和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第332話 】
2014年 07月 17日 談

7月はお盆月で、毎日「棚経」のため、檀家様のお家へお参りに行きます。ここ数年は副住職にその法務をお願していて、和尚はお寺のお留守番といったところですが、この、お盆のお参りを「棚経」と呼ぶ理由、以前もお話ししたかと思いますが、昔は檀家様の家の中まで入らず、縁側に設えた施餓鬼棚(精霊棚)の前でお経をあげたそうです。普通に考えれば、仏間に立派な仏壇があるわけですからその場所でお経を唱えればよいのですが、そこがそれ、実に昔の方は先祖に対して敬虔な気持ちを持っていますから、御先祖が無事にわが家を見つけて確実に降りて来てくださる様にとの計らいからわざわざ外に施餓鬼棚を設けたわけで、棚と、仏旗の代わりに旗を四方に立てて、道しるべとしてより分かるようにしたことから、その行為を「棚旗」(たなばた)として7月7日に準備をしたといわれています。和尚の子供の頃には、縁側に施餓鬼棚を設け灯篭が両側にあり、ローソクの灯りがクルクル回転していたことをかすかに思い出します。本当に素晴らしいことだと思います。

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先祖の霊を偲び丁寧なお迎えをしていたころの事が懐かしく感じる今日この頃です。スローライフ時代の、実に心温まる思い出です。勿論、お盆といえば必ず「おはぎ」を母親が作ってくれたものです。おはぎイコールお盆といった感がありました。現在ではどこのお家でも、棚も無ければ旗も無い状況です。仏、ホットケという事か? 御先祖の霊供養の月参りをするお家も、年々少なくなっていきます。少子高齢化がますます加速していく近未来、何もかもが風化しようとしています。こんな時代だからこそ、寺院においてはしっかりとお盆の行事を遂行しなければならないと思います。大安禅寺では現在もなお、本堂の広縁に立派な施餓鬼棚が設えられ、400年間、脈々と「大施餓鬼会」が厳修されて来ています。心の安心は偏に、御先祖の霊供養の中にあります。その供養の真意は「感謝の真を捧げる」の一点にあります。言わずもがな一人として親を持たずにこの世に生を受けたものはいません。新命和尚の心を籠めての棚経が続いています。友峰和尚より

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