和尚のちょっといい話
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降りしきる雨 式台玄関のさるすべり / 寳勝寺にて
中国の詩人・杜牧の詩の一節「深秋簾幕千家雨 落日楼台一笛風」(しんしゅうれんばくせんけのあめ らくじつろうだいいってきのかぜ)です。この時期の詩ですが、中国の昔、秋雨の日は一様に各家が簾をおろし、夕刻になると楼台から風に乗って笛の音が聞こえてくる様子ですが、実に深まりゆく秋の景色そのままに詩を詠んでいます。
一宮市・奥村様より、箱書のご依頼を頂いた作品 / 「空」
雨は無心に降りそそぎ、風も又無心に吹き渡り笛の音すら雨と風に溶け込むように無心な音色を響かせているという、実に絶妙な心境が伝わって来るようです。四季の有る日本での秋の風情は、否が応でも心を響かせてくれるものです。今日は朝からそのような秋雨と時折吹いて来る秋風の中を、寺カフェ利用のお客様がこの季節を楽しむかのように普段よりはゆっくりと過ごされていました。四季の変化と共に、観光地の風情も随分と違うものです。
金沢市内の兼六園なども、今では雪国独特の庭木の雪づりが一段と庭の美しさを醸し出しています。四季の移り変わりの美しい日本、この詩もきっと、中国五千年の悠久の歴史の中での心の安心(あんじん)を見事に表わした和尚の大好きな一節です。友峰和尚より
寶勝寺の志納所に、参拝者向けの新しい小物が本日登場しました。ロゴネームは「PECORA MOCORA(ペコラモコラ)」で、若い女性向きの小物商品です。写真の如くに可愛いものばかりで、なかには携帯ストラップもあり、観光拝観者に人気を呼びそうです。
どれもが手作りで心のこもった作品ばかりですから、皆様も卑山に来られた際には是非お手にとってご覧になってください。最近では、主婦層の製作したアイデア商品がインターネットで多数販売されていますが、今やネット社会ですから大いに独創的な自己流の作品を販売してみるのも面白いですね。日々を生きる活力の源になるかと思いますので、皆様も是非チャレンジしてみて下さい。さて、寒暖の差の激しいこのところの日々ですが、和尚は部屋に籠って寺務整理に没頭した一日となりました。また、宗教書を紐解く時間も多くなってきました。やはり「読書の秋」でしょうか。誰がこの時季をそう名付けたかは知りませんが、なるほど、長時間読書をするにはうってつけの雰囲気が有りますから不思議です。昔は難解だった仏教書も、今では手に取るように理解できます。年の功なんでしょうかね? 分かってみれば日常底のことばかり、何事も「有るがまま」が一番の生き方のようですね。友峰和尚より
二十世紀を代表する画家パブロ・ピカソの絵「アルジェの女たち」がニューヨークのオークションで史上最高の215億円で落札されたニュースが流れましたが、気の遠くなるような価格にいったい誰が買い求めたのかが気になるところでした。テレビの人気番組「なんでも鑑定団」にも一般の方から色々な物が鑑定に出品されていますが、なかには偽物も多く、それだけに番組が一層人気を博しています。和尚もパリのオルセー美術館でピカソの絵を直に見たことが有りますが、なるほど独創的で迫力のある、誰にも真似の出来ない素晴らしい作品でした。要するに値段の付けようの無い程の完成度の高い魅力ある作品で、恐らく215億円という値段で落札されたとしても、作品を入手したいと思う人にとってはもはや値段を度外視した作品価値を感じているのだろうと想像します。ときどき色々な物の値段について真剣に考え込むことが有りますが、車の値段や家屋の値段、宝石の値段や家具の値段等、いったい何を基準に決められるのだろうという素朴な気持ちです。人間、死して後に生前より存在価値を増していく偉人方々の恩徳に敬意を表したいと思います。やはり人間は素晴らしい生き物ですね。負けずに努力しましょう! 友峰和尚より
終日、爽やかな天気に恵まれた一日となりましたが、皆様お元気にお過ごしでしょうか?「天気と元気」は比例しているかのようにも思われます。昨日に引き続いて墓石業者さんを交えての墓石調査が行われました。
最近のニュースは、少子高齢化社会の中で一気に噴出している様々な問題を取り上げていますが、とりわけ祖先の墳墓管理に関するものが増えているように思います。墓離れに、墓じまい、散骨、樹木葬などを取り上げたニュースですが、どの問題にも早急な対応が迫られているようです。
㈱トムソーヤ 高田様との打ち合わせ
各寺院の取り組み方として現在、墓じまいに対する「永代供養墓」が提案されていますが、問題解決の為には当事者との丁寧な対応が大切です。さて皆様は、御先祖の墳墓管理に対してどの様に考えておられるでしょうか? 時代の変遷とともに「物」に対する価値観も変化して行きますが、祖先の恩を思う気持ちだけは忘れないで生きて行きたいものです。
檀信徒様に、御先祖墳墓調査のご報告をしているところ
午前中には檀家様の月参りに行きましたが、霊供養の大切さを感得するとともに心の安らぎを感じます。この月参りさえも最近は減少傾向にありますから、どうやら世代交代の中での親から子への申し送りが今後の課題となりそうです。「親の背中を見て子は育つ」、そんな時代は遠い昔の話のようです。やはり今の時代は、家の大切な事はきちんと時間をかけて、丁寧に子供に教えて行く事が親の責務なのかも知れませんね。友峰和尚より
墓石すべての法名と御家名を調査し、名札を付けています
今月18日に開催される「寶勝寺墓地改葬工事全体会議」を前に、今日も最終的な墓地調査が行われています。調査が進むにつれ墓地の全体像が良く見えて来て、約四百年に渡る卑山の歴史を感じています。日本国の新しい時代の幕開けとなった明治政府を迎えると同時に、此れまで幕府を支えて来た武士の時代の終わりでも有りました。卑山のお檀家様はその大半が武士で有った為、時代の移り変わりとともにその役目を終え今日に至っています。当然の事乍ら役目を終えた武士たちは全国に仕事場を求め離散して行くわけですから、先祖墳墓が荒廃して行くのもやむを得ない事だったのかも知れません。
私が仏縁を得て寶勝寺に入り5年が経ちましたが、寶勝寺本堂の復興と共に、今回は霊園改葬工事に全力を注ぎ檀信徒の祖霊を奉じる寶勝寺永代供養墓「寶勝院顕彰碑」を建立したいと念じています。さて、祖先の霊に守られながらの毎日ですが、今後は法務活動にも力を入れて行きたいと思います。まずは坐禅会や写経会そして読経会なども視野に入れながら、お寺とのご縁を持って頂くように開催して行きたいと思っています。街なかの寶勝寺ですから、大いにお寺を利用して頂きたいと願っています。友峰和尚より
大安禅寺 境内の紅葉
お手紙巻頭の季語が「晩秋」となっています。昔の暦では11月のことを「霜月」と言いますから、いつ霰(あられ)が降って来てもおかしくない時期を迎えていますが、ニュースでは毎日全国の有名な紅葉地の映像が流れ、お茶間皆様の眼を和ませてくれているようです。大安禅寺を取り巻く樹齢二百年ほどの紅葉の木の葉っぱも少しづつ色付きはじめ、全山を真っ赤に染めるのも もうまもなくです。この、大安禅寺でのゆったりとした毎日ですが、生活環境の違いが人間の心に及ぼす様々な影響を実感するものです。現代社会は「ストレス社会」と言われて久しいわけですが、ストレスを解消させる方法として、ときどき生活環境を変化させる事が大切なのかも知れませんね。
最も効果が有るのはアウトドアでのアクションだと思います。この時期でしたら、トレッキングやサイクリングまた旅行にスポーツなどですが、やはり思い切って環境を変化させることによって気分も一新できるというものです。今、70代世代が「元気世代」と言われているのも、その要因は「自己コントロール」の出来る世代だからなのかも知れません。日常の食生活から健康維持の為の運動まで、実に見事に自己管理されている70代世代を大いに見習いたいものです。友峰和尚より
人間は古来より108の煩悩を有すると言われていますが、どうしてどうしてそんなぐらいの数ではとても足らない程の色々な感情が自分の心を悩ますものです。大まかに言えば「喜怒哀楽」の感情が誘因となって複雑な思いへと発展して行くのでしょうが、文明が発展すればするほど煩悩も増えていくような気さえします。そんな事を思いつつも、今は亡き師匠の「へこたれるな!」の言葉を思い出しながら煩悩を菩提に変えていく為の努力を試みる毎日です。さて、その努力の一つが墨蹟ですが、今日は和尚の作った言葉「一に掃除 二に笑顔 三四元気に おかげさま」を書きました。書きながら気持ちが落ち着いていくのを感じました。
書道には「臨書」と言って、故人の素晴らしい書の字体をまねて書く方法が有りますが、まねればまねる程難しくなっていくのはきっと、故人の精神の深さが伝わって来るからか知れませんね。最近になって、読経も同じことが言えると気づき始めました。お経を唱えれば唱える程、お釈迦様の教えに近づいていくような感覚を覚えます。「煩悩即菩提」とは、限りない煩悩こそが大きな安らぎへの道しるべであることを知る昨今です。友峰和尚より
昨日に引き続き、庭師さんによって雪吊りの作業がなされました / 大安禅寺 中庭にて
今日は11月1日、霜月に替わりました。今年もあと2か月を残すのみとなりましたが、皆様にはお元気にお過ごしでしょうか? 一にも二にも健康が大切ですが、この時期は大いに身体作りに留意して参りたいと思います。運動するには今が最適の気温状態で、少々運動しただけで体がぽかぽかしてきますからとても気持ちがいいですね。午前中は福井市内にある「家族動物霊堂」での月忌供養に参りましたが、多くの方々がお参り来られていました。少子化と高齢化の進む近年の日本社会において、家族動物は本当に大切な家族の一員となっているのがよく分かります。参列者の中には30年近く欠かさずに来ておられる方も有り、家族動物がいかに心の支えになっていたかを思います。今後も独居老人宅が増えていく様相を見せていますが、家族動物たちの存在はますます大きくなっていくようです。午後からは、石川県からの観光客の皆様に対して「生き生き法話」を致しましたが、最近はご近所同士のお仲間での旅行が増えつつあるようです。
とても和気藹々として、和尚も皆さんに引き込まれてしまうほどの仲良しグループでした。いいですね!嬉しいですね! 何よりも笑顔が一番です! 深まりゆく秋です。皆さん元気にお過ごしください。友峰和尚より
日昇前、早朝に行われる「朝課」
昨日より大安禅寺にて「企業役職者坐禅研修会」が1泊2日の日程で行われましたが、今朝方のぐんと冷え込む本堂での朝課(ちょうか:朝のお勤め)は身の引き締まる思いでした。住職に就任して27年になりますが、やはり、修行時代の初心に帰ることが常に大切であると思い知らされます。
全国には臨済宗妙心寺派の寺院が約3千ヶ寺有りますが、その一ヶ寺一ヶ寺に於いて寺の有り様は全くに違っています。法務の執行から寺院の運営方法などもそれぞれのお寺に合わせたやり方で、住職が苦心しながらも強化活動に専心しているわけですが、唯一の共通点は僧侶としての志であるかと思います。「同じ釜の飯を食う」という言葉が有りますが、修行時代を振り返りながら心を同じくして頑張っています。
修行を終えて寺に戻ると、ある僧侶は経済的に豊かな寺に、またある僧侶は経済的に恵まれない寺に、また大寺で有ったり小寺で有ったり、あるいは山奥で有ったり、大都会で有ったり、それぞれの縁に従って住職または副住職に就任し、禅僧としての人生を歩んで行きます。最近、全国の同派寺院のホームページを拝見し住職の法務活動を参考にしつつ新たな布教の有り方を模索していますが、やはり禅寺の面目は「坐禅に有り」と思いを強くしています。
たった一泊の坐禅研修なれど、参加者の功徳は計り知れないものが有ると思います。読経や坐禅、作務の実践こそ「己事究明」の究極であると改めて感じ取った朝の朝課でした。 研修参加者の皆さん、ご苦労様でした。お疲れ様! 友峰和尚より
午前7時過ぎに寺を出発し、車にて一路、長浜・良疇寺へと向かいました。「滋賀北陸教区寺庭婦人研修会・総会」に教区宗務所長として出席する為でしたが、「寺庭」とは各寺院の奥様の事で、滋賀県、福井県から14名が参加されました。
近年は寺院に於ける奥様方の住職サポートが欠かせない存在となって来ています。と言うより奥様方が檀信徒とお寺との仏縁を深めるのに大いに貢献している状況にあります。それはお寺の年中行事や御詠歌会を始め色々な催し物などにも参加されて、住職の一番の補佐役となっています。今日の研修はやや専門的で、我が宗派の歴史など講師を迎えての講義でしたが、皆真剣に拝聴されていました。これからも寺庭様には積極的にお寺の運営発展に大いに力を発揮して頂きたいと思います。
さて、自坊大安禅寺では今日から、地元の会社経営者方々の一泊坐禅研修が始まりました。この時期の禅寺での研修は最高です。特に早朝の読経と坐禅は気分が一新するというものです。「自分が変われば世界が変わる!」です。皆様も是非いちど、禅寺の早朝坐禅を体験してみてくださいね。お外では卑山御用達の庭師さんによる冬支度、雪吊りの準備が進められていました。
冬将軍の到来も間近に迫っているようです。友峰和尚より