5月, 2021年

第2825話

2021-05-12

「養心(ようしん)」とは心を養うことですが、そもそも心を養うためには「飲食」「起居」と合わせて三点が重要で、我が禅門に於いては精進料理と作務と坐禅によって心が養われていきます。

この「養心」の字はずいぶん昔に和尚が書いたものですが、今でも枯木堂の廊下を通る時には必ず字の意味をかみしめつつ開基堂並びに開山堂を拝塔してから自室に入るようにしています。加齢に伴い自分の住まいでもある大安禅寺の歴史の重厚さを感じますが、卑山を約四百年間に渡っての多くの祖師方(住職)が今日まで法灯を守り続けて来た精進努力に「養心」の思いを馳せるものです。

大安禅寺 開基堂

大安禅寺 開山堂

「人生、生きるとは何ぞや?」の問答に於いて、生きるとはまさに日々の「養心」であると言えます。しかしながら目に見えない、捉えどころのない心の世界。果たしていったい自分のどの心を養うというのか? さあ言え!さあ言え! 養心とは言葉では言いあら表すことの出来ない「以心伝心」の世界であるが故に「養心」なのです。さて再び金沢に入って只管養心、養心、の日々が続いていきます。友峰和尚より

ヤグルマソウ / 寳勝寺中庭

第2824話

2021-05-11

青葉若葉の初々しい香りが初夏の風情をいっそう深めていくような大安禅寺の朝を迎えました。境内は実に静かで、「音」といえば時折吹く南風が竹林をすり抜けていくときのヒュヒュ~と言うぐらいです。

無心亭 / 大安禅寺 参道

所用で急遽自坊に戻りましたが法務は目白押しで、休む間もなく修業するものの気持ちはどこまでも穏やかで故郷の有難さを思います。どういうわけかいつもより鳥の鳴き声が少ないのが気にかかるのですが、何か理由が有るのでしょうか?この時期ウグイスは勿論のこと、ホトトギスや三光鳥、アカショウビンなどがよく啼いているのですが? これもコロナウイルス禍と関係が有るのでしょうか?

アカショウビン

三光鳥(さんこうちょう)

ほととぎす

観音道 の 木漏れ日

境内を一周しながら五感を働かせて未来を感じるのですが、現在進行中の諸堂保存修理工事が完成する約10年後の姿を思い浮かべています。時間的余裕は金沢に在寺している時より遥かにゆっくりと時が流れて行くような感じがするものです。思い切ってもっともっと人里離れた深い山中に居住すれば、さらにスローライフが望めるのかも知れませんね。「ポツンと一軒家」なる番組が人気を博しているようですが、忙しい現代社会の人々にとってはきっとその生活環境が羨ましく思うのが人気の原因だと思います。さて寳勝寺の薔薇も見ごろを迎えているようですが、花の季節の5月。大いに初夏の花を愛でたいと思います。友峰和尚より

第2823話

2021-05-10

山法師 / 大安禅寺 境内にて

所用で大安禅寺に戻りましたが、境内一帯はうっそうとした濃い緑に包まれ正に「新緑の砌」の季語そのものです。所変われば品変わると言いますが、当然の事ながら所変われば気分も変わります。中国の聖人・孔子の親も息子の学問向上のために居住区を何度も替えたといいますからうなずける話です。

山法師の花 (6月~7月)

人間の精神は自分の住まい環境からずいぶんと影響を受けるものだと思うもので、現在コロナウイルス禍にあって多くの国民が自粛生活の苦難を強いられる中での更なる緊急事態発令は、感染防止対策とは言え本当に辛抱の限界を感じますから時々は寺院や神社の境内を散策することをお勧めしたいと思います。

龍潭寺むくげ / 大安禅寺 庫裡中庭

少しでも生活環境を変えることがストレス解消に繋がると期待したいものです。さてしばしの自坊での法務遂行ですが、それでも気持ちは和みます。故郷はいいですね!文句なしです!心機一転してパワー全開!負けてたまるか!友峰和尚より

龍潭寺むくげの花 / 大安禅寺にて 2020年7月21日撮影

第2822話

2021-05-09

ここに至って急激に新型コロナウイス感染が広がりを見せ始めています。普段より感染予防には十分気を使っていますが、本日は対策グッズのひとつとして液体飛沫・飛来物から眼を守るため新しく開発された保護グラス「アイケア グラス プレミア」なる福井発の製品を送って頂きました。

寺町・桂岩寺様が所用で御来寺下さり早速着用してみましたが、フェイスシールドマスクに続く製品で次第に厳めしくなってきた感が有ります。本来、眼鏡を着用していれば問題ないとのことでしたが“念には念を入れよ!”の諺の如くに登場した製品だそうです。感染予防対策にはこれで良いという事はなさそうなので、やはり着用した方がより安全のようです。

宝勝寺中庭に2羽の鶴の置物が有りますが、最近、その1羽が起こす度ごとに次の日には転がって仰向けになっているので不思議に思って監視していると、毎日訪ねてくる野良猫が体を擦り付けて転がしているのを発見!可哀そうに子鶴は毎日転倒しています。今日はしっかりと土に沈めておきました。きっと猫もストレスを抱えているのかも知れませんニャー。友峰和尚より

都忘れ / 寳勝寺中庭にて

第2821話

2021-05-08

暖かい土曜日の朝を迎えました。日中気温が23℃と少し汗ばむお天気の中、昨日に引き続き少林寺墓地の除草剤散布に出向きましたが、先般の散布が良く効いていてグッドタイミングでの2回目の散布でした。

ユキノシタ

世の中すべてに通じると思いますが何事も「タイミング」が重要で、タイミングがずれると歯車が嚙み合わなくなるが如くに仕事の効果が薄れてしまいます。たかが除草剤されど除草剤で、毎日お天気レーダーと睨めっこしながら散布の好機を窺っています。昨年秋に散布した除草剤効果で墓域は実に見事なまでに保たれており、和尚の今後の労力に於いても大助かりです。ある意味、文明の力でもある除草剤発明のおかげだと感謝するものです。

「筍とワラビと油揚げの炒め煮」

さて、先日頂いた筍やワラビを使ってさっそく料理してみました。「筍とワラビと油揚げの炒め煮」で、今日の精進料理の一品です。美味しいですかって? 写真から旨味が伝わりましたでしょうか! 再び「ゆ・ほ・さ~ん!頑張ってください」って声が聞こえそう・・最近では料理の腕も上がって来たように思います。為せば成る程!と合点が行くものですね。友峰和尚より

第2820話

2021-05-07

昨日のブログで < 和尚も「ゆ・ほーさ~ん」と言われるような気分を味わいたいものです > と思っていたら、本日朝一番にある御方より「ゆ・ほ・さーん! 御身体ご無理なさらず、ゆっくりお過ごし下さいませ」とのさっそくのメッセージが届き有難く思いました。その勢いで気分良くふれあいパーク霊苑「奥の院」卑山代々墓の草引きと掃除に出かけ、掃除終了後に寺へ戻ったら大谷翔平選手が10号ホームランを打ったとのニュースが流れていました!「大谷さ~ん!ビッグフライ!グッバイ!」ですから流石大谷さ~ん!でした。

昨日に引き続き 霊苑「奥の院」の草引きをしました

バラの花が 咲き始めています

天気が良くなると寺の中で籠っているわけにはいきません。まもなく梅雨入り宣言がなされますと毎日が雨・雨・雨でいっきに雑草がはびこってしまいますから、今日は草引きの後に更に除草剤も散布しました。

こうした外作務(そとざむ)も禅坊主としての日常の修行で、「一日作(な)さざれば一日食らわず」の百丈懐海禅師の訓戒を実践有るのみです。昨日は久しぶりに夕刻よりウオーキングに出かけ、約8千歩の経行(きんひん)をしました。これも修行です。

「動中(どうちゅう)の工夫は静中(せいちゅう)の工夫にすぐる事、百千億倍す」の白隠禅師の言葉に習い、お経を心読しながらのウオーキング行の昨今です。さあ歩きましょう!ゆ・ほ・さ~ん! 友峰和尚より

第2819話

2021-05-06

連休明けの 草取り です

境内 の 杜若 が咲き始めました

大型連休明けの清々しい良いお天気の朝を迎えることが出来ました。皆様十分に休息出来ましたでしょうか? 和尚は法務遂行の毎日でしたので本日からお休みを頂きましたが、境内には雑草がいっきに成長してしまったため午後から運動不足解消も兼ねて草取りに出ました。霊苑には連休明けにも関わらず墓参方々の姿が有り、今は美しい初夏の花達が咲き誇っています。

大安禅寺 バラ園 / 本日のようす

それにしてもアメリカ大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手の勢いが止まりません。今日も投手で大活躍でしたが、投げて良し打って良しとテレビ観戦ながら熱い気持ちが伝わってくるようで実に爽快です。アナウンサーの大谷翔平の出番を告げる「翔平~お・お・た・に~」の声と同時に大歓声が上がり、ホームランを打てば「お・お・た・に・さ~ん」のアナウンスはいまや定番となっています。コロナ禍の中、アスリートの活躍は本当に癒されるものですね。和尚も「ゆ・ほーさ~ん」と言われるような気分を味わいたいものですよ。

モッコウバラ 現在、五分咲き

青々とした葉 つぼみを沢山付けています

さて連休もあっという間に過ぎてしまいましたが、どうか皆様におかれましては季節の変わり目でも有りますのでくれぐれもご自愛ください。友峰和尚より

第2818話

2021-05-05

寳勝寺御用達の大工師・岩内工建の岩内さんが自分の山で採った蕨(わらび)に筍、ウドを持参下さり、大型連休最後の本日は山菜料理をしてみました。筍の皮剝きから始めましたが、皮を剝きながら遠い昔を思い出していました。

大工師の岩内さんとともに (2017年9月撮影)

和尚の幼少の頃に父(先代住職)が寺で雌牛を飼っており、この時期になると掘って来た筍の皮を餌として与えるのが自分の仕事でした。口元からよだれを垂らしながらクシャクシャと音を立てて美味しそうに食べる姿が思い出されます。

父 (大安禅寺先代住職) と 寺で飼っていた牛

当時父とは常に一緒に裏山に登り、ワラビはもとよりウドやゼンマイ、筍、タラの芽などをよく採りに行ったものです。また野草に詳しい父は山登りの際、色々な食べられる野草の名を教えてくれましたが、今ではさっぱり忘れてしまい情けないかぎりです。

ウド と ワラビ 

さっそくスマートフォンで食べられる野草の検索が出来るアプリを探しインストールしましたので、時間が出来たら自坊の裏山に入って探してみたいと思っています。さて今日は「子供の日」ですが、和尚ホームメイドの夕食を子供の頃に戻って今は亡き両親と頂きたいと思います。友峰和尚より

第2817話

2021-05-04

今日は「みどりの日」の祝日ですが、その名の通り全山が緑一色となっており心から癒されます。一口に緑色と言っても色合いは様々で、その彩画(いろどり)がまた絶妙なコントラストを描き出しています。ニュースでは多くの市民がその新緑を楽しむために有名な自然公園緑地に集合したとか、これだけ長い自粛生活が続けば無理からぬ行動ですが、やはり密になればコロナ感染が心配されます。最近変異ウイルス感染が叫ばれるようになってからは以前より緊張感が増し、ウイルスもすぐそこまで近づいてきているような感じがします。

バラが咲き始めました / ふれあいパーク霊苑にて

さて、本日も午前中には満中陰忌法要が営まれましたが、ご供養されるご家族の時間の御都合を伺いながら法要後の懇談のひとときを大切にしています。コロナ禍以前は時間に追われる毎日だったのであまり余裕が有りませんでしたが、現在は時間の許す限り、御来寺下さったご家族・ご親戚皆様との交流に重点をおいて故人の御霊を偲ぶようにしています。

大型連休も明日までですが、連休中のご法要も全て無事に修業できたことに安堵しています。年忌法要や月参りが減少傾向にある今日ですが、祖霊を偲び報恩菩提の慈悲の行の有難さを想う今日この頃です。友峰和尚より

第2816話

2021-05-03

「 明歴々 露堂々 」 渓仙 書

平成23年に寳勝寺に兼務住職をして、今年の6月で丸10年目を迎えます。この間、寳勝寺の本堂復興をはじめ寺カフェやふれあいパーク霊苑の開業など目まぐるしく活動してきましたが、「桃栗3年 柿8年」の諺の如く「寳勝10年」で全ての目的を達成した事に感謝する毎日です。

全国の無住寺院の再興が課題になっていますが、その復興には難題が山積みで一筋縄では解決できないものです。お陰様で寳勝寺は檀信徒の皆様また㈱ココ・プランニング中本隆久会長、そしてその関係者皆様との御法縁を得て再び活気を取り戻し、寺院本来の姿である多くの方々との御法縁が広がりを見せていく状況に深く感謝するものです。

本堂での法要にて お経について説明しているところ

本日も法要を修業しましたが、ふれあいパーク霊苑のご縁で静岡県より御来寺下さり、故人の地元でもある金沢市内在住のご親戚方々のご出席のもと厳粛にご法要が執り行われ、御法縁を有難く感じながらの修業となりました。人との新しい出会いほど大切なことは有りません。御法愛に感謝しながら読経三昧の連休となっています。友峰和尚より

福井より 酒井様が御来寺くださいました

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