和尚のちょっといい話
「春はあけぼの ようよう白くなりゆく山際 すこし明かりて 紫だちたる雲の細くたなびきたる」 清少納言、枕草子の巻頭の言葉ですがまさしく「おっしゃる通り」で、現在午前6時に朝の梵鐘を撞いていますが、今日はその6時がぴったりの日の出の時刻。曇り空のため残念ながら「紫だちたる雲の細くたなびきたる」との光景は見られなかったものの、晴れた日には描写と全く同じ光景を見ることが出来ます。枕草子は京都で書かれたために福井の山々とは微妙に受ける感覚が異なるかも知れませんが、情景としては今も同じでそれを嬉しく感じるものです。
花団子切りが行われました。
大安禅寺では今尚、朝・昼・晩と、一日に三度「梵鐘」が人の手によって撞かれていますが、それは素晴らしいことだと思います。梵鐘の音色と春の朝日が昇る山々の稜線の風情とのコラボレーションでも有り、そのような環境に住んでいる贅沢さを最近しみじみ感じるものです。いちど皆様、大安禅寺の梵鐘を撞いてみませんか? 梵鐘には「大安禅寺の第一の法器である」と刻印されていますよ。それも開山和尚・大愚宗築禅師の銘文です。四百年前も今も変わらぬ、同じ音色が山々にこだまするのですから、心が和むのも当然です。
小袋や紙袋にいれ、お供えする準備をしているところ
涅槃図の御真前にお供えされた花団子
「心の安らぎ」は、実に身近なところに沢山潜んでいる事を思います。明日は卑山で涅槃・彼岸会が厳修されますが、御釈迦様の御悟りは自然の風景や木々の芽吹き、そして鳥のさえずりや梵鐘の音色の中に現れてくるものです。夕暮れ時に撞く梵鐘もまた素敵です。人生の時間を止めてみて、初めて自覚する世界なのかも知れません。さて今日は、昨日作った涅槃団子切りが行われました。期待していたアンパンマン模様のお団子は見事に失敗でした。
しかしながら職員の皆様は、必死でそれに近い形を探してくれました。なんて優しい心をお持ちの皆様なのでしょうか! 来年こそは頑張って色々作ってみたいと思いました。友峰和尚より