寶勝寺日誌

令和3年度 宝勝寺盂蘭盆会 住職法話
2021年 08月 02日

令和3年7月11日(日) 盂蘭盆会にて / 太白山 宝勝寺

……本年も盂蘭盆会法要のご案内を申し上げましたところ、多くの檀信徒様からの御便りを賜りまた御参列くださいましたこと厚く御礼申し上げます。現在宝勝寺では春の「お彼岸会」と夏の「盂蘭盆会」を修業していますが、臨済宗では1年を通じたくさんの年中行事があります。まず正月の「修正大般若会」、そして春の「涅槃会(ねはんえ)」「春季彼岸会」、夏には「盂蘭盆(うらぼん)大施餓鬼会(だいせがきえ)」、秋には「秋季彼岸会」「放生会(ほうじょうえ)」、12月には「大晦日」除夜の鐘の鐘撞きと続きます。1年に何回も何回も繰り返される法要でいったい何をしているのか?と申せば、それは追善供養(ついぜんくよう)の修業です。

…追善供養とは、本来は「追福(ついふく)修善(しゅうぜん)」「供給(くきゅう)資養(しよう)」の四字熟語に由来しています。“追福修善”とは、日々精進し善行をして「心の安心(あんじん)=福」を追求すること。“供給資養”とは、御霊前にたくさんのお供え物をし花を供え、香を焚いて御先祖を偲(しの)び供養すること。そうすることによって我々に本来備わっている「佛心=無心無碍(むしんむげ)なる清らかな心」を養い、人間を最も苦しめる心の中の“三毒”すなわち「貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)」から脱却して、まわりの人のためになるよう少しでも努力をしようとする心、これが「追善供養」です。

…御先祖供養は、実はそのまま自分の心を供養することにつながっていくところに大切な意義があります。先祖の恩・父母の恩に感謝することは究極、自分の心を調(ととの)え、日頃の行いを省(かえり)みて“気づき”を得ることにつながっていきます。この“気づき”とは「大円鏡智(だいえんきょうち)、平等性智(びょうどうしょうち)、妙観察智(みょうかんさっち)、成所作智(じょうしょさっち)※」のことで、人間誰もが本来持っている智慧(ちえ)のことです。しかしながら「貪(とん)・瞋(じん)・痴(ち)」に振り回されて心がザワザワしていると、この大いなる智慧が見えてこない。だからこそお寺に来て、法要に参加して懺悔をして気づきを得る、それによって自分や自分の家族をよりよい御縁へと導いていくことが出来るんですね。

宝勝寺ふれあいパーク霊苑 合同慰霊祭

…和尚が寳勝寺の住職に就任して10年を迎えましたが、すばらしい御縁に恵まれこうしてお寺の復興が進んでいます。このあと霊苑で合同慰霊祭が行われますが、宝勝寺ふれあいパーク霊苑を通じてもまた沢山の新しい御縁が結ばれ始めています。霊苑管理事務所スタッフは毎月4と9の付く日、修行道場では“しくにち=4(し)・9(く)日(にち)”と言いますが、この日に草取りをして常に苑内を綺麗に掃除しています。そうするとまた自然と人が集まって来るお寺になる、それこそが白隠禅師坐禅和讃の“因果一如の門ひらけ 無二無三(むにむさん)の道直し” そして “この身(み)即ち佛なり”ということなんですね。…本日は御参詣を賜りまして、誠にありがとうございました。(令和3年度寳勝寺盂蘭盆会 住職法話より 事務局が編集しました)

(※) 大円鏡智とは、鏡のように、すべてのものをありのままに映し出す智慧のこと。/平等性智とは、自分の都合ではなく、平等にものを見る智慧のこと。/妙観察智とは、対象を十分に観察する智慧のこと。/成所作智とは、状況を把握した上で、的確にやるべきことをする智慧のこと。

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