和尚のちょっといい話
友峰和尚のちょっといい話 【 第639話 】
2015年 05月 19日 談
大安禅寺愈好亭から臨む緑
「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」の一句は、今から約三百年ほど前の俳人・山口素堂の作品ですが、この時期に読んだ名句でもあります。春の鳥、ウグイスの鳴き声から次第にホトトギスのけたたましい鳴き声に変わって行きますと、まさに夏の到来を感じさせてくれるものです。
長らくお待せ致しておりました…
姫観音図が完成いたしました。
もちろんウグイスも負けじと啼いてはいますが、ホトトギスの声には圧倒されます。青葉若葉が目に染みいるようなこの時期に有って夏の到来を告げる初鰹の食感はたまらなく旬を感じさせてくれますし、日本人特有の感性は四季の移り変わりに感応しながら培われて来たものと思われます。この一句は、欲張りにも季語を三つも重ねる型破りの歌ながら作者の興奮が伝わって来ると同時に、和尚とてもじっとして居れなくなる気分になるものです。日常生活に流されず、自然の微妙な移り変わりの様をつぶさに感じ取って行きたいものですね。
さて、ニュースではしきりに火山噴火を危惧する危険情報を伝えています、地底のマグマさえもまた一つの宇宙の命であることと受け止め、共存の道を歩んでいかなければなりません。「大いなるものに抱かれある事を今朝吹く風の涼しさに知る」恩師、山田無文老大師猊下の言葉が心に響くこの頃です。ブログを御読み頂いて下さっている皆様には大いに安らかな日々であることを念じて止みません。友峰和尚より