和尚のちょっといい話

iihanasi_top

友峰和尚のちょっといい話 【 第821話 】
2015年 11月 17日 談

寺離れや墓じまい、ひいては直葬に関わる問題が今日の日本社会の中で急浮上してきました。何が故にそのようにクローズアップして来たのかと申せば、これはもう明らかに我が国がかって経験したことのない程の「少子高齢化社会」を迎えている現状から生み出されて来たのだと思われます。では一体なにが問題なのかと問われれば色々ありますが、一番大きな点は家族の経済的な負担で、このところの長きに渡る社会的経済不況があげられ、また長寿社会における核家族化も慣習が適切に子供達に継承出来ない事が問題点としてあげられます。

yjimageUNNPEUEC

日本社会が和合専一に今日まで支えられて来たのも、民衆の心の根底には仏教の精神が深く根づいて来たからからこそ家の伝統を守り祖先を奉じて来たのではないかと思われます。その仏教の精神とは一体なんなのかと問われれば「六波羅蜜(ろっぱらみつ」の実践だと思います、資源の少ない小国でありながら日々お互いに助け合い、励まし合い、努力し合い、先祖を尊び、親孝行を旨とし、家族相和していく事が民衆を今日まで支えて来た心だと思います。最近、高齢者の方々からの言葉に「最近の若者は行儀が悪くなった」との愚痴を聞きます。価値観の相違と言ってしまえばそれきりですが、年齢の世代格差による価値観の相違がまた核家族化を促進していくようです。今日の寺離れや墓じまい、直葬の問題はますます、人々との和合関係が薄れて行く前兆なのかも知れません。国際的にも不穏なニュースの続く今日この頃、今こそ人間の心の原点に立ち返るべく大切な時代を迎えているようです。友峰和尚より

Copyright© 2014 臨済宗妙心寺派 太白山 寶勝寺 All Rights Reserved.

〒921-8033 石川県金沢市寺町5丁目5番地76号
電話:076-287-3870