和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第3308話 】
2022年 09月 07日 談

寳勝寺境内にて

台風一過の朝を迎えましたが、心配した風雨災害もなく無事通過したようで安堵しました。強風に備えて片付けようとしていた霊苑入口の五色の吹き流しですが、風に煽られたのか竹竿の天辺に絡まり降ろすのが難しい状態になっていました。境内の草木もどんよりした曇り空のもと再び息を吹き返しているようでした。

 

天辺に引っかかっている吹き流しです

玄関の白萩が 今年も大きく育っています

 

宝勝寺の応接間の床の間に「喫茶去」の墨蹟が掛けられており、来寺くださった方々からよく説明を求められます。以前フランス・サンリス市で開催されたアートサクレ芸術祭の折、和尚の墨蹟パフォーマンスとして越前和紙作家・長田和也(おさだかずや)さんの手漉き和紙に大書した時のもので、あまりに大きい作品で来客者の方からは全体が見たい為の質問かと思います。

 

フランス サンリス市 アートサクレ芸術祭での墨蹟大書

 

寳勝寺 応接室にて / 2022年 元旦

 

「喫茶去(きっさこ)」の意味はその字の通り“どうぞお茶を召し上がれ”で、禅問答のひとつとして大変有名な語でも有ります。中国唐時代(618~907)の禅僧・趙州禅師(じょうしゅうぜんじ)を訪ねてきた修行僧との問答で、趙州禅師の「あなたは初めてこの寺に来たのか?」という問いに対して修行僧が「ハイ、初めてです。」と答え、それに対し趙州禅師が「どうぞお茶を召し上がれ。」と言ったのを「喫茶去。」と言います。

 

庫裡玄関に咲く シュウカイドウ

 

また、趙州禅師は次に来た修行僧に対しても同じく「この寺に来たのは初めてか?」と問い、「イエ、前にも来たことがあります。」の返事に対しても「喫茶去。」と応えたことを禅問答として今日まで伝えられています。所謂、誰彼差別する事なく平常心にて“どうぞお茶を召し上がれ。”と応える、趙州禅師の恐ろしい修行僧への探りの言葉でもあります。また「喫茶喫飯是道」という禅語もあるように、日常の何気ない生活の中において、無心無碍(むしんむげ)なる所作が求められているようです。さて宝勝寺は寺カフェです。どうぞごゆっくりお茶を召し上がれ!南無観世音菩薩 友峰和尚より

 

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