和尚のちょっといい話
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友峰和尚のちょっといい話 【 第1107話 】
2016年 08月 29日 談
笠原白翁
大安禅寺の裏山中腹に、福井藩幕末の藩医・笠原白翁(かさはらはくおう)の墳墓が有ります。白翁は日本で種痘を創始した功労者で、歌人・橘曙覽(たちばなのあけみ)とも親交のあった方です。本日は、その末裔の御家族が笠原家先祖墳墓のお参りに来られました。また卑山には橘曙覽の奥墓(おくつき)もあります。うっそうとした杉木立の中にお墓が有りますが、今なお御二人の恩徳を偲び多くの方々が参詣に訪れています。
笠原家御法要 / 大安禅寺にて
曙覧が生前に白翁に送った歌「雲のいる 松の下道 ふみ分けて 君も来て訪ね 我がおくつきを」が残されています。この歌は大安禅寺で詠まれた歌ですが、現在も御二人が会話を交わしているようにさえ思われる趣のある場所に墳墓が有ります。越前の高僧・泰澄大師が卑山の前身で有る「田谷寺(でんこくじ)」を約千二百年前に創建したと伝えられていますが、卑山の渓谷一帯にはその当時の四十八坊(修行祈祷場)の面影を見る事が出来ます。
さて8月もあと2日となりました。夕暮れには鈴虫が啼き始めています。このところの涼しさが心地よく身体を癒してくれています。暑いの寒いのと、日々、心も翻弄されていくようです。友峰和尚より