和尚のちょっといい話

iihanasi_top

友峰和尚のちょっといい話 【 第1809話 】
2018年 08月 01日 談

今日は「陰徳(いんとく)」という日本古来の深い精神文化について考えてみました。明治以降、西洋の教育に少なからず教育・精神面で影響を受け始めた日本社会。いつの頃からか、この「陰徳」という言葉も風化しつつあるように思います。イエス、ノーをはっきりと主張する欧米文化は大変結構乍ら、その意思の深浅には大きな違いがあるように思うのです。

 

岡部さまと、お母様とともに

 

昔から「はっきりものを言わないのが日本人」と言われて来ましたが、はっきり言わないのではなく、その気持ちの奥には言葉では言い尽くせない程の「陰徳」の心を有していたからだと思うのです。言い換えればイエス、ノーを言わなくても十分に自信が有るからこその曖昧さだったのかも知れません。また「不言実行」という言葉も有りますが、いちいち言葉で言わなくとも日頃からの怠りない実践行動こそが日本人社会を支えて来た「陰徳」の精神だと思います。「曖昧さ」は英語で「ファジー」と訳されますが、「いい加減」の言葉の取り違え同様に「ほど良くちょうど良い」ということでしょうか?

 

福邦銀行金沢支店 の 舟橋くんと

そもそも「陰徳」とはどういう意味かと言えば「思いやり」であり、常に真心を持って行動する姿勢を言うのであろうと思います。この行動は、人間のみならず自己を取り巻くあらゆるものに対しても言える事です。「陰徳」、この言葉をもっと深めれば「以心伝心」または「両鏡相照らし 中心に影像なし」ということでしょうか? 「陰徳」の行為こそ、人生を豊かに過ごす基本的姿勢だと思うものです。「老僧親切」の言葉ながら、古き良き時代の日本を想う今日この頃です。友峰和尚より

Copyright© 2014 臨済宗妙心寺派 太白山 寶勝寺 All Rights Reserved.

〒921-8033 石川県金沢市寺町5丁目5番地76号
電話:076-287-3870