9月, 2014年
宝勝寺の秋・野草図屏風
寳勝寺・秋野草図屏風 / 石川県立美術館へ寄託
今年の二月ごろ、石川県立美術館へお伺いした際の写真です。涅槃図とともに、寳勝寺の宝物として秋の草花を描いた屏風が寄託されているとのことで拝見させて頂きました。高さはおおよそ120センチほどで、右側から左側へ、秋から冬への草木花が自然のままに描かれています。
落款は「伊年」とあります。(伊年とは俵屋宗達の流れを組むことを証明する”屋号”のような印とのこと)
美術館の方のお話によると、おそらくもう一双、春から夏にかけての野草図屏風があり、二双一対の「四季野草図屏風」だったのではとのことでした。しかしなによりも驚きましたことには、この「秋野草図屏風」に描かれている植物のほとんどが現在の寳勝寺の秋の景色にも登場することです。
菊、りんどう |
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白萩、すすき |
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芙蓉 |
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南天と水仙 |
藤袴と紅い葉のつる / 藤袴も秋の中庭に咲きます
時代は四百年ほども移り変わりましたが、お寺が守られてきたことと共に愛でられている自然の景色もほとんど変わっていないことが伝わり、大変感動いたしました。
第381話
サラ・ローレンス大学個展 第2回打ち合わせ会のようす / 大安禅寺 書院にて
ニューヨーク州、サラ・ローレンス大学個展の二度目の打ち合わせ会が昨晩卑山で行われましたが、愈々開催まであと一か月余りとなり緊張してきました。参加者16名全員の出席のもと、入念にタイムスケジュールなどのチエックをしましたが、会合を重ねるごとにさらなる緊張感が増していく感じがします。今回の個展は大学のキャンパス内での開催なので、いつもとは随分違った思いで望んでいます。同行される野口美智子先生はじめ社中の皆様も楽しみにされている様子で、サラ・ローレンス大学では初めての開催となります日本禅僧による「墨蹟展」と日本文化の一つでもあります「お煎茶会と生け花展」の開催という事もあり、参加される皆様の心意気を感じ取った打ち合わせ会でした。
スケジュールについての詳細な確認が行われているようす
明日は中秋の名月ですが、無事に「円成」できるようにお月様にもお願いしようと、早速にススキとお団子をお供えしてお祈りしたいと思っています。人生にはいろんな試練がありその都度ハードなプレッシャーがかかりますが、そのプレッシャーこそが最大の宝物で、ステージアップを目指すための関所のようなものですね。個展開催日直前まで油断は大敵です。さて、今日は金沢市寺町「桂岩寺」様で和尚の特別法話がありますが、リスナーの皆さまは全てが坐禅会員の方々だそうで、なかには坐禅歴40年の方もおられると聞き及んでは和尚も力が入ります。「坐禅坐禅といわしゃるけれど 腰の根太が痛うござんす」って本当にそうですね。「坐禅三昧」なる言葉がありますが、理屈抜きで「坐る」ことが肝要です。いまから坐禅会員皆様とお会いできるのを楽しみにしています。久しぶりの法話です、頑張りまーす! 友峰和尚より
第380話
「演歌」がここに来て再び人気が出てきたようです。日本文化の極めつけのような独特な旋律で奏でられる「演歌」、団塊世代の皆さんにとってはたまらなく郷愁を誘うリズムに違いありません。時代の変遷とともに当然のことながら音楽のリズムもジャンルも変わっていきますが、ここに来ての演歌の復活はなんとなく和尚にも理解できる気がします。と言いますのも、やはり団塊世代の定年退職ラッシュ期に大いに起因していると和尚は察します。昔の浪花節ではありませんが、「義理・人情」の心を強く感じさせてくれる演歌の歌詞に自分のこれまでの人生を重ね合わせ、回顧するかのように聞き入るには演歌が一番です。
歌詞の内容もさることながらその調べの波長が定年退職後のリズムとマッチしているのかもしれませんね。退職金を何に使うかのアンケートの中にオーディオを買い求める方も含まれているようですから、きっと今まさに流行の兆しを見せ始めた「ハイレゾリュウーション」、通称ハイレゾ機器を自室に設えての音楽鑑賞に浸るのも納得できるものです。音質が良くなるほど歌手との距離間をより近づけるので、ますますはまり込むこと間違いなさそうですし、八代亜紀さんの「舟歌」や北島三郎さんの「なみだ船」などはうるうるになっちゃいますね。他にもまだまだ名曲は沢山あります。企業戦士と言われ続けてきた団塊世代の皆様、演歌のみならずフォークソングにジャズ、ロック・・・・。音楽は心に力を与えてくれます、また歌詞は希望を与えてくれます。どうぞごゆっくり秋の夜長を音楽とともに過ごせば、必ずや夢・希望が再び湧き出づる事必定です。頑張って参りましょう。友峰和尚より
第379話
中秋の名月が間近に迫っています。と言っても別にいまさら月など興味もないとおっしゃられる御方様に「老僧親切」ではありませんが一言申し上げますならば、何と言いましても昔の人達にとって「お月様」ほど心の安らぎの対象として捉えていた物は無いと和尚は思います。月の形は色々変化していきますが、よくよく考えてみれば地球上から眺める対象物の中でこんなにロマンチックなものはちょつと見当たりませんね。形も、色も、大きさも。刻々と変化していく様は実に素晴らしい!の一言です。上弦の月、下弦の月、三日月、そして満月です。いいですね! 和尚は、月と言えば吉田拓郎さんの「旅の宿」の歌を思い出します。「浴衣の君はススキのカンザシ・・・部屋の灯りをすっかり消して 風呂上がりの髪 いい香り 上弦の月だったけ 久しぶりだね 月見るなんて」 上弦の月は満月に向かう前の月の形だけに、歌詞の意味合いを一層ロマンチックにしていると思いますね。お月様と「様」が付けられてきたところも意味深く思います。「様」とは神様のことです。月とススキと団子が古来よりのセットになっていますが、ススキは神様が宿る場所で、団子は十五夜で15個で、満月にちなんで”真ん丸”なんて実に「おしゃれ」です。団子をつまみ食いしたらそれは神様がお食べになったこととして許されるなんて、もっとおしゃれです。そんな心持の感覚が次第に遠ざかっていくのは偲びない事ですね。
お月様を詠んだ歌はこれまでに沢山あります。風流なものばかりではありません、「おごるなよ 月の円さもただ一夜」なんて浮かれてばかりはおれない歌もあります。それほどまでに人々の心を魅了し続けてきたお月様です。この数日は好いお天気とのこと、皆様、ススキに団子をお供えして、秋の風情と満月とともに無事なる喜びを分かち合いたいものですね。そうそう「月見酒」なんていうのも風流ですぞ。「秋なれや 月を追う雲 逃げる雲」くれぐれも飲みすぎにはご用心あそばせ。「ウイ!」(フランス語ではハイの意味です)友峰和尚より
第378話
日が暮れるのが早くなってきましたね。なんだか一日がますます早く過ぎていく感じがしています。秋の到来によって皆様の日常の生活リズムも随分変わることと思いますが、早く夜が更けるとかえって夜の時間を有効に使いたいと思うものです。不思議と気持ちまでのんびりしてきますね。
ここに来て俄然食欲も増して来て、夏場とは打って変って、何を見てもおいしそうに見えてきます。なるほど昔から「食欲の秋!」なんて言いますね。誰かさんが呟いていましたよ、「天高く妻肥ゆる秋!」ってね。エッ!馬じゃないんですか?どうやら年老いて和尚も耳が遠くなって来たようです。そうそう、先日あまりにも耳鳴りがしますから早速耳鼻咽喉科の医院を訪ね診察して頂きましたが、「綺麗な耳ですよ!」って先生に言われ診察終了なれど相変わらず耳鳴りが止まず、ようやく秋を迎えたというのに耳の奥では蝉が鳴き続ける始末。幸いに寝るときには鳴りを潜めるので、どうやら疲れからくる突発性耳鳴り症候群だと自分で病名を付けました。いけませんね~。明らかに老化現象です。インターネットを駆使して耳鳴りを直す方法や薬がないものかと検索して見たら「なりピタン」なる魔法のような名前の薬が目に入り、これまた薬局で薬を求めて飲んでみたものの「なりピタン」どころか「なりなりパタン」で、よくよく見たら「継続が大切」とか。どうも「耳寄りな話」ではなさそうです。しかし和尚の体験から、耳鳴りを抑える一番良い方法は「耳周りの指圧」ですね。横向きになって、自分の親指でツボをぐいぐい押すのが効果がありますよ。皆様も是非お試しください。そんなわけで、今日からは和尚のアトリエでじっくりと作品制作に没頭することとしました。秋の夜長もまた風流です。一人静かに筆を走らせるのも気持ちの良いものです。秋雨の音も爽やかです。読書の秋でもありますから大いにこれからの夜長を楽しんで過ごして行きたいものですね。友峰和尚より
酔芙蓉の色変化です。
今朝の寳勝寺です。昨日ご紹介させていただいた酔芙蓉のつぼみが開き、大きな白花がお目見えしました。直径10センチほどの大きな花ですが、その色や造形はなんとも繊細です。
このお花は、朝は純白で開花し、時間が経つにつれて徐々に赤みを帯び夕方には紅色になることから、「酔」芙蓉という名がついたと言われています。夕方、寺カフェを終了して再び花を見ますと、なるほど鮮やかな紅色に変化していました。
寂しいことに酔芙蓉は一日花の為、この花は今日限りで萎んでしまいます。 しかしながら、宴たけなわでも潔くシュルシュルと閉じていく形が可愛らしくも感じられました。手を振って去っていくような姿です。
第377話
「臨済宗妙心寺派滋賀北陸教区・御詠歌発展講習会」が長浜の良疇寺を会場に開催され、今年も約100名を越える参加講習となりました。和尚は教区連合会長として出席し、開会のご挨拶を致しましたが、参加講習生の熱心な受講風景に接しいつもながら感心しました。
参加年齢も幅が広く、下は40代から上に至っては80歳を超える方までが長時間に渡っての御詠歌講習に辛抱強く臨んでいる姿には頭の下がる思いでいっぱいになります。流石に100名を越える御婦人方々のアカペラの声が堂内に響き渡る様は圧巻ですね。最近は高齢者の健康管理が何かと話題になりますが、何と言っても声を出す事は一番身体に良く、また御詠歌は両手に鳴り物を持って詠じるため脳トレーニングと両手のトレーニングの同時進行で、老化防止に大いに効果があると和尚は思います。腹の底から声を出す訓練でも有りますから、身体全体に”気”が行き渡る感があります。高齢化社会の進む今日、御詠歌は健康で長生きに連動する素晴らしい仏行で有ると改めて承知した一日となりました。大安禅寺からも7名の講員が参加されましたが、皆様一所懸命練習する姿の中に観音様の姿を観る思いでした。友峰和尚より
酔芙蓉のつぼみ
寳勝寺・山門の前庭でひときわ成長している「酔芙蓉」ですが、今日、白い花びらが大きく膨らんだ一輪を見つけました。
民家や街路樹では、あちこちで既に「芙蓉」の花が満開になっており、今か今かと待っていた酔芙蓉です。たくさんの蕾がついていて、これから10月中旬まで次々と開花します。
9月に入り、朝顔も名残花となってきました。小さくなっていく朝顔もまた季節の趣があります。
第376話
大安禅寺 本堂
地元の金沢読売新聞朝刊紙で寶勝寺・寺カフェが記事として掲載されましたが、近年、若者の寺離れが急速に進んでいます。と言いますのも、電子社会発達のスピードと、極めてレトロでアナログ的感覚の伝統的仏教とのギャップがここに来て一気に格差を広げてきた感があります。仏教はそもそも大自然主義的要素を含んでいますからどれだけ文明が発達しようとなんら影響を受けないはずなのですが、やはりこれほどまで急速に電子機器による情報化社会が進展していきますと、もはや布教活動などもそのスタイルの変化を求められています。何事もそうですが、常に原点に還ってみることが重要で、現代のお寺そのものが人々とは随分かけ離れた存在になってきているところに一番の寺離れの原因があるかと思います。
大安禅寺 書院
現代の寺の役割には色々あると思いますが、寺が出来始めた頃の役割はと言えば、実に民衆にとつて身近な集合所であったと思われます。情報の交換場所であったり、憩いの場所であったり、勉強の場所であったりもしていて、今でいうならば各自治体にある地元市民の為の福利厚生複合娯楽施設みたいなものでしょうか。最近になって、それぞれの寺院における布教活動にも工夫が見受けられるようになってきましたが、次世代を担う若者達が気軽にお寺を尋ねられるような、寺院の開放が急務課題となってきているようです。卑山の試みとしての「寺カフェ」には、次第に若者たちが増えてきました。カフェが仏縁につながっていくことを和尚は強く念じています。お寺に入るだけで不可思議な法悦を感じさせてくれるものがあります。仏教の歴史そのままに寺の持つ自然な安らぎの空間を大いに利用して頂きたいものです。友峰和尚より
第375話
鐘楼横の萩 / 大安禅寺 境内にて
いよいよ今日から9月、昔の暦で「長月」といいます。子供たちが夏休みを終えて一斉に登校していますが、和尚も子供の頃、夏休みの宿題などで月末は大変だったのを思い出します。報道によりますと、四国地方は8月は前線の影響で長雨が続き、ほとんど太陽を見る事がなかったとか。そのため子供たちはその大半が家の中に閉じ込められて、夏休み中の沢山の宿題も早々に済ませてしまったとか。なんだか良かったような悪かったような。子供にとって夏休みは、運動不足や日頃のストレスを解消するための願ってもない長期間の休みですが、今年だけはいつもと違ったようですね。人間の日々のスケジュールが天候に如何に左右されるか、この事でもよく理解できるというものです。
大安禅寺もすっかり秋の気配を濃くしています。家族連れの観光客もぴたりと止み、子供たちの姿もいつしか無く秋風が境内に吹き抜ける中、夏の終わりを告げるかのようにみんみんゼミがひときわ甲高く鳴き続けています。「長月」と呼ばせた意味は諸説ありますが、これからは日々夜が長くなっていきますから長月といい、また秋の長雨から長月と言ったとも・・・。いずれの意味といたしましても、「のんびり」の感が感じられますね。日本の四季の移り変わりの風情が、住む人々の心を情緒性・感受性豊かな民族へと育成していったようにも思いますし、その土地土地の風土や習慣も少なからず自然からの大きな恩恵を受けながら世界に類を見ないほどの文化が育っていったと思います。大自然のどこまでも美しい日本、オアシスの国・日本。今なお愛してやまない故郷福井の風景です。「長月」の9月。お月様の季節でもあります。どこかで中秋の名月を眺めるぐらいの心の余裕を持ちたいものですね。「名月や 池を巡りて よもすがら」芭蕉の一句でした。いいね・・友峰和尚より
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