和尚のちょっといい話
早朝4時より花団子作りのための台所準備が始まり、すべて終了したのは午後1時過ぎとなりました。檀家さんはじめ大勢の世話人皆様の加勢を得ての花団子作りでしたが、今尚、昔ながらの手法が受け継がれていることに誇りと驚きを感じます。
この「花団子」ですが、何より尊いのは、村々への涅槃托鉢で頂いたお米を粉に引き、さらに多くの方々によって手作りで作られていく所に有ります。人と人とのつながりが極端に薄れつつある今日、何が故にこのような、手間ひまをかけての作業が受け継がれて来たのかは究極、「報恩」の一語に尽きるかと思います。
あらゆる物事が簡略化されて行く時代にあって、「伝統的行事」を後世に伝承することの大切な意義が見えてきます。心のこもった手作りの「花団子」、その五色の意味は、「自然界の命」そして「心」を表します。涅槃・彼岸会の当日は、この花団子をお供えして厳粛に法要が営まれますので、皆様には是非お参り頂きたいと思います。
一年に一度だけ、涅槃図を公開しています。/ 大安禅寺・御成りの間にて
創建当初から伝わる、狩野元昭 真筆の涅槃図
彼岸会には、涅槃図の御前にお団子がお供えされ、法要が厳修されます。
さて作業もひと段落して、和尚は春雨の降りしきる大安禅寺の風情を楽しんでいます。この時期の雨は誠に春到来の喜びに満ちた「法雨」と感じます。寺を取り巻く木々は、春雨を受けてこれから一気に緑を濃くして行きます。こんなダイナミックな自然の有り様を感じることが出来るのも、山中に住むからこその御利益ですね。心休まる時間の流れる一日を過ごすことが出来ました。「南無観世音菩薩」 友峰和尚より