和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第3428話 】
2023年 01月 05日 談

今年のテーマが「一華五葉を開く(いっけごようをひらく)」ですがこの禅語は禅宗の祖である菩提達磨大師の言葉で、この後に「結果自然(じねん)と成る」と続きます。平易に解釈すれば「一輪の花が五つの葉をしげらせ、自然に実をつける」という意味ですが、当時達磨大師が弟子の慧可禅師に仏法を伝授した際に告げた言葉と言われています。

 

「 一華五葉を開き、結果自然と成る 」

 

先日NHKBS放送で、アップル・コンピュータの創設者スティーブ・ジョブスのドキュメンタリー番組が放映されましたが、その番組の中でジョブスのメッセージとして「ステイ ハングリー、ステイ フーリッシュ」を後世の若者に伝えていました。日本語訳では「ハングリーであれ!愚かであれ!」と訳すそうですが、和尚が思いますのに〝ハングリー〟とは「常に無心にしてこだわりを捨て、有るがままの自分の直感に従うこと」また〝フーリッシュ〟とは「自分の直感に従い偉ぶらず謙虚であること」で、中国唐代の禅僧・法冲(ほうちゅう)は「真理を行ずる者には必ず仏天の加護が有る、所謂御利益は真理を行ずる者に還元されるのである」と言われましたが、まったく同じような意味だと思うものです。その真理とは“「執着の無い心」の実践”をメッセージとして、ジョブスが若者達に送ったものと思われます。

 

「 刻苦光明必ず盛大なり 」

 

新年を迎え今なお世界の政治情勢はカオス状態で、新型コロナウイルス感染拡大も続いています。また地球規模の気候変動による自然災害も心配される今日、本当に謙虚にして偉ぶらない真の指導者が現れることを願うばかりです。「狭い日本 そんなに急いで 何処に行く」という交通標語が有りましたが、SNSの発達で地球も狭く思う現代、「狭い地球 そんなに急いで 何処に行く」と感じる今日この頃です。友峰和尚より

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