和尚のちょっといい話
友峰和尚のちょっといい話 【 第2730話 】
2021年 02月 06日 談
大安禅寺 庫裡玄関にて
大安禅寺では現在「重文諸堂全面保存修理工事」が国の指導のもと続けられていますが、鐘楼の解体工事の為、鐘楼前に植えられていた樹齢約130年の「ユリノキ」が先日、工事関係者によって伐採されました。昭和40年頃、自家用車が庫裏玄関まで入れるようになってからも伐採せずに今日まで大切に守られてきましたが、工事の妨げになると言うので止む無く伐採しました。
不思議な事にこの「ユリノキ」は、北アメリカ中部原産の植物で日本に初めて渡来したのが明治初期だそうで、明治14年に東京国立博物館本館の前庭に1本の苗木が植えられ今でも現存し、東京国立博物館のことを「ユリノキの博物館」と呼ばれているそうです。現在では日本全国の街路樹として至る所で見受けられますが、そのような外来樹木が旧福井藩松平家の菩提寺に今から130年前に植えられたという事実に不思議な縁起を思うものです。
ユリノキ (画像はイメージです)
明治15年は西暦1882年ですから、現在139年が経過しています。卑山のユリノキの樹齢が約130年くらいですから更に不思議さが増し、日本に渡来して直ぐに松平家の関係で東京から苗木が持ち込まれたと推察するものです。
ユリノキの花
このユリノキですが別名チューリップツリーとも言い、可愛い花を咲かせて来ました。伐採された「ユリノキ」は修復保存工事ご寄進の記念品として、今後加工しお分けしたいと願っています。友峰和尚より