寶勝寺日誌
菓子は「おはぎ」を御用意いたしました。ころころのお月様のようなおはぎです。
お彼岸お中日の今日、寺町の多くのお寺で行事や報恩講が行われています。ふだんは夕方聴こえてくるお鐘の音が、午前10時・午後1時と何処からか響き、”これから行事が始まるのだな”と知らせてくれます。「秋のお彼岸」というと現代では「9月23日」のお墓参りの風習のみが残っていますが、江戸時代以前の昔むかしは、お中日とその前後3日間を足した7日間を、読経や写経などの仏道修行をし心身を調える期間とされていたそうです。それを学んでからというもの、お正月と同じように”節目”の静かな心境でこのお彼岸一週間を過ごしたいと思っていましたが、瞬く間にお中日(第4日目)を迎えることとなりました。
「彼岸」はインドの古い言葉「パーラミター(波羅蜜多)」の漢訳で、「此の岸~迷いの世界~」から「彼の岸~悟りの世界~」へ到る、そのための方法、という意味だそうです。中でも六波羅蜜が有名で、その内容とは、1.布施(ふせ)・惜しい欲しいと思わず、相手のために心を尽くすこと。2.持戒(じかい)・我をつつしみ、謙虚になること。3.忍辱(にんにく)・思うようにならない時も、諦めず卑屈にならず耐えること。4.精進(しょうじん)・地道に努力すること。5.禅定(ぜんじょう)・外境や迷いに振り回されず、心を落ち着けること。6.智慧(ちえ)・仏の教えに従いあるがままを受け入れ、正しい判断をすること。以上の6つを実践することが、悟りの世界に到達するための方法であると説かれています。一千年以上も前に唱えられ始めた言葉が今も的確に人間の心を導いてくれることに、お経の凄さを感じます…。
明日からの3日間も、まだ「お彼岸」です。いま一度気持ちを改め、波羅蜜多の心で過ごして参りたいと思います。