寶勝寺日誌
令和二年度 寳勝寺盂蘭盆会法要 (2020.07.12)
…本年のこのような状況の中で、檀信徒皆様にご参列頂き盂蘭盆会法要を無事に修業出来ましたこと、心より感謝申し上げます。
…さて、皆様のお家の中で、何か昔々の宝物がありますか?とお尋ねしたときに、「私の家には300年前の宝物があります。」と言われるかもしれませんが、家の中にある一番大切な古い宝物は、実は「経本」です。
今日の法要の中で皆様一緒に唱えて頂いたお経は、今から2500年前、お釈迦様が活き活きと説法をされていた時代のサンスクリット語でありまして、お釈迦様のお悟りすなわち「法=真理(しんごん)」として今も連綿と受け継がれています。つまり、我々が今日読んだお経はお釈迦様の言葉そのままでありまして、そうすると、2500年前のことがそれほど遠い昔のことだとは思えなくなってきます。今もこうして同じ言葉を唱えているのですから、2500年前とはほんの昨日のことだ、ともすると「今」のことだと思えるようになってきます。
「今という 今こそ今が大事なり 大事の今が 生涯の今」
…お釈迦様は、過去でも未来でもなく「今」を生きよと言われました。そして、ただ自己本位に生きるのではなく、少しでも自分の周囲の人に思いやりの心を向け、安心(あんじん)を得る、そういう一日であって欲しいと思いますが、なかなかそうはいきません。「喜怒哀楽」「惜しい、欲しい、可愛い、憎い」にひっぱり廻されて心の平穏を保つことが難しいからこそ、お経を読んでほしいのです。
…お経を読むことは、お釈迦様とひとつになることです。お釈迦様の言葉を信じて自分の心を疑うことなく、他人も疑うことなく、常に怠りなく三つの宝すなわち「三宝(さんぼう) ※」に帰依し、お釈迦様から諭された真理を実行し、それを日々の自己本来の宝として過ごしていくところに本当の心の安らぎがあります。
…平成23年に住職に就任して、来年は10周年を迎えます。本当に檀信徒皆様のご協力と支えがあってこの寳勝寺が復興されていきます。今日は最後に御祈祷を致しましたけれども、その御祈祷もお釈迦様のお気持ちをそのままに伝える「陀羅尼」を中心にお唱えし御祈祷致しました。どうぞ皆様の日々お健やかな生活を心から念じております。
(令和2年度 盂蘭盆会住職法話より 事務局が編集しました)
※「三宝(さんぼう)」…「仏法僧(ぶっぽうそう)」のこと。仏とは「ブッダ=お釈迦様」のこと。「法」とはサンスクリット語でダーマまたはダルマと言い「真言=お経」のこと。僧とはサンスクリット語でサンガといい「僧侶」のことであり、また「仏教徒」も意味する。