寶勝寺日誌
式台工事の打ち合わせをされているようす
1月も7日を過ぎ、宝勝寺の第二期修復工事は着々と進められています。まもなく式台と御手洗いの工事が始まるとのことで、今日はその打ち合わせが行われていました。いよいよ庫裡側も工事現場となりつつあります・・・。
寺の周りに巡らされた足場を通り、本堂正面側の屋根のほうへ向かいますと・・・
このような状態になっています。
新古混合の材木 狭く細い足場を軽やかに移動する大工師の皆様
霊園の前に、新しい瓦が積み上げられています。
新年あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。年末からの大雪で、寳勝寺もすっぽりと雪に覆われてしまいました。3日の夕刻には、郵便屋さんの年賀状を届けて下さった足跡が残るのみの境内で、雪除けに専心しました。
ふかふかの雪を、ママさんダンプで運びます
本堂付近は、屋根からの落雪で、小高い丘のような雪山が出来てしまいました。お正月休みにもかかわらず、ご近所の家々も皆様、除雪に励んでおられます。平成27年のお仕事始めは除雪からスタートとなりました。
静かな大晦日です。本堂内は工事中で防護シートに包まれているため、台所の中央と、韋駄天様の真前に鏡餅をお供え致しました。平成26年も年中行事や催事をはじめ毎日を無事に送ることが出来ましたこと、本当に感謝いたしております。来る平成27年はまた新たな出発点として精一杯尽力して参りたいと思っております。来年も何卒よろしくお願い申し上げます。
年末年始の悪天候の予報が信じがたいような、晴れの朝となりました。寳勝寺では今日も早朝から本堂屋根修復工事が進められており、瓦屋さんの車両が列をなして新しい屋根瓦を搬入されています。そんななか、山門脇に準備されているこちらの植物・・・、到着を心待ちにしておりました! 大安禅寺御用達・小森庭園の末政さまより寳勝寺へ御寄進賜りました一対の門松の為の、松竹梅、南天、ハボタン等々です。
今朝は住職により、寳勝寺山門に門松が組み立てられ、豪華に設えられました。
竹の高さを調整しながら、砂を投入しておられます。
梅、松、南天、葉ボタン等々、枝振りとバランスを見ながら挿していきます。
もう片方の門松とのバランスを調整
徐々に雨天になりましたが、黙々と進んでいきます。門前通りには妙立寺様を参拝される多くの観光客が往来し、門松の設置を興味深くご覧になりお正月の雰囲気を味わっておられる様子でした。
最後に、鉢の周囲をムシロで包み、棕櫚縄で留めます
隙間なく敷き詰めます
豪華な門松が完成しました!
山門には注連縄をお飾りし、準備が整いました。その後、住職が山門至福のお経を唱えられました。
静かにお経を唱えられる住職。既に雨が降り始めていました。
末政さまには、立派な門松を御寄進頂きましたこと心より厚く御礼申し上げます。
お昼には、前田様ご夫妻が年末のお墓参りの為お越し下さり、住職と久しく御歓談下さいました。前田様にはいつもご遠方より御来山下さり、また、ご法縁を頂いております事に深く感謝申し上げます。
ひととき激しく降った雨も、お墓参りの際には不思議と治まり、年の瀬の心温かなご供養をなされました。大変おつかれさまでございました。
今回は、平成二十七乙未年のひつじの「干支色紙」が出来上がるまでをご紹介させて頂きます。毎年、住職が師走から立春にかけて書かれている干支色紙ですが、西暦二千年の巳年から始まり、すでに干支を一周して巳、午、未歳を迎えられるそうです。
大安禅寺のアトリエにて / 平成26年12月27日
穂先が、もこもこの柔らかい羊毛を表現されます
微妙なアイラインです
独特の朱色がはいり、羊の純白が際立っていくようです
完成した羊の図。金の顔彩も塗られ、お正月の豪華な干支色紙が完成です。
「遊戯三昧」 干支図
本日の宝勝寺本堂、寺内のようすです。屋根修復と同時に、軒先に使用される化粧板の塗装が行われています。金槌や工具の音とともに、寺内も本格的に工事現場の様相です。
本堂の正面玄関階段から
本堂の正面玄関階段から上を見上げると、軒先の古い板が撤去されています。寺内で塗装作業中の化粧板は、この軒先に張られるとのこと。同じく軒先に使用される木舞も運び込まれ、黙々と作業が進められています。
年の瀬が迫ってまいりましたが、宝勝寺では本日も小雨降りしきるなか修復工事が進んでいます。
天井部分の至るところに、穴があいています
そこから大工さんと交信できるほど、大きな穴も有ります・・。
傷みの激しいところばかり注目してしまいしますが、建物の骨組みが400年の風雪に耐えてきたことを思いますと本当に丈夫な構造になっていると感じ、機械の無い時代に苦労して加工された材木からは、当時の大工さんや寺で生活されていた方々の温かみが伝わってくるようです。
昨日、住職のブログでもお話がありましたが、12月初旬、第二期修復工事が進められている本堂屋根裏から2枚の棟札が発見され、昨日関係者皆様の立ち合いの下、取り外す作業が行われました。本日はその詳細をご報告させて頂きます。
棟札の取り外しに際し、2社の地元テレビ局と3社の新聞社記者の方が取材にお越し下さいました。テレビでは昨日中に報道され、また今朝の新聞朝刊にも掲載して頂きました。丁寧な御取材と報道をして頂きましたこと厚く御礼申し上げます。
さて、棟札ですが、1枚は、本堂須弥壇の屋根裏部分(ご本尊観音様が安置されている壇の天井裏左側面の柱)に打ち付けられていました。住職、金沢市役所・歴史建造物整備課の皆様、松浦建設の方々、記者の方、テレビカメラマンや照明の方、などなど、総勢15名様が屋根裏に登り、垂木をかいくぐり、梁や柱をつたって現場まで向かいました。
こちら、屋根裏の様子です。地面は天井部分の為、降りることが出来ず、細い梁を伝って移動しました。
市役所の皆様や大工さん、テレビ局の方々も軽々と移動されていましたが、
私は前進後退を繰り返し慎重に移動しました…。
上の画像は、新しい垂木を設置する前(12月3日頃)の写真です。内部左側に見える四角い箱のようなもの(赤丸)が須弥壇天井裏に当たり、棟札は、緑矢印付近に、ご本尊様と同じ方向を向いて打ち付けられていました。
上段右から「皇風永扇 帝道遐昌 ”奉轉讀大般若経全部” 佛運紹隆 法輪常轉」二段右から「山門鎮静 衆僧無難 檀信歸崇」三段右から「火盗潜消 魔擾不起 諸縁吉利」下段右から「天保十四癸卯年 大悛道謹書 仲冬大甘露日」 ※天保十四年…1843年 表面・裏面とも、寳勝寺の繁栄と安寧、火災や盗難を防ぎ良い縁を得て発展するようにとの御祈祷の言葉が揮毫されています。
寺町の大工師・岩内様が丁寧に取り外して下さいました。直後に撮影
現場では、記者の方やテレビカメラによる撮影も行われました。
棟札はさらにもう一枚、内陣の天井上の柱に打ち付けられたものも発見され、確認のため取り外されました。こちらは、江戸時代末期から明治時代頃のものと思われ、現在詳細を調べているところです。
棟札が無事取り外され、階下へ降りる皆様。
屋根裏部分でも、柱の補強や筋交いとして、沢山の塔婆が使われている事がわかりました。
その後、本堂にて、2枚の棟札についての説明が行われました。
報道関係者の皆様からの質問に答える住職
記者の方からは主に棟札が発見されることの意義についての質問があり、住職は「寺の建築の歴史と文化財的評価を確かにすることは勿論、このお寺に住持した歴代住職や檀信徒の思いが伝わってくる大切な史料です…」とお話しされていました。
3時間近くに渡り行われた棟札の取り外し作業と記者会見。悪天候にもかかわらず現場の撮影から会見まで熱心に御取材頂き、誠に有難うございました。また金沢市歴史文化部・歴史建造物整備課の皆様にはいつも本当にお世話になり厚く御礼申し上げます。今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます。
昨夜からの雪で境内が真っ白になりました。今冬はお寺全体が足場に囲われ、強風から守られているようでもありますが、波板の屋根からは雪が軽快にすべり落ちて着々と積みあがっています。今年は夏頃から、「第2期本堂修復工事」と「ニューヨーク個展」の二大行事準備に邁進しておりましたので、秋の記憶が薄くあっという間に冬になってしまいました。どの植物も雪に埋もれ、落葉し、厳冬に備えていますが、白椿だけは生き生きと花を咲かせています。
これから春ごろまで咲き続ける、本堂前庭の椿です。
寺内の様子。天井からの大量の煤に、業者の方が掃除して下さったばかりですが、また煤が…。
「紅梅」は、寺務所に飾られている色紙です。ビニールに覆われた寺内ではありますが、清々しい新年を迎えられるよう準備していきたいと思っています。