりに大きい作品で来客者の方からは全体が見たい為の質問かと思います。

 

フランス サンリス市 アートサクレ芸術祭での墨蹟大書

 

寳勝寺 応接室にて / 2022年 元旦

 

「喫茶去(きっさこ)」の意味はその字の通り“どうぞお茶を召し上がれ”で、禅問答のひとつとして大変有名な語でも有ります。中国唐時代(618~907)の禅僧・趙州禅師(じょうしゅうぜんじ)を訪ねてきた修行僧との問答で、趙州禅師の「あなたは初めてこの寺に来たのか?」という問いに対して修行僧が「ハイ、初めてです。」と答え、それに対し趙州禅師が「どうぞお茶を召し上がれ。」と言ったのを「喫茶去。」と言います。

 

庫裡玄関に咲く シュウカイドウ

 

また、趙州禅師は次に来た修行僧に対しても同じく「この寺に来たのは初めてか?」と問い、「イエ、前にも来たことがあります。」の返事に対しても「喫茶去。」と応えたことを禅問答として今日まで伝えられています。所謂、誰彼差別する事なく平常心にて“どうぞお茶を召し上がれ。”と応える、趙州禅師の恐ろしい修行僧への探りの言葉でもあります。また「喫茶喫飯是道」という禅語もあるように、日常の何気ない生活の中において、無心無碍(むしんむげ)なる所作が求められているようです。さて宝勝寺は寺カフェです。どうぞごゆっくりお茶を召し上がれ!南無観世音菩薩 友峰和尚より

 

第3307話

2022-09-06

台風11号が夕刻ごろ北陸沖を通過するそうですが、フェーン現象も手伝って日中気温が35℃を超える真夏日となりました。嵐の前の静けさでは有りませんが、風も相当強く吹くとのことですから充分ご注意頂きたいと思います。今は台風の季節ゆえに近年の線状降水帯による秋雨も心配です。

 

秋の七草 藤袴


法務遂行もひと段落して9月以後の段取りをしていますが、陶芸家・谷中耀子さんの個展開催や金澤伝燈寺里芋収穫奉納祭なども予定されており少しずつ準備を進めて参りたく思っています。どのような行事も参列者・鑑賞者の皆様に喜んで頂くためには色々な工夫が求められており、アイデアが浮かんでは消えまた浮かんでは消えしながらも思案している時は実に楽しい時間でも有ります。

 

「 喫茶去 」 渓仙 書

 

これまでに幾度も行事を開催してきた経験を活かして、会場の設営やディスプレイなどにも力を入れています。また今年の金澤伝燈寺里芋収穫奉納祭では境内にバザーや蚤の市なども設けて地元の方々との交流を図りたいと願っています。9月に入ってから急に月日の経つのが加速していくように感じる今日この頃ですが、季節の変わり目でも有りますのでくれぐれもお体に気をつけてご自愛くださいますようご祈念申し上げます。友峰和尚より

第3306話

2022-09-05

 

「 壷中天 」 渓仙 書

 

長い間休息を取っていなかったので久しぶりの休暇を過ごしていましたが、急に体調を崩し今日は検診のため病院に行く始末。幸いに事なきを得たものの身体は思うように動かない為、しばらく静養することとしました。6月からの長きに渡る酷暑と例年に無い激務を遂行していたことが原因と思われる「老人性疲労」だそうですが、やはり無理の効かない身体になって来ているようです。皆様に於かれましてもくれぐれもご無理はご用心!ご用心! 9月に入り幾分気温も下がり過ごしやすくなって来たようですから、どうかお身体ご自愛ください。

 

「 忍 是々 」 大安渓仙 書

 

寳勝寺も少しずつ落ち着きを取り戻して普段のリズムになって来ました。健康の秋!スポーツの秋!体力作りに今後は努力をしていきたいものですね。さてまもなく秋季彼岸会を迎えようとしています。ふれあいパーク霊苑の参詣者も増えて来たように思います。祖先の恩と父母の恩に感謝しながら過ごして参りたいと思います。友峰和尚より

 

第3305話

2022-09-04

台風11号の進路が気になるところですが、気象予報では6日の午後頃に北陸沖を通過するとのことで何かと心配です。また今後は秋雨前線の影響で長雨も予想されるため気の抜けない状況が続きます。

 

 

昨日もブログでお知らせしましたが、東京在住の陶芸作家・谷中耀子(やなかようこ)さんの個展が10月8日(土)より16日(日)まで寳勝寺で開催される予定です。久しぶりに和尚も墨蹟禅画などの作品を一緒に展示することとなっていますが、個展のテーマが「 空 ~舞う~ 」となっており、2014年10月22日より28日までアメリカニューヨーク州・サラローレンス大学学舎内で禅画展を開催した時の事を思い出していました。

 

 

その時には大学生や一般来場者の前で墨蹟大書を披露し、「紅葉秋風に舞う」と揮毫しギャラリーの皆様から大きな拍手を頂いたものです。その様子を動画でご覧頂きたいと思いますが、今では懐かしい思い出の一つとなっています。

 

 

2019年11月 寳勝寺にて谷中耀子さんとともに

 

 

 

 

 

 

 

谷中耀子作品集 「煌めく藍」より

 

 

今回は寳勝寺での個展開催という事で、「空」をテーマに小さな作品を中心に谷中耀子さんの陶芸作品と融合するよう色々工夫して展示したいと考えています。ブログをご覧頂いている皆様には是非御来寺くださり作品を鑑賞して頂ければ幸いです。また10月15日(土)には大安禅寺重文山門並びに鐘楼修復保存工事完成記念式典も開催予定となっており多忙を極めますが、今から入念に計画を練って多くの方々に御来寺頂けるよう墨蹟制作に入りたいと思います。

 

 

本日はカフェを臨時休業して終日休息を取りました。いつもは火曜日が休寺日ですが、日曜日の休息は本当に休んでいる気がしたものです。おそらく日曜日は国民全体の休日ゆえに和尚にとってはこれまでにあり得ない特別な感覚だったのかも知れません。大休息の後に大躍動有り!!大いにリフレッシュして更に前進して参りたいと思います。友峰和尚より

第3304話

2022-09-03

 

 

朝夕がめっきりと涼しくなりましたが、皆様にはお変わりなくお健やかにお過ごしのことと思います。依然としてコロナ禍に有るものの、感染者も少しずつ減少傾向にあるようで安堵しています。本日は午前10時より井上家葬送の儀が修業されましたが、本当に穏やかな初秋の日和で故人の御徳が偲ばれました。

 

 

 

午後からは卑山本堂に於いて納骨の儀が執り行われ、法要後にはしばし御親族皆様と応接間にて懇談しました。大型の台風11号が北上しているとの気象情報で今後が動きが心配されますが、今は台風の季節ゆえ豪雨対策には早めの備えが求められており、特に自坊の大安禅寺は近年豪雨での被害を受けているだけに防災工事が急がれます。

 

「 秋菊 佳色有り 」 大安友峰 書

 

9月に入り日中気温も下がり、幾分身体も楽になってきたように感じます。毎日続けているブログも気候の変動や健康についての話題が多くなっていますが、人間の身体の調子はやはり気候と気温などに大きな影響を受けますから時節柄くれぐれもお身体ご自愛くださいますよう祈念しております。

 

 

さて本日、東京在住の陶芸作家・谷中耀子(やなかようこ)様より、来る10月8日(土)より16日まで宝勝寺で開催される展覧会「空 ~舞う~ 谷中耀子展」のご案内用はがきが届きました。とても素晴らしい独創的な作品で、今回は金沢での初めての個展開催となります。ブログをご覧の皆様には是非御来寺の上、御鑑賞頂ければと思っています。心よりお待ち申し上げております。友峰和尚より

 

第3303話

2022-09-02

「 無 暦日 」 暦日(れきじつ)無し

 

パキスタンの国土の3分の1が豪雨による大水害に見舞われ、その現場からの動画が日々次々とインスタグラムにアップされており見る度に心が痛みます。スマホで見る災害シーンは小さな画面ながらそれでも直に恐怖感が伝わって来るほどで、パキスタン国民の不安がどれほどのものか伺い知ることが出来ます。また西欧では山火事が続いており、アメリカでは未曽有の竜巻が各州を襲っているとか、日本でも大型台風が本土に向かって北上中ですが、地球温暖化現象に於ける気候変動は最早ひっ迫した問題になっています。

 

「 心 今日(こんにち)無事 」 

 

それだけではなくウクライナ戦争も継続中でコロナ感染拡大も収束していません。このような世の中で今後人々の安心安全を確保することの難しさを痛感するばかりです。立派な指導者の出現を願うのも一つですが、先ずはどのような困難に遭おうとも直ぐ対応できるように個々の危機管理への備えが求められている様に思います。

 

「 露 堂々 」 ろ どうどう

 

吉幾三さんの歌に「電話もねえ~テレビもねえ~」という大ヒット曲が有りましたが、ある日突然何もかも失う程の大災害が自分の身にも襲ってくる現実をひしひしと感じる昨今の世界情勢です。油断大敵!災害は今すぐにでもやって来る!今後は災害に対する日々の備えと泰然自若とした心構えも大切のようです。友峰和尚より

第3302話

2022-09-01

本日午前 ふれあいパーク霊苑スタッフとの 和合茶礼にて

 

土砂降りの朝を迎えましたが、雷が時折ものすごい轟音を響かせていました。午前中に卑山ふれあいパーク霊苑にこの度新しく入職された吉田さんを交え職員と共に和合茶礼をしました。「温厚篤実 志操堅固」という言葉が有りますが、実に良いお方とご縁を得る事が出来今後の御活躍を願うものです。「出会い ふれあい 和みあい ゆくゆくお互い 拝み合い」」が和尚のキャッチフレーズの一つになっていますが、和合の精神を大切に引き続き9月も法務遂行に専心して参りたく思っています。

 

引き続き 寳勝寺本堂後方修復工事の打ち合わせをしました

 

「ネバーギブアップ」は和尚の座右の銘でも有りますが、以前は不言実行でしたが最近は有言実行に変わってきています。その理由は体力の減退が原因で、いつ失速するかもしれない不安定な体力では「不言実行」は無理ゆえの変化なのかも知れません。最近では自分の身体の調子に見合う有言実行となって来ているようです。

 

 

さてアメリカ大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手が2年連続の30号ホームランを打ちました! 彼こそ「ネバーギブアップ」を実践する自己管理に長けた素晴らしいアスリートだと思います。1年を通して徹底した自己の管理と体力の使い方を熟知しながら162試合のフル出場を伺いつつ、さらに投手としても既に11勝を挙げていますから、もう間違いなく2年連続のMVPだと思いたいのですが、最後まで楽しみに応援したいと思います。頑張れ!!翔タイム! 「ショウヘイオオタニ! オハヨウゴザイマス、ニューヨーク!スゴイ!ショウヘイ!」実況アナウンサーの妙な日本語が気になる昨今です。オウマイブッダ!! 友峰和尚より

 

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