9月, 2016年

第1121話

2016-09-12

朝などは布団無しでは寝ていれないほど随分と涼しくなりました。そこで思い出すのが「秋きぬと 目にはさやかに見えねども 風の音にぞ驚かれぬる」古今和歌集の中の一句。なんともデリケートな歌です。確かにこの時期の風は、何処からともなく強く吹きつけてきます。時にはひゅるひゅると唸りを上げながら障子の隙間から堂内に吹き込んで来ます。季節の移り変わりでも有りますが、そのような音を聞いているうちに秋の到来を感じ始めていくものです。

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金沢・寺町の月曜日の朝は実に穏やかそのもので、道行く人の姿もまたのんびりとした感が有ります。昨日とは打って変わって静かな佇まいの寳勝寺の一日となりました。時折、卑山霊苑改葬工事関係者の方が来られるくらいでしたが、午後からは片町・柿木畠にあるフレンチレストラン「アンサンブル」のマスターがお友達と来られました。

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福井では「モンシェルトントン・カトー」の加藤シェフ、フレンチレストラン「ジャルダン」の黒味シェフそしてシェ・サカイの阪井シェフと、どういうものかフランス料理の方々との御付き合いが有ります。金沢でもまたフレンチレストラン「ル・マルス」の野口シェフ、「アンサンブル」の中川シェフとお友達になりました。仏の料理は仏(フランス)料理!!でしょうか? 皆さんの一番の共通点は、実に料理が素晴らしいの一言に尽きます。「アンサンブル」の中川シェフの料理も見事なものです! 是非皆様もお店を訪ねて頂きたいと思います。盛り付けよし!味付けよし!マスターよし! 三拍子の揃ったお店です。

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本当に人とのご縁ほど有り難く不思議なものは有りません。色々な方々との出会いが自分の人生にも大きな刺激を与えてくれます。 ゆっくりとした月曜日、お友達との時間がもっと欲しいと思った一日となりました。友峰和尚より

第1120話

2016-09-11

道行く観光客の姿には此れまでの猛暑から解放された伸び伸び感が漂っていました。思わずステップを踏みたくなるような爽やかな初秋の一日でした。当然の事乍ら和尚は昨日に引き続きカフェの新しいメニュー作りに専念したわけですが、今日は「焼きおにぎり茶漬け」をセットしました。写真の如しです。

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数量限定 焼きおにぎり茶漬け

おしゃれな器を使っての、少し上品さの漂う雰囲気の「茶漬け」。勿論!焼きおにぎりも加賀地産コシヒカリの新米を使って焼いたもの。食材は、三つ葉、白ごま、花かつお、焼き海苔、ワサビ、加賀棒茶に胡瓜の浅漬けです。最後に焼きおにぎりの上に金粉をまぶして完成!さあ皆様、和尚手作りの「焼きおにぎり茶漬け」は如何でしょうか? お客様には中々好評だったとか。めでたしめでたし!でした。

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不思議なもので僧堂時代に培った「典座 (てんぞ・食事係)」での感覚が再び蘇えって来たようです。修行時代の雲水の仕事は職人に近いほど徹底したものでした。総じて「作務(さむ)」と言いますが、畑仕事に始まって、大工・造園・剪定そして料理・掃除などプロ顔負けの作業でした。本当に有り難い経験でした。この歳になっても尚、自分が活かされていく事を嬉しく思うものです。

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チョコレートソースのパフェ

さて、次はどのようなメニューに挑戦しましょうか? 今度は卵と野菜のサンドイッチを作ってみたいと思っています。名付けて「ボンサンド」ってどうでしょうか? 近日発表したいと思います。お楽しみに! 友峰和尚より

第1119話

2016-09-10

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皆様とくとご覧あれ!黄金の輝きとはこういうことを言うのでしょうか! 本日、㈱ココ・プランニング会長の中本様より北海道産地直送の「とうきび」が届きました。今が旬の「とうきび」ですが、初秋の北海道の匂いと共にやってきました。早速に湯がいて寳勝寺本尊佛真前にお供え申し上げた次第です。

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子供の頃より和尚が大好物として食して来たとうきび、父親が寺の畑でよく作ってくれた時の事を思い出していました。和尚が幼少期には「とうもろこし」と上手く言えず「とうもころし」と言っていたそうで、何とも物騒な食べ物だったのですね。中本会長様、御心遣い本当に有り難うございました。お供えした後は皆で美味しく頂きたく思います。

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今日は本当に穏やかな気候の一日となりました。お寺の中で仕事をしているのがもったいないくらい爽やかなお天気でした。でも寺カフェ利用の方々がお寺でゆっくりされている姿を見ていますと、ついつい頑張ってしまいました。今までは裏方に徹していましたが、そろそろ和尚の出番がやって来たようです。今日は初めて和尚手作りの「バナナジュース」と「チョコレートパフェ」をメニューとして出しました。こちらも和尚の大好物ですから美味しく作れました。お客様も大変喜んでくださったとか。やはり住職は「マスター」ですから何か貢献しないといけません。明日は「焼きおにぎり茶漬け」に挑戦してみます。禅寺に持って来いのメニューです。いつの日か皆様にも喜んで頂ける「食」を考えて見たいと願っています。友峰和尚より

第1118話

2016-09-09

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秋明菊 / 寳勝寺にて

寳勝寺寺カフェも最近では地元の方々が利用してくださるようになってきました。和尚の願っていた事でも有るので本当に嬉しく思います。お寺の存在が薄れていく今日に於いて何が原因なのか?と問われれば、その答えの一因は「仏教を難しく説きすぎるところ」に有ると思います。今やスマホやアイフォンの時代、僧侶とて片手にはタブレットが必需品となっています。特に我が禅宗に於いては、今もなおここ一番の行事には漢詩の偈や漢文が用いられています。そもそも仏教はインドが発祥の地ですから、本来ならば梵語(サンスクリット語)が使われなければなりません。勿論、お経の中には今でもサンスクリット語を用いているものもあります。しかしながら仏教の根本真理は「無心」に有り、言い換えれば「自分も世界も一つです」という事ですから、もっともっと平易に真理を語るべき時が来ていると感じています。

dsc09827-800x529ヨシダ宣伝㈱の須貝様とともに

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霊苑工事 打ち合わせ中

和尚自身も今日まで随分と色々な工夫を重ねて仏教の教えを平易に説いてきたつもりですが、その究極の実践法が現在の「寺カフェ」となっています。その理由は、「ただあるがままの休息」に尽きるからです。人間の脳は「考える」事に有りますが、考えれば考えるほど真理から遠ざかるのもまた事実です。インドにおける寺院を「ビハーラ」と言うように、心の一番の休息場所がいつの時代に有っても「寺院」であってほしいと念じて止みません。「なんにも思わぬが仏の稽古なり」です。言い換えれば「おのれ無きものに安らぎ有り」、そのような場所が「寳勝寺寺カフェ」でありたいと思っています。友峰和尚より

第1117話

2016-09-08

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柑橘の木 / 寳勝寺にて

昔から「申年は荒れる」との言い伝えの如く、今年は新年を迎えて以来今日まで、色々な出来事が人々の心と共に世の中を翻弄しています。良き事も悪しき事も含めて数えきれないほどで、いっこうに留まる気配を見せていません。その中でも、地震・台風の災害が多発していますし、政治・芸能界においても人事、事件、事故に関する思いも掛けない出来事が起きているようです。悪い事ばかりでは有りません、スポーツ界においてはイチロー選手やオリンピックでのアスリートたちの大活躍そして今日は錦織圭選手の強豪マレー選手を撃破してのベスト4進出など有ります。身近なところでは北陸新幹線が開業以来1,000万人を突破した事、寳勝寺としては「ふれあいパーク霊苑工事」が着工された事など有ります。

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霊苑御骨上げの打ち合わせ ㈱河原市石材様と

昔から「良きことの裏には魔が潜む!」とも言われていますから油断は禁物です。「好事も無きに如かず」と言う格言がありますが、「申年は荒れる」と言うならば、良き事にも悪しき事にも捉われないように「平常心」を基本に今年の後半を歩んで行きたいものです。さて金沢地方は台風12号の影響からか強風が吹き荒れたり突然大雨となったりの一日でした。和尚は終日色紙書きに専念いたしました。友峰和尚より

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第1116話

2016-09-07

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台風が次々と日本列島を通過して行きますが、毎日のように全国からの被害状況が報道されています。東北地方に有っては東日本大震災で甚大なる被害を受けた地域にも再び台風による災害が発生しているそうで、本当に心が痛みます。地球の何処に住んでも安全という保障はありませんが、近年これだけ災害が頻発する事を鑑みると、自分の居住空間の安全には十分に配慮することが必要になって来ています。

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寳勝寺霊苑  車両通行道路整備のための工事が進んでいます

日本の歴史を振り返ってみても、豊かで肥沃な土地は穀物を生産することに優先されるため、住居は山沿いの極めて危険な場所に建てられている事も多く、異常気象による気候や降雨量の変動は生活に大きな負担を与えています。都会に於いても、スコールのような猛烈な豪雨の前には為すすべもなく、住宅の浸水被害が多発しているようです。

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人々の生活の安全安心を考える時、やはり昔ながらの村々の寄り合い制度が困難から身を守る大切なこととなっています。災害時における唯一の復旧策は、昔も今も「人海戦術」が主力である事を強く感じ取るものです。さて、北陸地方に大雨注意報が出されていましたが、今日のところは解除されました。まだまだ油断はできませんが、無事である事を念じて止まない今日この頃です。ボランティア活動に参加される多くの方々に深い敬意を表したいと思います。友峰和尚より

第1115話

2016-09-06

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残暑厳しい毎日となっていますが、皆様にはお変わりなくお元気にお過ごしでしょうか?「暑さ寒さも彼岸まで」と言いますから、今暫らくの辛抱ですね。午前中には、昨日滋賀県で開催された御詠歌講習会に参加された講員を交えて慰労の茶礼をしました。習い事の主眼は「安心(あんじん)」に有りますが、御利益は多方面にわたって現れます。礼儀作法に始まり、健康、交友関係、美貌に至るまで、何もかもが進化して行きます。人生に於いて「これで良し」という事は無いので、常に緊張感をもって自己と対面していく事が大切かと思います。禅語では「己事究明(こじきゅうめい)」と言いますが、一番身近な存在でも有る自分の心との対話が習い事の究極の目的となっていきます。

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今回の御詠歌講習会での卑山講員方々の奉詠は見事なものでした。練習量もさることながら、堂内全体に響き渡った美声には感心いたしました。今後も大いに精進して更なるステージアップを目指して頂きたいと念じています。

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寳勝寺では明後日より改葬工事に伴う墳墓お骨上げが始まる為、和尚はその準備に入りました。暫らくは祖先の霊との対話が続きます。寳勝寺をこれまで四百年間に渡って支えて来られた檀信徒祖霊に対して御無礼の無いように法務に邁進して行きたいと思っています。友峰和尚より

第1114話

2016-09-05

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「滋賀北陸教区御詠歌発展拡充講習会」 / 滋賀県長浜市・良疇寺にて

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午前10時半より、滋賀県長浜市・良疇寺を会場に「滋賀北陸教区御詠歌発展拡充講習会」が開催されました。和尚の友人が、福井市内で高齢者対象に「カエルの学校」を開校して好評を得ているそうですが、この「カエルの学校」とは「振り返る、甦える、若返る、見違える」を基本としているそうです。

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この度のご詠歌講習会も高齢者の方が多く見受けられ、長年に渡ってご詠歌を練習されている方々です。ご詠歌の練習で声を出すことの意味にはおそらく、カエルの学校のような要素が含まれている事と思います。

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未曾有の高齢者社会を迎えている今日に於いて、ご詠歌のように日頃から声を出すことは心身の老化防止にも大いに貢献しているのではないかと、会員皆様の行動を拝見していて思います。また、ご詠歌を通して自然な形で日常の礼儀作法が身についていくようです。「おかげさまのひと言で自分が変わり、ありがとうのひと言で世界が変わる」という言葉が有りましたが、習い事は人としての色々な心の道筋を教えてくれているようです。本日は、会員皆様には本当に長時間御苦労様でした。友峰和尚より

第1113話

2016-09-04

明日、滋賀県長浜市・良疇寺(りょうちゅうじ)様を会場に「滋賀北陸教区御詠歌講習会」が開催されるため、一足早く今日、長浜に向かいました。娘夫婦がこの度嫁ぎ先の草津に引っ越しした為、久しぶりに孫達に会うと同時に嫁ぎ先の御両親並びに御親戚の方にお会いしてご挨拶をさせて頂きました。

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御両親の御親戚のご縁で閑静な佇まいの御家に住むこととなり、本当に嬉しく思いました。孫達にとっても素晴らしい環境で、近くには琵琶湖が有りまた草津市街地にも隣接しているため、生活するにも大変便利な場所です。

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人生の中で何度か住居を替えることが有りますが、やはり子供達のことを一番心配するものです。最近では、都会からわざわざ奥深い田舎を選んで移住する家族が急増しています。人々にとって自然豊かな田舎暮らしは、心を解放してくれる唯一の場所なのかも知れません。

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さて明日は御詠歌講習会開催日、大安禅寺からも9名の会員が参加する予定になっています。どのような習い事も年数を経れば経るほど奥が深くなっていくものです。大安禅寺の御詠歌若女性団は、年中行事に欠かせない大きな存在になって来ている事は確かなようです。友峰和尚より

第1112話

2016-09-03

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今朝方の福井新聞に「お寺の数 本県日本一」という見出しの記事を見つけた。御承知の如く、少子高齢化社会の進む我が日本国に於いての社会現象の一つに「寺院の減少」が有ります。2007年の調査では6万3596ヶ寺あった寺院が2016年では5万6741ヶ寺にまで減ったそうで、和尚も現在、金沢寺院3ヶ寺を兼務している現実が有ります。そんな中で福井県の寺院数は1286ヶ寺あり、人口10万人当たり162ヶ寺を有する福井県は昔から仏教国としても知られています。また2位は島根県、3位は富山県、5位が石川県だそうです。最も住みやすい県としても福井県は全国第1位ですから、敬虔な信仰とも深い関係が有るのかも知れませんね。

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直井様とともに / 大安禅寺にて

全体的に、北陸地方は海山の食材を含め健康・教育・生活環境などトップクラスに有ります。人々の心の幸せ度を計る場合、やはり「心の安心」がその根底をなす為、地域寺院数が大きく影響しているのかも知れません。長寿において北陸三県が群を抜いているのも、「衣食住」の生活環境が優れている事を思います。そんな素晴らしい郷土に住んでいる事を改めて幸せに感じた朝刊の記事でした。全国の寺院が後継者不足から減少傾向にある中、やはり地域に寺院が多く有る事が少なからず心のやすらぎになっているように思ったものでした。友峰和尚より

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