和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第4408話 】
2025年 09月 11日 談

 

臨済録の中に出てくる禅問答(公案)に「大悲千手眼、那箇か是れ正眼、速やかに言え」とあります。京都の東山に位置する蓮華王院・通称三十三間堂を拝観しますと御堂には一千一体の千手観世音菩薩像が祀られていますが、また別の寺院の千手観世音菩薩像の手の平には眼がついている千手千眼観音菩薩像も有りその姿を見て禅問答に取り入れたわけですが、「千の手そして千の眼を持った観世音菩薩のどの手とどの眼が本物か言ってみよ!」と。さてさていったいどの仏像の手と眼が本物なのでしょうか!

 

 

一千一体も有りますと、どの千手観世音菩薩の手が本物か見分けがつかないのが普通だと思います。全てが本物です!とでも言うのでしょうか? 禅問答は理屈では無くあくまで「無心無碍の心境」を言いますから、皆様ならどのように答えますでしょうか。

 

 

和尚の人生77年を振り返りますとこの公案は身に染みて感得するもので、人生の日々の主体性は常に自分に在るわけで、全身全霊で今を大切に精進努力していくところに人生の活路を見出すことが出来ます。千手千眼観世音菩薩の姿は正しく自分の姿そのものであり、二本の手と二つの眼こそ大悲観世音菩薩と同じく慈悲の手と慈悲の眼で無ければなりません。仏教は慈愛と慈悲の行でありますから、両親から頂いた健全な身体を大切にしながら更なる己事究明とともに衆生の化縁にあたって参りたく念ずる今日この頃となっています。

 

 

さてお彼岸会が近づいてきました!「秋彼岸 菩提の種を蒔く日かな」と一句詠まれた方がおられますが、皆様にはぜひ御参詣賜りますようお待ち申し上げております。友峰和尚より

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