和尚のちょっといい話
大安禅寺 庫裡裏山の砂防工事
轟音(ごうおん)とともに門塀をくぐり抜けて行く工事車両には驚きましたが、現在卑山庫裡裏山で大規模な砂防工事が行われており大型車両が境内を往来し、また同時に諸堂修復工事も行われており境内はまるで戦場のようです。
午前中に藤田通麿総代ならびに修理委員会会長の吉岡泰英氏と御子息、高木現場主任、新命副住職を交え修理工事の現場視察と進捗状況について愈好亭で懇談しました。新型コロナウイルス禍のため観光も停止され寺全体が工事一色の様相となっており、今までの観光寺院の風景とは全く違った別空間を感じます。和尚のアトリエも修理中で今後は金沢に墨蹟禅画制作の拠点を移す予定です。
和尚のアトリエにて 建具屋さんが作業中
修理委員会会長 吉岡泰英氏と御子息
文化財建造物保存技術協会・高木現場主任 と 新命副住職
昔の大安禅寺山門写真を御覧になっているところ
自坊での日々の生活リズムは和尚の大休息を主としていますが、それだけに精神的余裕も生じ、コロナ禍終息後の構想を練るうえで重要な脳トレーニング時間ともなっています。健康管理と精神的発展は比例するものですから、大安禅寺で過ごす数日間は和尚にとって大切な休息タイムのようです。
責任役員総代 藤田通麿氏
さて社会全体がテレワークに移行する状況に有り、ウイルス感染予防の観点から今後の寺院運営もSNSやインターネット通信網の利用を余儀なくされており、月参りや法要そして法話に坐禅等すでにオンラインでの発信が始まっています。いま何を成すべきか!またどう有るべきか! 拈提(ねんてい)の日々が続いています。友峰和尚より
和尚のアトリエから望む 春の光
春雪です! 柔らかく真綿のようでフワフワ感が漂う淡雪は実に心が和むものです。いつまでもいつまでも見入ってしまい、春の訪れを待ち遠しく思うものです。
愈好亭の春雪
季節はまだ2月、北陸地方の降雪はまだまだ続きますがそれでも春の到来を待ち望む気持ちには変わりありません。午前中には卑山女性部の花園流ご詠歌の練習が妻の指導のもと枯木堂で行われていましたが、コロナウイルス禍の中に有る事を忘れてしまうくらい爽やかで美しい詠歌を奏でる御婦人皆様の声が堂内に響き渡り、こちらでも春の訪れを告げるかのようでした。
庫裡玄関にて
和尚の日課は掃除から始まりますが庫裡玄関の掃除は特に大切で、現在は修理保存工事中のため使用されていないだけにより丁寧に行っています。仏教の教理を示す言葉は沢山ありますが「脚下照顧(きゃくかしょうこ)」もその一つで、「自灯明 法灯明」の如くに常に自分の心と対象物が一つになるところに真理が自覚出来るものです。
掃除がひと通り終了し玄関全体を眺めて見れば衝立の達磨図が古びてあまりにも悲しげな顔をしているように思ったものです。達磨図は今から約30年ほど前、庫裡玄関を修復した記念に描いたものですから仕方のない事ですが、5年後に現在の庫裡が全面解体修復されるのを機に新たな七転八起達磨図を制作しようと思いました。
それしても庫裡玄関には厳として「韋駄天神」が卑山をお守り下さっている事に感謝したお掃除となりました。人生は一に掃除 二に掃除です!皆様!掃除を日々徹底してコロナウイルスを消滅退散させましょう!オンイタテイタモコテイタソワカ! 友峰和尚より
「和心 大道を生ず」 平成戊子 大安渓仙 書
「無事」 令和庚子 大安渓仙 書
自坊での仕事と言えば各部屋の整理整頓となっています。5年後に始まる重文庫裡第2期修復保存工事のために、住居として使用している庫裡の自室や屋根裏部屋そしてアトリエなどを整理しつつ、今後の歴史的資料として残しておく物を仕分けしながらの作業となっています。
「歩々是道場」 平成己丑 大安友峰 書
「虎 一聲清風起る」 平成庚寅 友峰 書
「 龍は起つ一潭の氷 」 平成壬辰 渓仙 書
いつもそうですが、整理を始めて色々なこれまでの資料を見ていると、どの品も懐かしくなり時間が掛かってしまいます。今日はアトリエと執務室の整理をしましたが、長きに渡って描いて来た干支色紙などはカビが生えかかっており、ギリギリ資料として残しておけそうな状態でした。
「即身即佛」 平成十三巳年 大安友峰 書
「天馬 空を行く」 平成十四午年 大安友峰 書
「天地一指」 平成甲午 渓仙 書
今年の干支は「丑」でしたが、以前描いた丑の図も保管されており、恐らく干支色紙描きも本年で2巡したものと思われます。これまでの作品を少し紹介させて頂きますが、本当に自分が描いたのかと驚く作品も有ります。
「好日」 平成十五癸未年 大安友峰 書
「福寿圓満」 平成甲申 大安友峰 書
「福寿圓満」 平成甲申 大安友峰 書
過去の作品と現在の作品とを比べてみると、やはりずいぶん違うものです。何が違うのか?どこが違うのかは、自分にしか分からない世界なのですが、一番違いを感じるのは描いた干支の図の「画力」なのかも知れません。絵の持つ存在感と言った方が分かりやすいかも知れません。どの色紙もその時その時で一所懸命に描いて来た事には違い有りませんから、干支作品の記録として保存しておこうと思います。
「閑日」 平成乙酉年 大安 書
「日々好々日」 平成乙酉年 大安友峰 書
「敬天愛人」 大安友峰 書
「日々是好日」 平成丁酉 渓仙 書
「和気 萬福を生ず」 平成丙戌年 大安 書
「日々是好日」 平成丙戌年 大安 書
今年の干支「丑図」描きはひと段落していますが、そろそろ来年の干支「寅」の準備に入りたいと思っています。さて今朝方は一面真っ白の雪景色となり、再び寒さが戻ってしまいました。春の到来はまだまだ遠いようですね。どうか皆様、風邪には十分気をつけてお元気にお過ごしください!友峰和尚より
「無心」
「吾道 一以って之を貫く」 平成己亥 大安友峰 書
境内に残る雪山 / 大安禅寺にて
豪雪による屋根雪の残雪がまだまだ多くあります。東京では春一番が吹いたそうですが、北陸地方も境内を取り巻く山々は確実に向春の様相を濃くしてきた感が有ります。もうまもなく春一番の暖かい南風が吹くものと期待していますが、2月も早1週間を過ぎ気持ちは逸る一方です。
現在順調に大安禅寺修復保存工事が進められていますが、既存の建物を創建当初の形に忠実に復元する為に過去の建造物写真の提示が求められており、両親の古いアルバムや記録写真を探しています。そもそも写真機そのものが昭和初期には高価で貴重なものでしたから、モノクロ写真と言えども資料として現在まで保存されているのは大変少ないものです。幸いに先代住職でも有る父が視聴覚に造詣が深かった為、当時の建造物の写真が僅かながら残されています。
卑山山門前で撮影された昭和20年頃の記念写真ですが、よく見るとその当時大変珍しい外国車2台と外国人そしてその横には昔の籠が映っており、背景の山門も当時のままで石組みの階段が有るのが確認できます。また右側には茅葺の民家が建っているのも印象的です。紋付き袴姿の地元の有志の方はじめ住職並びに松平家の関係者と思われる方々も見受けられ実に興味深い写真です。山門の姿もきちんと映されており、今後の修復保存工事に大いに役に立つことと思います。
修復保存工事中の山門 (2020年6月撮影)
長き時代を経ても建造物だけは修復保存をしながら創建当初の姿形をそのまま伝承していく事に歴史の重みを感じる今日この頃です。友峰和尚より
大安禅寺 庫裡玄関にて
大安禅寺では現在「重文諸堂全面保存修理工事」が国の指導のもと続けられていますが、鐘楼の解体工事の為、鐘楼前に植えられていた樹齢約130年の「ユリノキ」が先日、工事関係者によって伐採されました。昭和40年頃、自家用車が庫裏玄関まで入れるようになってからも伐採せずに今日まで大切に守られてきましたが、工事の妨げになると言うので止む無く伐採しました。
不思議な事にこの「ユリノキ」は、北アメリカ中部原産の植物で日本に初めて渡来したのが明治初期だそうで、明治14年に東京国立博物館本館の前庭に1本の苗木が植えられ今でも現存し、東京国立博物館のことを「ユリノキの博物館」と呼ばれているそうです。現在では日本全国の街路樹として至る所で見受けられますが、そのような外来樹木が旧福井藩松平家の菩提寺に今から130年前に植えられたという事実に不思議な縁起を思うものです。
ユリノキ (画像はイメージです)
明治15年は西暦1882年ですから、現在139年が経過しています。卑山のユリノキの樹齢が約130年くらいですから更に不思議さが増し、日本に渡来して直ぐに松平家の関係で東京から苗木が持ち込まれたと推察するものです。
ユリノキの花
このユリノキですが別名チューリップツリーとも言い、可愛い花を咲かせて来ました。伐採された「ユリノキ」は修復保存工事ご寄進の記念品として、今後加工しお分けしたいと願っています。友峰和尚より
しだれ紅梅 / 寳勝寺境内
自然の営みは着実に春に向かっているようです。この時期の一番の楽しみは草木の微妙な成長の変化を感じる時で、特に木々の芽吹きや青葉若葉の新芽を吹きだす時の様は気持ちが躍るものです。
姫水仙 テータテート
ムスカリ
コロナウイルス感染防止のため外出を控え自粛生活を余儀なくされている今日、 これまでなら見過ごしてしまうところですが、 「脚下照顧」の言葉の如く身近な植物達の成長を観察することがストレス解消に大いに役立つものです。観葉植物など室内で育てていると手に取るように四季を感じ取ることが出来ます。
ユキヤナギ / ふれあいパーク霊苑にて
あじさい
生け花にしてもしかりで、たとえ切り花であっても日々、自分の立ち位置を変えながら成長していくのが分かります。坐禅、茶道、華道、香道、書道など日本古来の伝統的文化の神髄は「身、気、心」を整え、心の平安を保つこと故に、現在のコロナウイルス禍の中で最も有効的なストレス解消方法なのかも知れません。
山茶花
さて大安禅寺では副住職指導のリモートによる坐禅会が行われており参加者人数も増えているとか。色々な工夫を重ねながら、ウイズコロナの中、少しでも前進していきたいと願って止まないものです。友峰和尚より
昨日に引き続き整理整頓の1日となりましたが、書類などは特に保存管理しておかなければならない重要なものが多く見受けられ、日を改めて整理したいと思うほどすいぶん長い間そのままになっていた事に驚きます。そのくらい、1年前までは忙しい仕事の日々を過ごしていたということにもなります。
㈱豊蔵組 江川部長様と 香林課長様とともに
昨年1月に新型コロナウイルスが発症して以来、感染防止に留意しながらの法務遂行でしたが、あっという間に1年が過ぎてしまいました。ウイルス禍の社会状況が2年目に入り、「ウイズコロナ」という社会的流れの中でいちど立ち止まってこれまでの書類の整理をしながら、「今後はどうあるべきか」を拈提する良い機会となっています。過去の書類を丁寧に点検するほどに如何にスピード社会の中で日々を過ごしていたかを知ることが出来ます。ウイルス禍の社会が長引けば当然のことながら今後の仕事の在り方なども大きな変革が必要と自覚するものです。
髙倉さんと 長川さんとともに
さてこのところ来客者もめっきり少なくなっていましたが、本日は久しぶりに賑わいを見せ人々との交流が如何に楽しいものであるかを思います。「出会い ふれあい 和みあい ゆくゆくお互い拝みあい」とは和尚のキャッチフレーズですが、人々にとって「和合」の時間ほど心休まるひとときは他には無いようですね。友峰和尚より
立春の朝の陽ざし
素晴らしい立春の朝日を拝むことが出来ました! あまりにも神々しくて暫くは合掌して感謝の言葉を述べました。昨晩は夕方6時から本堂にて家内安全・健康安心・コロナウイルス消滅退散・万民和楽・五穀豊穣・厄除けの節分会御祈祷を厳修し、御祈祷後はお供えした福豆で「福は内!福は内!福は内!」と大声にて鬼やらいをしましたが、「鬼は外!」とは一言も発しませんでした。外に逃げた鬼が誰彼なく悪さをするからです。 だいぶん前の話ですが、豆撒きの時、小さなお子さんから「和尚さん、鬼が外にいるので恐ろしくて帰れない。」と言われたのを機に「福は内!」のみの掛け声となりました。
福豆をお供えした後、節分会ご祈祷を厳修
祈祷太鼓を打ち鳴らし、御祈祷
御祈祷修行後、お供えした豆で「福豆まき」
「福は内! 福は内!」
「福は内! 福は内!」
全身全霊での御祈祷を修しましたから必ずコロナウイルス感染も収束に向かうと願うものです。さて本日より「丑年」に入ります。午前中は各部屋の徹底した整理整頓をし、気持ちを一新して立春をお祝いしました。
お掃除中、室内に差し込む陽光
本当に気持ちの良い立春の朝を迎えることが出来たのも昨晩の御祈祷御利益の賜物と感謝しました。どうか本年もご家族皆様がお幸せでご健康で有ることを心より御祈念申し上げます。友峰和尚より
今日は節分です! 例年ですと恒例の「節分会」と鬼やらいに続き福引大会が盛大に開催されるのですが、今年はウイルス感染防止の為、誠に残念ながら大安禅寺の節分会は中止となりました。昨年は十分な対策をし参加者全員がマスク着用で開催されましたが、あれから1年経っても収束の見通しが立たず、三密を避ける意味でも中止を余儀なくされました。
大安禅寺の節分会ご祈祷 例年のようす
鬼やらい (2015年の節分会より)
節分会の福豆まき 例年のようす
「節分会」はあらゆる病魔に対して退散消滅を願う御祈祷なので、本来ならば寧ろ開催すべきなのでしょうが、現実は感染予防を重視する事が優先されます。例え参詣者がなくとも病魔退散、万民和楽、五穀豊穣、健康安心の御祈祷を修業し全身全霊で「降伏一切大魔最勝成就」の九字を切り御祈祷を通して一刻も早い収束を念じたいものです。寳勝寺では今晩6時より御祈祷を修業したいと思います。
さて明日は立春!!心機一転、気持ちを入れ替えて令和3年の春に向かって邁進して参りましょう! 負けるな日本! 一致団結してコロナウイルス感染を収束させましょう!!「一に掃除 二に笑顔 三四元気におかげさま コロナ(五六七)退散 八苦(八九)消滅 ソワカ(十)」友峰和尚より
今日から2月、如月(きさらぎ)に入りました。午前中に少林寺お檀家総代様の宮﨑家の月参りに出向きましたが、床の間に和尚の描いた今年の干支図色紙が飾られており大変嬉しく思ったものです。
短冊に描いた 干支図
昨年から今年にかけて凡そ600枚くらい書いたでしょうか。毎年恒例の和尚の干支色紙描きですが、20年以上続けて来たひとつの筆修行でも有ります。御法縁を頂いている方々に縁起物としてお分けして来ましたが、どこまで続けることが出来るのかいつも「今年で最後」と言いつつ精進して来ました。描いた干支図が皆様のお家でどのように飾られているのか興味深く思いますが、今日のように新年の床の間に飾られている姿を見て本当に有難く感謝しました。
一枚一枚に心を籠め「家内安全」「家門隆盛」を願いつつ描いているだけに、ご家族皆様がこの一年間幸せで有ることを思うものです。もっともっと沢山の方々に差し上げたいのですが、干支図色紙を描き始めた当初は100枚くらいでしたから現在は約6倍になっており、加齢と共に流石に厳しい状況になって来ました。来年は寅年ですが、これからは一年を掛けて少しずつ描いていこうと心に決めた2月最初の日となりました。継続は力なり!今年は800枚に挑戦してみようと思っています。どうか和尚の干支図を可愛がって動物達を成長させて頂きますようお願い申し上げます。友峰和尚より