10月, 2024年

第4066話

2024-10-04

早朝よりしきりに降り続ける秋雨模様の天気となりました。気温もグンと下がり19℃と肌寒さを感じ、思わず長袖シャツに着替えるほどでした。神戸市での法務を無事に終え昨晩宝勝寺に帰山し、本日は午前8時より裏千家の釜師で少林寺檀信徒総代・宮﨑幽斎家の月参りに出向きましたが、雨のせいか金沢市街はいつもより車が混み合っていました。

 

 

 

月参り諷経を終えたのち御当主ご夫妻との話題は御自宅で毎月開かれている御茶会のことで、これまで約15年続けて来られたそうですが今年の12月で終了するとのことで、帰り際に楽焼のお茶碗を頂きました。

 

宮﨑幽斎氏 <第14代宮﨑寒雉師> 制作の茶釜

 

仏間には御自身(第14代宮﨑寒雉師)が制作した茶釜が置かれており拝見させて頂きましたが、写真の如く長方形で波紋模様が角に浮き出る大変趣のある作品ですらっとした上品さを感じ、侘び寂びの世界に誘われる気持ちになるものです。

 

床の間の掛軸

 

さて「侘び寂び(わびさび)」と言っても言葉はどちらも同じようでも趣の深さが違うデリケートな意味合いを含んでいます。現代社会の中で「侘び寂び」とはいったいどのような心境なのか、今いちど茶道や華道や書道を通して味わってみたくなる今日この頃です。友峰和尚より

 

第4065話

2024-10-03

 

以前よく相談を受けたものですが日本人は数字の縁起を気にかける習慣があるようで、特に「4」とか「9」の数字に敏感に反応して迷信と思いつつも違う数字に変更してもらうことがあるようです。最近は少なくなりましたが、昔は霊媒の写真などを持参されて厄払いの御供養祈祷を修業したものです。

 

 

昨晩は法務遂行のため神戸市内のホテルに前泊しましたが、部屋番号が「409号室」でネット予約だったことから私が住職と知ってのフロントスタッフの計らいだったのかも知れないと思ったものでした。

 

 

4と9を忌み嫌うのは、「4」の数字は“死”を指し、「9」は“苦”を想像するからでしょうか。考え方を変えれば4は「幸せの4(し)」で、9は「福の9(く)」ゆえに、4と9で“良くなる”とも読めますから要するに数字の縁起はマイナス思考が誘因かと思われます。ホテルの大浴場に入ろうと受付で預かったロッカーの番号がなんと007ですからラッキーナンバーと思考が働き、いつもより長めの風呂を楽しむ時間となったことは言うまでもありません。

 

 

それにしても心霊写真を持参され「悪霊を払って欲しい」との御依頼の方に「すぐに取ってあげましょう!」と写真に写っていた白いモヤをハサミで切り落とし「もう大丈夫ですよ。」と諭して厄払いの御祈祷を修業したものでした。道語に「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」という一句がありました。人間は色々な現象に翻弄されながら人生を歩んでいきますが、大切なのは何ものにも惑わされず気にせずにあるがままに生きることだと思います。4も9も有難し!有難し!昨晩は久しぶりにぐっすりと就寝出来ました。

 

 

本日は神戸市内も朝から雨模様となりましたが、法務を無事に終了し帰山の途に就きました。台風が近づいているようですがくれぐれも御用心ください。友峰和尚より

第4064話

2024-10-02

瑞光寺の甘柿

 

現在は金沢寺町宝勝寺に在寺しながら各兼務寺院の法務遂行に当たっていますが、それぞれの寺院において秋の味覚でもある木の実や果物が収穫時期を迎えつつあり、瑞光寺では甘柿に枇杷、伝燈寺では丹波栗、宝勝寺でも甘柿が日々色づき始めています。宝勝寺境内を整備する以前は蜜柑やグミの木があり、昔は子供達のおやつ代わりにどの家の庭にも何らかの果物の木が植えられていたように思います。

 

 

大安禅寺ではこの時期は秋の味覚の代表でもある松茸や色々なキノコを採って食したことを思い出します。また今では高級品となったイチジクの木も沢山あり、熟した果実をよく食べたものでした。おそらくは戦後の食料難だったことも果物の実る木を植えた要因なのかも知れません。そうそう銀杏の実も強烈な匂いと戦いながら収穫しましたね。いま振り返えれば懐かしいかぎりの思い出ばかりです。

 

彼岸花 / 瑞光寺墓所

 

本日は午前中に妻と一路神戸に向かいましたが、車窓から眺める山々の景色はすっかり秋めき所によっては赤く色づき始めた葉もチラホラ見えていました。瑞光寺墓域には今頃になって彼岸花が咲いているとのこと。自然の生態系にも異変が生じつつあるのでしょうか?さて10月に入り心機一転して法務遂行に頑張って参りたく念じています。和尚もまもなく満77歳を迎えようとしていますが、今では世界的にも長寿社会の日本ですから年齢を10歳引き算しなければなりません。和尚は66歳となり働き盛りの年頃、人生前進あるのみです。くれぐれもご自愛ください。友峰和尚より

第4063話

2024-10-01

 

今朝の宝勝寺境内 穏やかな朝陽

 

この季節の風には格別なものを感じます。「その人の 足跡踏めば 風薫る」の俳句は正岡子規の詠んだ俳聖・松尾芭蕉を偲ぶ一句ですが、そよと吹くなかに故人を想うのもこの時季の風かも知れません。

 

ふわふわと揺れる 秋草の穂

軒下の日陰 菊葉

 

長い長い猛暑から漸く解放され清秋の朝のひととき苔庭を望みながら一服のお茶を頂く時に爽やかな風が吹き抜ける瞬間は言葉では言い表せないほどの安らぎを覚えるものです。また朝陽を受けて秋の草木が輝きを見せるのもまた格別な趣が有ります。しばしの時間ながら十分に癒される爽秋のひとときでした。

 

 

つるばら、ハゴロモジャスミン

 

今日から10月、神無月に入りましたが衣替えの日でもあります。衣替えと言っても今日の暑さではいささか早いように感じますが、それでも学生の頃は長袖の学ランに着替え登校した時のことを思い出します。何もかもが遠い昔の話ながら、季節の移り変わりは人間の心を情緒的なものにさせるようですね。

 

大安禅寺の夕暮れ

 

さて本日は移動日となり、一路自坊に戻りました。明日は法務のため神戸市に出向く予定をしておりまだまだ東奔西走の日々が続く昨今となっています。季節の変り目でもあり皆様にはくれぐれもご自愛ください。友峰和尚より

 

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