和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第812話 】
2015年 11月 08日 談

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降りしきる雨  式台玄関のさるすべり /  寳勝寺にて

中国の詩人・杜牧の詩の一節「深秋簾幕千家雨 落日楼台一笛風」(しんしゅうれんばくせんけのあめ らくじつろうだいいってきのかぜ)です。この時期の詩ですが、中国の昔、秋雨の日は一様に各家が簾をおろし、夕刻になると楼台から風に乗って笛の音が聞こえてくる様子ですが、実に深まりゆく秋の景色そのままに詩を詠んでいます。

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一宮市・奥村様より、箱書のご依頼を頂いた作品 / 「空」

雨は無心に降りそそぎ、風も又無心に吹き渡り笛の音すら雨と風に溶け込むように無心な音色を響かせているという、実に絶妙な心境が伝わって来るようです。四季の有る日本での秋の風情は、否が応でも心を響かせてくれるものです。今日は朝からそのような秋雨と時折吹いて来る秋風の中を、寺カフェ利用のお客様がこの季節を楽しむかのように普段よりはゆっくりと過ごされていました。四季の変化と共に、観光地の風情も随分と違うものです。

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金沢市内の兼六園なども、今では雪国独特の庭木の雪づりが一段と庭の美しさを醸し出しています。四季の移り変わりの美しい日本、この詩もきっと、中国五千年の悠久の歴史の中での心の安心(あんじん)を見事に表わした和尚の大好きな一節です。友峰和尚より

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