3月, 2017年

第1321話

2017-03-31

㈱豊蔵組 江川部長様とともに

明日から卯月(うづき)を迎えますが、寳勝寺から野田山の方に目を向けると木々の青葉若葉がその色を濃くし始めています。それと同じくして大安禅寺の花菖蒲も新芽を出し始めているとか。その情報を耳にして和尚の心は次第に落ち着かなくなってきました。何事に於いても言えることですが、そのものに親身になって対応しなければ良き結果を生み出す事は出来ないものです。三十数年に渡って花菖蒲の管理に携わって来ただけに、遠く離れた所に居る自分にジレンマを覚える昨今です。身体は一つしかないという現実と、加齢を迎えての身体能力低下が心に大きく作用し、情けなくも気弱になって行く自分にはあきれるばかりです。幸いに和尚の気持ちを察して日々懸命に花菖蒲園を支えて下さっている小森庭園主・末政幸憲氏や世話方の宮田氏がおられますが、末政氏も八十歳を超える御歳と成っています。一刻も早く帰山して花菖蒲園の整備に入りたいと思うばかりの毎日です。

さて大安禅寺の重要文化財建造物全面修復工事が始まろうとしています。本日は一昨日に引き続き建設業者のヒヤリングを受けました。来年度工事入札が行われる予定となっていますが、現在は工事施工申し入れの要望のあった関係各会社のヒアリングを集中的に行っています。約十年間に渡る大修復工事が予定されているだけに慎重に聞き取りをしていますが、和尚も気を引き締めて応対しています。そうですね、今の心境を一言で表すなら「温故知新」でしょうか!花菖蒲に慈愛の思いを寄せ、古き建造物にロマンの思いを馳せる。全ては縁に委ねて参りましょうか。明日から四月、皆さん元気に参りましょうね。友峰和尚より

転任のご挨拶に来られました

 

第1320話

2017-03-30

まもなく4月 卯月(うづき)を迎えますが、新年度を迎えるにあたっての寺務整理の為に兼務寺院・傳燈寺に出掛けました。先日の大掃除の続きが残っており、職員並びにお手伝いの学生さんと共に先ずは掃除から始めたものの、まだまだ時間がかかりそうな状況です。それでも随分と綺麗になったものです。障子や畳などはすっかり入れ替えられて元の姿に戻っていました。次回は本堂の仏壇周りを中心に徹底的に最終の掃除をしたいと思っており、傳燈寺の行事遂行については5月の「弁財天法要」から出発したいと考えています。

また傳燈寺町会長の西川氏とも境内の立ち木伐採や道路の拡張工事について打ち合わせをしましたが、次第に傳燈寺の環境が整いつつあります。果たして和尚が何処まで出来るかは分かりませんが、地元の方々の協力が有る限りにおいては頑張ってみたいと思っています。

道路拡張の打ち合わせ中

枯れ根や立ち木伐採の打ち合わせ中

西川町会長とともに

傳燈寺を取り巻く環境は実に静寂で、坐禅には持って来いの理想的瞑想場所です。杉木立を抜けて吹き渡る風の中にも、約七百年の歴史を感じ思いを馳せます。これまでにも多くの禅僧がこの地で「己事究明」の修行に挑んできたことと思いますが、法灯を守っていく事の困難さも垣間見ます。「法盛んなれば魔もまた盛んなり」、本当に仏法の継承ほど難しいものは有りません。その点、「傳燈寺弁財天」の御利益は現世利益の為にこれまでに多くの信者を集めて来たようです。傳燈寺の今後の復興は「弁財天」様の神通力に掛かっているように思いました。友峰和尚より

第1319話

2017-03-29

愈々花の季節到来を迎えました。「春は花 夏ホトトギス 秋はもみじ葉」とは良寛和尚の辞世の歌ですが、あるがままの自然の有り様に接する時、深い心のやすらぎを感じるものです。人間は日々心を迷わせながら生きて行くのですが、春の到来を待ちわびる気持ちを抱くのは和尚だけではないと思います。世界中には四季の変化を感じられない国も有ると思いますが、春夏秋冬の変化をはっきりと身体の感覚で捉えられる我が国に住める事を喜びに思うものです。寺町寳勝寺に隣接する神社ではすでに早咲きの桜が満開となっています。犀川沿いの桜並木が満開を迎えるのは4月3日頃だそうですので皆様も是非お花見に来て下さい。


午前中には野町少林寺のお檀家様のお家へ初めての月諷経に出掛けましたが、まだまだ金沢市郊外の地理が十分に把握できていないだけに車のナビゲーションが唯一の頼りとなっています。最近では一つの法務をこなすのが精いっぱいで、特に車での遠出は疲れます。午後からは久しぶりに松浦建設㈱の吉田専務様と建築士の東野氏が来られ、来年修復工事が予定されている本堂裏側と庫裡玄関の下見をしてもらいました。

庫裏玄関にて

霊苑側 外壁の確認

霊苑にて

寳勝寺境内一帯は今、建造物を含め創建当初の姿に戻りつつあります。つくづく歴史の持つ大切さを感じながらの普請事業となっていますが、「諸行無常」の世にあっては「一期一会」の言葉を胸に努力が続けられていきます。さて大安禅寺の皆さんお元気にお過ごしでしょうか? こぶしの開花情報が届けられましたが、お山の春は極楽浄土ですね。和尚の心は故郷の春を日々想像しています。お健やかにお過ごしください! 友峰和尚より

第1318話

2017-03-28

3月も残すところあと3日間となりました。春休みシーズン真っ只中で学生達の姿を多く見かけますが、なかでも新社会人を迎える方々のあまりにも新鮮な出で立ちには思わず微笑んでしまいます。和尚にもきっとそんな時があったのでしょうが、遠い遠い昔の話です。大学を卒業して間もなく西宮・海清寺専門道場の門を叩きましたが、4月、春を迎えたというのに小雪の舞い散る中での入門でした。「頼みましょう!」と庫裡玄関の上がり階段に身を伏せ、体を九の字に折り曲げての懇願の掛け声でした。「ど~れ~」と、長く低い声が奥の方から聞こえて来ました。新社会人を迎える会社とは対照的に、歓迎を拒む入門御断りの挨拶を受け、以後3日間は「庭詰め」といって入門を乞うため玄関の階段で只管ひれ伏しました。今となっては実に懐かしい思い出です。

佐藤義英氏 著 「雲水日記」より引用しました

3日間が過ぎてようやく玄関から上がって部屋に通されたものの、それ以後は5日間に渡って昼夜兼行、坐禅三昧の日々でした。中にはその途中でリタイヤしていく仲間もいました。あれから50年の歳月が流れましたが、決して忘れる事の出来ない僧堂入門時の記憶です。

最近は「記憶がない!記憶がない!」の言葉が飛び交う社会。和尚のこの記憶は、生涯忘れる事の出来ない大切な記憶です。新社会人となる皆様方の今後の健闘を祈念したいと思います。友峰和尚より

第1317話

2017-03-27

新横綱・稀勢の里、大阪場所優勝のニュースでもちきりの一日でしたが、勝負の世界の厳しさを垣間見た千秋楽での決戦でした。優勝インタビューで稀勢の里が「何か別の力が働いた!」とのコメントでしたが、それこそ「無我無心の働き」だったと思います。それは奇跡ではなく、稀勢の里の気迫でありまた実力でも有ったと思います。「真理を行ずる者には必ず仏天の加護が有る」とは法沖禅師の言葉です。ある意味において無我無心の闘いであった結果だろうと思いました。兎に角素晴らしい闘いを見て感動したものでした。

さて本日は東京からお檀家、津田様の御来寺でした。ふれあいパーク霊苑「奥の院」に御先祖のお墓が改葬されましたが、この度の工事で、清々しい聖地と成りました。津田様はこれまでも「盂蘭盆会」や「春季彼岸会」など卑山行事に必ず御参詣下さっており、一層お寺とのご法縁が深まっています。人生には色々な人との出会いが有りますが、どの出会いも不可思議な縁で結ばれているようです。

午前中には本多町の兼務寺院、瑞光寺にも法務で出掛けましたが、それとても仏縁あっての事と思います。和尚のこれまでの人生を振り返ってみると、なにもかもが「あるがまま」に肯って来たように思います。与えられた仕事を一所懸命に遂行していくのも、また風流なのかも知れませんね。大安禅寺の桜の開花が待ち遠しい昨今です。友峰和尚より

第1316話

2017-03-26

御近所で生花店を営む 檀信徒御親戚の方から 春のお花を頂きました

「皆さんお元気にお過ごしでしょうか? 大安和尚です!」 懐かしい和尚のキャッチフレーズですが、臨済宗妙心寺派金沢寺院に兼務住職の任命を受けて早7年目に入っています。現在では寳勝寺を中心に、瑞光寺・少林寺・傳燈寺の4ヶ寺の法務に携わっています。最近は頭の中がこんがらがって、法務地の寺院名を間違えることが多々あります。どの寺院も檀家数が少なく寺院運営が極めて厳しい状況で、先ずは寳勝寺から再建に当たっているわけですが、同時に後継者の育成という難題を抱えています。一カ寺の寺院運営に必要な檀家数は大体300戸と言いますから、金沢寺院4ヶ寺すべてを合わせても約60戸ということは今日まで維持運営して来られた先住職の並々ならぬ御苦労が伺えます。

寳勝寺のおだまき 鉢植えにて

果たして維持運営が先かそれとも布教活動が先かと問われれば実に悩ましいわけで、しかし活動の拠点をなんとかしなければ布教活動もままならないのが現実です。いま和尚が取り組んでいるのは先ずは寺院の復興ですが、人の集まる拠点づくりに重きを置いてのアクションとなっています。「寺離れ」の原因は「テレビ離れ」の今日の社会状況にも通じるように思います。近年では「見る」社会から「実地体験型」社会に大きく変化していくようです。娯楽施設に於いてもそのような傾向が有るように、もはやバーチャルリアリティなるアクション体験型施設に人気が集中する時代、寺院も布教活動の思い切った工夫が求められています。伝統を守りつつ新しい時代への創意工夫に活路を見出したいと思うものです。さて日曜日の寳勝寺カフェ、そのような和尚の切なる思いを知ってか知らいでかは余所に、お客様の寛ぐ姿が何処と無く仏様の姿に感じたのは真に摩訶不思議な体験でした。「南無観世音菩薩」 友峰和尚より

春の光さす 応接室にて

第1315話

2017-03-25

和尚の甥っ子 克則さんとともに

今日は久しぶりに「土曜寺カフェ」のお手伝いでしたが、午前中には宝塚市在住の甥っ子・克則さんが訪ねてくれました。仕事の関係で金沢に来られ、時間の合間を縫っての訪問でした。二年ぶりの御対面!で、積もる話もあって実に楽しい時間を過ごすことが出来ました。一緒に昼食を共にしましたが、ぽかぽか陽気の中、お店に行く途中の神社境内の桜がもう咲き始めていました。最近は法務が忙しく親戚の方とも疎遠になりがちだった為、懐かしさも相まってついついおしゃべりが長くなってしまいました。

午後からはカフェの手伝いに入りましたが、こちらも久しぶりで仕事のリズムも忘れており、スタッフの足手まといとならないよう敢え無くリタイアする羽目となりました。所謂「お邪魔虫」といった処でしょうか。良いお天気だったので霊苑工事の進み具合を見に行きましたが、職人さんの見事な仕事ぶりには感心するばかりでした。

克則さんも現場を視察してくれました

現在は歩道のラン張り工事をしていますが、一枚一枚丁寧にお洒落な模様を作りながらの細かい作業となっています。今年は例年になく雪も無くまた良い天気が続いている為、工事は順調に進んでいるようです。本当に神仏の御加護と有り難く感謝するばかりです。「人生はリズムである!」和尚もそのように思います。自分のリズム、周りのリズム、天地のリズム、それぞれのリズムが良きハーモニーとなってかみ合っていくところに人生の醍醐味が有ろうかと思います。職人さんの技もリズムであろうと思った土曜の午後のひとときでした。友峰和尚より

あずきと白玉と蕨餅の抹茶パフェ 金粉入り

春季彼岸会 住職法話

2017-03-25

平成29年3月12日 寳勝寺春季彼岸会 住職法話より

 

 「病みてこそ道心(どうしん)の起こる候 不幸はこれ道(どう)の幸いなり」

この言葉は今から約六百年ほど前に、花園法皇が妙心寺開山・無相大師(関山慧玄)と出会った折に言われた言葉であります。花園法皇は子供の頃から体が弱く、若くして譲位されました。国の頂点に立つ運命にあって色々な悩みを持ち、体も病んでいた、そんな中で、「この運命であったからこそ、やがて生涯の師となる無相大師とめぐり合うことが出来た。心とはなんぞや、幸せとはなんぞや、あの世とはなんぞやと、自分の心に向かって問いかけることが出来た。なんとありがたいご縁を頂いたことか」と感謝する言葉です。やがて花園法皇は花園御所(離宮)を寄進され、無相大師を招いて妙心寺を開き、祖霊の供養とともに万民の平和を願ったということであります。 ・・・今日は、檀信徒皆様はじめ㈱ココ・プランニング様、関係皆様が集って無事、春季彼岸会法要を厳修することが出来ました。おそらく寳勝寺では、創建当初からこうして人々が集まって綿々と法要が行われてきたのでしょう。でも一度途切れかかった、そのぎりぎりのところで再びこの御縁を得ることが出来たことこそ、「病みてこそ道心の起こる候 不幸はこれ道の幸いなり」であろうと思います。私がここへ来たのも仏法の縁です。荒れ果てた寺だったからこそなんとかしなければと思い立ったわけです。そして今日のような彼岸晴れの佳き日に御先祖供養が出来たこと、これはすべて御先祖様との御法縁の現れであり、ここに集まっているお一人お一人の心がそうさせているということです。

・・・普段の忙しい生活の中では「仏法」に出会う機会も少ないことと思います。お寺というのは年に何度か訪ねて、御先祖供養とともに自分の心と出会う場所でもあります。人間は生まれて以降、ずっと外の世界ばかり見ています。「あの人は幸せ、自分は不幸」などと比較して、周囲の出来事に囚(とら)われてなかなか自分の心を見つめる時間が無い。我々は臨済義玄禅師を祖とする臨済宗ですが、その臨済義玄禅師が説いたのは“今ここに居る肉体の中に本物の自分が潜んでいる、自分の中にある真(まこと)を見よ”ということです。

「赤肉団上に一無位の真人あり 未だ証拠せざる者は、看よ、看よ。」

焼けば灰、埋(うず)めば土となっていくこの自分は一体なんなのか、自分に問いかけよ。と、臨済義玄禅師は叱咤激励しているわけです。われわれの肉体はずっと自分の物ではありません。いずれ返さねばならない、そうであるのに、「あれもほしい、これもほしい。」と体いっぱいに引っ付けようする。なにも欲しいものは無い、今、ここに居れば充分だという心。「本来無一物」「無心」だと悟ること。「無一物中無尽蔵 花有り月有り楼台有り」 そういう安心(あんじん)の心を忘れずにお過ごし頂きたいと思います。 (事務局編集)

第1314話

2017-03-24

穏やかなお天気の一日となりました。午前中は霊苑工事現場を視察しましたが、整備が進むにつれ今度は寳勝寺本堂裏手の壁面が丸見えとなり、新たな修復工事が必要となってきました。当然予想された事ですが、先般、金沢市歴史建造物整備課職員の指導を受けて「寳勝寺建造物保存」の目的から修復する事にしました。次々に修復箇所が発生していきますが、寳勝寺は寺町寺院群の中でも極めて創建当初の遺構を今に伝える貴重な建物だと和尚は考えています。それ故に建物の方も修復を望んでいるのだと思うのです。自坊の大安禅寺もしかりですが社会情勢が急変すれば修復の機を失いかねない為、今やらねばと考えています。それにしても今後の修復工事には多額の浄財を必要としています。為せば成る!とはいうもののそう簡単な事では有りません。「文化財保護伝承」の精神だけを根底に努力あるのみです。

昨晩の木曜坐禅会より

坐禅後の茶礼にて 臨済録の問答が話題となりました

さて昨日、金沢市観光協会主催の「金沢美味」クーポン券ですが、写真の如く「宝勝寺カフェ」が掲載されています。メニューは「金沢銘菓の三種盛り合わせと抹茶・加賀棒茶のセット」1000円クーポン券です。「君子財を愛すこれを得るに道あり」という言葉が有るようですが、心の癒しと共に諸堂修復の浄財に少しでも貢献できればと願っています。皆様の御来寺を心よりお待ち申し上げております。「南無観世音菩薩」 友峰和尚より

 

第1313話

2017-03-23

金沢市観光協会の米田様が朝一番に来られ、「金沢美味」の広報パンフレットを持参されました。金沢では観光客誘致に関しての様々なプランを打ち出しています。その中のひとつとして、御食事や甘味のクーポン券を作成し”金沢で愛される地元グルメや甘味をちょっとオトクに選べる嬉しさ”をキャッチフレーズに「金沢美味」が新企画として動き出しています。今回、寳勝寺もその参画要請を受けて仲間入りしましたが、今後このクーポン券を利用される方には寺カフェ特別メニューが提供されることになっています。このほかにも、県内外各種団体の会議場としての寺院利用など、本当に北陸新幹線開業後の集客に全力を挙げているようです。皆様も是非ご利用ください。午前中には小松市在住の檀家様の月諷経に出掛けましたが、次第に法務の方も多忙になってきました。午後には㈱ココ・プランニング霊苑デザイナーの宮崎氏はじめ㈱河原市石材社長、㈱豊蔵組現場監督・高島氏との打ち合わせが有りましたが、霊苑の植栽も本格的に始まり、細部に渡る工事進行の打ち合わせとなっています。毎日の改葬工事の進捗状況についてはホームページでお知らせしていますが、現場では施工業者の方々とのかなりデリケートな打ち合わせが続いているようです。

また、宮崎デザイナーからの依頼で、霊苑永代墓の擁壁部分に和尚直筆の「舎利礼文(お経文)」のレリーフを設置し、その頭上入り口の円形ガラスの蓋には「想」という字を刻むこととなりました。霊苑各所には、金沢の伝統工芸である加賀友禅、九谷焼、金箔、象嵌等をモチーフにした作品が組み込まれることも予定されています。悠久の歴史ある金沢市の中央に位置する伝統的建造物群「寺町寺院群」にいま、色々な想いを込めて「寳勝寺ふれあいパーク霊苑」の工事が進められていきます。友峰和尚より

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