和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第1455話 】
2017年 08月 12日 談

今日は早朝より地元お檀家の棚経(たなぎょう)に新命副住職と出掛けましたが、「棚経」と言っても現代の若い方々には恐らく何のことか分からないと思います。昔は仏壇とは別に、縁側に「精霊棚(しょうりょうだな)」を設けて御先祖の霊をお迎えしたところからその「棚」を取って「棚経」と言っています。流石に近年では「精霊棚」を見かける事は無くなり、室内の仏壇でお盆のお参りをしますが、言葉だけが残って今に伝わっています。どのお檀家も仏壇は綺麗に掃除され、沢山の御供え物が飾られ、お盆の到来を感じます。

読経後には、お茶を頂きながら故人の思い出や和尚の近況などの話をします。檀信徒との懇親の場でも有りますが、盂蘭盆会行事を前にして先祖供養の大切さをしみじみ思います。明日も引き続き棚経に回る予定となっており、普段は疎遠になっているだけに丁寧に対応しています。

帰寺後も午後から法要が遂行されましたが、ここでも久しぶりにお檀家家族方々との交流の場と成りました。近年は金沢兼務寺院各檀家様との交流も多くなってきており、7月、8月のお盆月は年々多忙になって来ている感が有ります。寺離れや墓じまいが社会問題視される中、祖先の供養を通してその原因が何であるのかが次第に見えてきたような気がします。

心が外に向かう現代の風潮に有って、「心こそ 心迷わす心なれ 心に心 心許すな」の世語の如く今いちど心の内に向かって、自分の心の故郷とはいったい何処なのか?という問いを、宗教家として投げかけていく時期に来ているのだと思います。心の平安は常に我々の命を生み出す以前に有る事を棚経を通して自覚するものです。「父母未生以前本来の面目や如何」南無観世音菩薩 友峰和尚より

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