和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第2748話 】
2021年 02月 24日 談

大安禅寺 アトリエからの風景

急用で自坊に戻りましたが、境内一帯はすっかり春めいており早春の草花の匂いが妙に懐かしく仄々とした気持ちにさせてくれました。久しぶりにアトリエの自室に入れば、畳替えの新しいイグサの匂いがこれまた部屋いっぱいに充満しており新鮮な感覚に襲われました。さっそくに法務の仕事に取り掛かりましたが、窓を少し開け春の匂いを味わいながらの作業となりました。

愈好亭にて

自坊に帰ると寺内を一周したくなるもので、故郷を肌で実感する時は実に気持ちの良いものです。人影のない各部屋をしみじみと眺め、床の間の掛け軸や飾り物にも目配りをして一人楽しんでいます。隠寮の衝立には、妙心寺塔頭寺院 東海庵住職の岫雲軒老大師から頂いた色々な色紙が表具されておりそのユニークな墨蹟禅画には心が癒されるものです。

妙心寺塔頭寺院 東海庵住職 岫雲軒老大師から頂いた色紙の 貼交屏風

禅寺の風景は枯淡で、悠久の歴史と共に祖師の禅風を感じさせてくれます。仏法とは何ぞや?とよく問われますが、禅寺の佇まいそのものが真理の現れで、これと示すものが無いのが仏法そのものなのかも知れません。コロナウイルス禍の中いちど禅寺を訪ねてみては如何でしょうか!「いつ来ても 世離れ果てし この寺は 門入(い)るからに 心地異(け)にする」 幕末の福井の歌人・橘曙覧が大安禅寺で詠んだ歌です。いいですね。南無観世音菩薩 友峰和尚より

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