和尚のちょっといい話
大安禅寺 鐘楼にて
卑山鐘楼の大鐘が戻ってきました。鐘楼の土台となる石組み修復も完了し年明けから本格的な鐘楼復元工事が始まるそうで、完成しましたら再び時を知らせる鐘撞を開始しようと楽しみにしています。約350年間欠かさず突いて来た大鐘だけに、ここ数年は鐘の音が聞けず寂しい限りでした。やはりお寺と釣り鐘は一体の物かも知れません。
新命副住職 参道の融雪パイプを準備しています
愈好亭にて 助野さんとともに
本日は妻が今年一年の無事を感謝して謝恩の茶を淹れてくれるというので自坊に戻りましたが、卑山高台にある「愈好亭(ゆこうてい)」でのお点前となりました。愈好亭は幕末の福井の歌人・橘曙覧(たちばなあけみ)が住職とお茶を飲むのを楽しみとしていた事で知られている茶室で、現在は昭和45年に復元された建物ですが越前平野を眼下に見下ろす風光明媚な場所に建てられています。普段は使われておらず、年末の大掃除も兼ねたそうで大掃除後の清々しい雰囲気の中でのお点前披露となりました。いつもお手伝い頂いている助野さんのお点前披露でしたが、とっても美味しいお抹茶を頂くことが出来ました。正に「忙中閑あり」の心境をお茶と共に味わう事が出来たようです。
清水様と 大谷さんとともに
孫たちとともに
寺庭の夏海さんが 御点前をしているところ
さて橘曙覧が愈好亭にて詠んだ歌「うちわたす 埜山の広さ ゆく水の ながさ目にあく 時なかるべし」と、当時の住職が橘曙覧に名物の松茸を見せたところ即興で詠んだ「入相の 鐘の音ひびく 杉むらの 下草ふかく かをる秋の香」などの一句は大安禅寺の風情を良く示しているようです。友峰和尚より