友峰和尚のちょっといい話
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第277話
平成26年 5月16日 談
大安禅寺・開基堂
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福井藩初代藩主は結城秀康です。徳川家康公の次男として
生まれ、当時の豊臣秀吉公との政略的関係から豊臣家に養子
縁組された後、6年間”羽柴秀康”として豊臣家に仕える事と
なりますが、秀吉公に子供が出来ると今度は結城家に再養子に
出され、”結城秀康”となります。秀康公は、養父である秀吉公
を大変慕ったと記されています。
このような歴史的経緯から、大安禅寺の寺門には徳川家の「葵」
の紋と豊臣家の「桐」の紋が使われています。
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開基堂・向拝
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三四〇年の時を経て、今、卑山の開基・福井藩第四代藩主
松平光通公を祀る「開基堂」の前庭に突然、桐の木が生長して
います。何処から飛んできたのか、桐の種子が発芽して、日々
成長しています。実に、摩訶不思議な事です。
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「人間は死して、その霊は何処へ行くのか?」
誰もが知りたい質問だと思います。故人の霊の想いは永遠に
生き続け、特に”慈恩”の霊においては宇宙のあらんかぎり
真の心をこの世に伝えんがためにあらゆる手段を用いてその心
を伝えようとしている事実があります。我々がこの世に生きる
真の行為は、「父母の恩、先祖の恩に報いんが為の慈愛」に
あるかと思います。それゆえに、現世も来世も同じ、自分の心
の中に存在することを思います。
「その時、歴史は動いた」では有りませんが、史実よりも、
もっともっと深いところに”本当の歴史”が潜んでいると感じた
一本の「桐の木」のお話でした。
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福井藩第四代藩主・松平光通公を祀る廟
御堂の欄間部分に並んで彫刻された、「葵の紋」と「桐の紋」
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宝勝寺住職・友峰和尚より |