和尚のちょっといい話

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友峰和尚のちょっといい話 【 第1340話 】
2017年 04月 19日 談

この21日にイタリアからの観光客を迎える為、本堂南側の阿吽庭を徹底的に掃除しました。掃除の仕上げは砂庭の砂紋をひく作業ですが、線を引きながら「人生とは川の流れのようなものである」と改めて感じたものです。永平寺開山・道元禅師の詠んだ句に「春は花 夏ほととぎす 秋は月 冬雪さえて 冷(すず)しかりけり」と有ります。一見自然の風景を詠んでいるようで風流にも聞こえますが、どうしてどうして大変厳しい言葉なのです。

掃除をしながら、ひたすら自然環境そのものが自分の本来の姿であると思うものです。また「心は水の如し」とも言われるように、川の流れの中に人間の一生を見る事が出来るものです。平穏な清流あり、恐ろしい濁流あり、急激な滝あり、前に進めぬ澱みあり、分裂あり、合流あり。大海に望めばやがて蒸発して雲となり雨となると。なればそれらのことを心に於いて「砂紋」を描かねばなりません。

自然を汚すことは自分の心を汚染させるようなものです。季節の移り変わりの中に自分の心を重ね合わせてみれば、平穏無事なる心境の大切さが自然体に自覚できるものです。本日は作業の一つ一つの動作に全身全霊で挑んだ真剣勝負の時間となりました。掃除終了後、福井市内にある結婚式場の会社から記念写真の場所提供を依頼されるという絶妙なタイミングに、答えを見出した大作務となりました。友峰和尚より

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