和尚のちょっといい話
鐘楼横の萩 / 大安禅寺 境内にて
いよいよ今日から9月、昔の暦で「長月」といいます。子供たちが夏休みを終えて一斉に登校していますが、和尚も子供の頃、夏休みの宿題などで月末は大変だったのを思い出します。報道によりますと、四国地方は8月は前線の影響で長雨が続き、ほとんど太陽を見る事がなかったとか。そのため子供たちはその大半が家の中に閉じ込められて、夏休み中の沢山の宿題も早々に済ませてしまったとか。なんだか良かったような悪かったような。子供にとって夏休みは、運動不足や日頃のストレスを解消するための願ってもない長期間の休みですが、今年だけはいつもと違ったようですね。人間の日々のスケジュールが天候に如何に左右されるか、この事でもよく理解できるというものです。
大安禅寺もすっかり秋の気配を濃くしています。家族連れの観光客もぴたりと止み、子供たちの姿もいつしか無く秋風が境内に吹き抜ける中、夏の終わりを告げるかのようにみんみんゼミがひときわ甲高く鳴き続けています。「長月」と呼ばせた意味は諸説ありますが、これからは日々夜が長くなっていきますから長月といい、また秋の長雨から長月と言ったとも・・・。いずれの意味といたしましても、「のんびり」の感が感じられますね。日本の四季の移り変わりの風情が、住む人々の心を情緒性・感受性豊かな民族へと育成していったようにも思いますし、その土地土地の風土や習慣も少なからず自然からの大きな恩恵を受けながら世界に類を見ないほどの文化が育っていったと思います。大自然のどこまでも美しい日本、オアシスの国・日本。今なお愛してやまない故郷福井の風景です。「長月」の9月。お月様の季節でもあります。どこかで中秋の名月を眺めるぐらいの心の余裕を持ちたいものですね。「名月や 池を巡りて よもすがら」芭蕉の一句でした。いいね・・友峰和尚より