和尚のちょっといい話
中秋の名月が間近に迫っています。と言っても別にいまさら月など興味もないとおっしゃられる御方様に「老僧親切」ではありませんが一言申し上げますならば、何と言いましても昔の人達にとって「お月様」ほど心の安らぎの対象として捉えていた物は無いと和尚は思います。月の形は色々変化していきますが、よくよく考えてみれば地球上から眺める対象物の中でこんなにロマンチックなものはちょつと見当たりませんね。形も、色も、大きさも。刻々と変化していく様は実に素晴らしい!の一言です。上弦の月、下弦の月、三日月、そして満月です。いいですね! 和尚は、月と言えば吉田拓郎さんの「旅の宿」の歌を思い出します。「浴衣の君はススキのカンザシ・・・部屋の灯りをすっかり消して 風呂上がりの髪 いい香り 上弦の月だったけ 久しぶりだね 月見るなんて」 上弦の月は満月に向かう前の月の形だけに、歌詞の意味合いを一層ロマンチックにしていると思いますね。お月様と「様」が付けられてきたところも意味深く思います。「様」とは神様のことです。月とススキと団子が古来よりのセットになっていますが、ススキは神様が宿る場所で、団子は十五夜で15個で、満月にちなんで”真ん丸”なんて実に「おしゃれ」です。団子をつまみ食いしたらそれは神様がお食べになったこととして許されるなんて、もっとおしゃれです。そんな心持の感覚が次第に遠ざかっていくのは偲びない事ですね。
お月様を詠んだ歌はこれまでに沢山あります。風流なものばかりではありません、「おごるなよ 月の円さもただ一夜」なんて浮かれてばかりはおれない歌もあります。それほどまでに人々の心を魅了し続けてきたお月様です。この数日は好いお天気とのこと、皆様、ススキに団子をお供えして、秋の風情と満月とともに無事なる喜びを分かち合いたいものですね。そうそう「月見酒」なんていうのも風流ですぞ。「秋なれや 月を追う雲 逃げる雲」くれぐれも飲みすぎにはご用心あそばせ。「ウイ!」(フランス語ではハイの意味です)友峰和尚より