寶勝寺日誌

令和2年度 春季彼岸会住職法話
2020年 03月 25日

・・・今年のような状況の中で、なんとか「春季彼岸会」の法要を修業できましたこと大変ありがたく感謝申し上げます。本来で あれば中止しようかとも考えましたが、やはりこのような時こそ御先祖供養が大切であろうということで、規模を縮小して修業させて頂きました。

・・・我々の命は昨日今日突然出てきたわけではなく、地球上に生命が誕生してから40億年以上という長い時間をかけて受け継がれてきました。そして今、あまりにも平和な日本で暮らしていると、なかなか差し迫って「死」という ものに直面することがありません。そんな中、東日本大震災そして新型肺炎コロナウイルスが発生する、ある日突然命をおびやかされ、不安を抱えることになる。では、日頃どのような気持ちを持って生きていけば良いのか?という時、「彼岸」の意味が非常に大事になってきます。

・・・「彼岸」というのは、本日の法要で最初に唱えたお経の「摩訶般若波羅蜜多」のことです。 摩訶(マハー)とは『大いなる』、 般若(パンニャー)とは『智慧』、 波羅蜜多(パーラミタ)とは 『彼岸に到る』、つまり 『彼岸に到るための大いなる智慧』を説いた 『心経=大切なお経』 という意味です。 では彼岸はどこにあるのか?というと、今、この場所です。

・・・「我他彼此(ガタピシ)」という言葉がありますが、仏教は本来「自利利他」であり、何よりもまず先祖の恩・父母の恩を忘れずに、供養を通して真の心を捧げることが大切で、この宝勝寺の復興もそこから始まっています。 ふれあいパーク霊苑においても、まず最初に全てのお墓の一霊一霊を丁寧に供養し、全ての祖霊を 「奥の院」にお祀りさせて頂きました。 その霊魂の御力によって現在こうして復興を成し、本日快晴の下、法要を執り行う ことが出来る、その力添えをしてくれているわけであります。「天知る、地知る、我知る」というように、ちゃんと御霊が守っ てくれているのです。自分さえ良ければ いいという考えを捨て、周囲の人そして目に見えないものに対しても丁寧に、思いやりと敬意を持って生きていけるかどうかということが問われているのです。

・・・本日はご供養を修業し、檀信徒皆様のご先祖も大変喜ばれていることと思います。それは“法悦”であり、皆様の心が喜んでいるということでもあります。 どうかひと時でも多く先祖の恩・父母の恩を思い起こす機会を作って頂き、心安らかな毎日を過ごして頂きたいと思います。3月15日 春季彼岸会住職法話より (事務局編集)       

Copyright© 2014 臨済宗妙心寺派 太白山 寶勝寺 All Rights Reserved.

〒921-8033 石川県金沢市寺町5丁目5番地76号
電話:076-287-3870