和尚のちょっといい話
友峰和尚のちょっといい話 【 第604話 】
2015年 04月 14日 談
早朝の境内掃除から始まった一日でしたが、このところの運動不足もいっぺんに解消されていくようでした。ひと口に掃除と言っても、大雑把な掃除から綿々密々にやる掃除までありますから、その意味合いは仕方で随分と違ってきます。竹箒での掃き掃除には限界が有り、狭い場所や細かい部分は掃除道具を色々と変えて丁寧にやっていきますと、石組みや植え木にも愛情が湧いてくるものです。
例えば、つつじの木に杉葉などが引っかかっている場合は、女性の黒髪に付いた糸くずをそっと取ってあげるかのように極めてデリケートな動作が必要です。時折立ち木に声をかけながらのお掃除ですから、ぶつぶつ言っている和尚の姿を誰かが見たら、「変なぼんさん!!変なぼんさん!!」って思われるのは必定です。しかし声をかけながら掃除をした分、終わった後の庭の美しさには感動すら覚えるほど、輝いて見えます。
たかが掃除、されど掃除です。近頃は色々な場面で、相手の人への応対や、接客の仕方に「虚しさ」を覚えるもので、その言葉にも態度にもどこか不十分さを感じます。日本の伝統的茶道や華道、武道、書道等から学ぶ基本中の基本は礼儀作法であろうかと思います。日本の伝統的思いやり精神も今日、風化の一途をたどっているように思えてなりません。お掃除の仕方から「思いやりの心」を学ぶ禅寺での研修を、各企業の幹部職員皆様に是非お勧めしたくなった早朝掃除でした。和尚も歳をとって愚痴臭くなって来たわいな! 友峰和尚より