和尚のちょっといい話
友峰和尚のちょっといい話 【 第588話 】
2015年 03月 29日 談
閑静な佇まいの大安禅寺に居ますと、生活のなにもかもが違っていきます。アトリエに篭っていると、聞こえる音の一つ一つが新鮮で、遠い遠い昔の自分の心の故郷に戻って行くかのように思います。自然の発している音はあまりにもゆったりとしたリズムを伴って聞こえて来ますから、実に心地よいのです。古の僧侶達が深い山中に修行の場を求めた理由もここにあるのかもしれませんね。悟りとは自然と同化するところに有りますから、余計な詮索をまったく必要としない自然環境こそ、人間にとってかけがえのない心身の安住の場所だったに違い有りません。
和尚の日々のブログも、寶勝寺に居る時と、大安禅寺に居る時とでは、ずいぶんと文章内容が変わってくることを感じます。孔子さまは、自分の住まいを何度も替えたとか。住まいの環境が、自分の心に重要な影響を及ぼすことへの配慮からだったと想像されます。昔の僧侶は、自分の修行場を全国に行脚しながら求め歩いたそうですが、そのことも納得する今日この頃です。現代社会に生きる人々にとって住居の移動は至難のことですから、寺院境内の自然環境や堂内空間を心の癒しの場所として大いに利用して頂きたいものです。
さて、ようやく暖かさを感じる本日は御法事の為、法務に専念しました。自分の唱える読経もまた虚空の如く、霊魂と融合したおおらかな気持ちで唱えることが出来ました。幽谷の大安禅寺境内に鶯の声が響き渡る、幸せな気分に浸った一日でした。友峰和尚より