和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第2039話 】
2019年 03月 19日 談

先日厳修された寳勝寺春季彼岸会法要の追善の一句は、”一樹春風両般有り 南枝は暖に向かい北枝は寒”という禅語を引用したもので、江戸時代の名僧・白隠慧鶴禅師の「槐安国語(かいあんこくご)」の中に出てくる言葉です。

 

沙羅双樹 / 寳勝寺境内

春の暖かい風を受けた南の枝はすくすくと伸び、北枝はゆっくりと北に向かって枝を伸ばし、立場は違えども同じ春風を受けてそれぞれの本分を全うしていく、という意味です。さらに深めれば、北枝の支えがあってこそ南枝が成長し結果的には立派な枝ぶりと成るという意味でも有ります。

 

おかめ桜 / 寳勝寺境内

春季彼岸会法要を無事に終え斎座(さいざ)所謂昼食を頂き始めたころ、職員から「トイレが詰まって水が流れない」との報告を受け早速ラバーカップを携えてトイレ詰まりを解消する為、お食事中の檀信徒皆様の横をすり抜けて行きましたが、その和尚の姿は南枝とも北枝とも? つい10分ほど前までの法要導師の姿が一変してトイレ修理屋さんに様変わり。これぞ追善供養一句の真髄か? 実に面白く滑稽な風景です。

 

「禅」という字は「単を示す」の意、自由自在に自分を活かし使いこなす事を指します。じっとしていては何も解決できません。悟りの本体である春風を受け、皆それぞれに立場が異なる中でのアクションが全体を形成していきます。今やらねばいつ出来る!俺がやらねば誰がやる! 悟りの風は平等に吹いていることを自覚する毎日です。友峰和尚より

 

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