和尚のちょっといい話
友峰和尚のちょっといい話 【 第3310話 】
2022年 09月 09日 談
「病みてこそ道心(どうしん)の起こる候 不幸はこれ道(どう)の幸いなり」 この言葉は、妙心寺を開創された第九十五代花園法皇様が妙心寺開山無相大師と会われた時に語られた言葉ですが、和尚も普段よく法話の中で引用させて頂いています。本来で有れば普段の生活の中で道心が生かされねばなりません。煩悩多き人間の世界ではなかなか自分をさておいて相手を思いやるほどの余裕も気力も無いように思います。
しかしながらいちど病に臥すと、自分の病気と対面する中で日々“命とはなんぞや!心とは何ぞや!”と自問自答するものです。まして入院となりますと色々な病気療養に苦悩されている患者の姿に直面し、健康で元気であった頃の自分をつくづく振り返り感謝の念で一杯になります。病みてこそ道心の起こる候、不幸はこれ道の幸いなり! 花園法皇様が無相大師と出会い素直に発した真の心でもあると思います。吾(われ)いまだ救われざるに他人(ひと)を救わんと誓うなり、という菩薩の行は正にこの事だと思います。
さて入院5日目に入り次第に病棟の患者様の療養様子を伺い知るにつけ、自室にて皆様方の一日も早いご快復を坐禅をしながら心から祈念しています。無病息災から一病息災を心に刻み、健康回復に向けて療養に精進して参りたく思っております。友峰和尚より