12月, 2014年

第494話

2014-12-25

悲しい事件の報道がなされました。年の瀬の地元で発生した老老介護の末の悲劇事件となったようです。日本社会では現在65歳以上の高齢者が約3000万人を‏越えるそうで、4人の働き手が1人の老人を見ている時代だそうですから、もはや老老介護の問題は他人事では済まされない、身につまされる報道でした。‏これまでにも幾たびか老老介護の疲れに因る夫婦間の事件が報道されてきました。‏独居老人宅に於ける孤独死の問題や認知症問題等、超高齢化社会を迎えようとしている今、大切なことは近所間での日頃の交流と対策だと思います。和尚が申すまでもなく、既に各町内では老人宅対策が始まっているとの事ですが、‏ならば先ずは家族内の絆が重要で、近年言われ続けている核家族化にも問題がありそうです。‏和尚は父を80歳で、一昨年は母を92歳で無事に黄泉の国へ旅立たせる事が出来ました。此れも偏に妻の献身的な介護、そして病院のディサービスはたまた先生の懇切丁寧なアドバイスがあればこそ、療養介護期間を全う出来たと感謝しています。特に妻の存在感は絶大でした。毎日の病院通いの中で、母との会話が母にとって一番幸せを感じ取った時間であったようでした。父も母も、亡くなる前には合掌しながら「ありがとう、ありがとう。」と何度も何度もお辞儀をされました。今後どのご家庭でも起こりうる老人介護の問題には、やはり家族夫婦間や子供達の協力が大切であると体験から感じ取る次第です。

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‏大変だった療養介護期間も今では遠い過去の話となっていきます。‏母がお世話になっていたリハビリ病院を車で通り過ぎるたびに、今もなお多くの方々が療養介護を受けられている事実に対して、介護されておられる方また介護を受けられている方々の気持ちを重く受け止めて‏います。世界一の長寿国日本。老老介護の問題解決対策は、もはや後回しには出来ない早急な取り組みが求められているようです。友峰和尚より‏

宝勝寺 本堂屋根修復 12/24

2014-12-24

 1宝勝寺本堂正面玄関側屋根 現在の様子です

年の瀬が迫ってまいりましたが、宝勝寺では本日も小雨降りしきるなか修復工事が進んでいます。

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天井部分の至るところに、穴があいています

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そこから大工さんと交信できるほど、大きな穴も有ります・・。

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傷みの激しいところばかり注目してしまいしますが、建物の骨組みが400年の風雪に耐えてきたことを思いますと本当に丈夫な構造になっていると感じ、機械の無い時代に苦労して加工された材木からは、当時の大工さんや寺で生活されていた方々の温かみが伝わってくるようです。

第493話

2014-12-24

今日はクリスマスイブですが、何故か禅寺で有りながら寺の家族また職員も含めてクリスマス茶礼をこれまで欠かすことなく続けて来ました。もちろん主役はクリスマスケーキで、茶礼の前には全員で「きよしこの夜」を歌ってからケーキとコーヒーで楽しい時間を過ごして来ました。

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実は和尚の父親の代からの伝統的なお寺のイベントになっているわけですが、思い起こしますに子供の頃の一番うれしい日でもあった事を忘れることが出来ません。と言いますのも、この日かぎりは父親の大サービスの日であり、子供たち4人の兄弟に沢山のおもちゃを配ってくれた日でもあるからです。誰もがそうであったと思いますが、終戦後の物の無い時代、ましておもちゃなどは自分で作るしか手にする事が出来なかった環境でしたから、父親から配られるおもちゃには流石に子供ながらに興奮したものでした。勿論当時はクリスマスケーキなど有りませんでしたが、母親の作ってくれたおかきや甘酒などを思い出します。今日、子供たちへのクリスマスプレゼントにはゲーム機など高価なものが目立ちますが、子供たちが喜ぶ姿と家族団欒のひとときは今も昔も変わらぬ光景ですね。お正月は親戚との交流、クリスマスは家族との団欒、お盆は御先祖との交信と考えますと実に一年が楽しく過ごせる感が有ります。

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今年は仕事の関係で少し早めのクリスマス茶礼でしたが、なんとも心和む一時でした。父や母が子供達にしてくれたこと一つ一つが、懐かしくまた有りがたく思う今日この頃です。‏子供達の喜ぶ姿を父母ともにどんなに喜んでいたかを、孫達の満面の笑顔を見つつ思い起こしています。友峰和尚より

第492話

2014-12-23

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大安禅寺 正面玄関にて

竹内真之栄‏氏、御歳94歳にしての門松作品です。今朝一番に小森庭園主・末政氏と共に来山され庫裡玄関に据えられました。この十数年間欠かさずお寺に寄贈されてきましたが、今年もまた元気な御姿で門松を立てられました。竹内氏とも約20年以上の御厚誼を頂いていますが、末政氏と共に大安禅寺の庭師として活躍されてきた方です。

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大安禅寺御用達の庭師 末政氏 (写真右) と 竹内氏

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94歳の方が御作りになった門松!これはもう無条件に目出度い門松ですからお正月のお参りの際はぜひ拝んで頂きたいものですね。‏午後からは、お天気の晴れ間を見計らって大晦日の除夜の鐘の準備作業に入りました。

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境内の掃き掃除や砂ならしなど仕事は盛りだくさんに有りますが、爆弾低気圧がいつ襲って来るか分かりませんから、黙々とやるのみですね。「陰徳」という言葉が有りますが、さすがに66歳にもなりますと陰徳を積む行いでもなく、また「徳」を期待する術も無く、「老骨」に鞭打っての必然的作業となって行きます。‏そんな折、妻よりの優しい声が掛かり職員との茶礼のひととき。話題はやはり「高齢化の問題!」「‏急激に襲って来る体の不調!」等々・・。それを、むなしいと感じ取るのか、ありのままを受け入れて歳をとることを楽しんで生きて行くのか、話は盛り上がる一方でした。‏そんな僅かの休憩時間も師走を感じさせてくれるに十分な和やかな一時でした。‏待ったなしの日々が過ぎて行きます。泣いても笑っても今年もあと8日を残すのみとなりました。友峰和尚より

第491話

2014-12-23

「冠婚葬祭」とは、冠は成人式、婚は結婚式、葬は葬式、祭は法事、ということは皆様が周知の如くですが、近年、このどれもが簡略化されていきます。時代の変遷とともに慣習や祭事の形も変化していくのは当然のことながら、長い人生の中でこの4つの節目がいかに重要なものであるか今一度見直してほしいと和尚は思います。‏小さな島国である日本が今日の繁栄を築き上げたのは他ならぬ、先人達の並々ならぬ深い知恵によって支えられて来たからに違いありません。その中にあって特に、生まれて来る子供たちを国の宝物として、極めて丁寧にしかも大切に育てて来た経緯が感じ取られます。「子は国家の宝なり」の日本の伝統的精神の立場から、「冠婚葬祭」はその折々に儀式を通して今日まで受け継がれてきた大切な祭事であると思うのです。

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今日は檀家様の御葬儀が厳粛に執り行われました。故宮田愛子さまの74年の生涯でした。御主人はじめご家族御親戚の皆様、そして地元町内の皆様、関係者の皆様が参列されての慈愛に満ち温かい雰囲気に包まれた葬送の儀となりました。和尚も導師として、故人に感謝の心を込めてお別れの一偈を奏しました。多くの方々に見守られてのお葬儀の中に故人の御霊を感じ取ったものでした。お別れと同時にご家族親戚一同が改めて自分の命の尊さと両親との深い絆を確認する瞬間でもあったように感じ取りました。‏我々の心は形に寄り添いつつ安心を得ることが出来ることを、厳粛な御葬儀の儀式を通して和尚自身が自覚したものとなりました。故人の御冥福を心よりお祈り申し上げます。友峰和尚より‏

第490話

2014-12-21

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雪中の大安禅寺

寸暇を惜しんでの融雪装置拡大の外仕事に追われました。先日のゲリラ豪雪で境内は雪の山となっている為、次の降雪の前に融雪しなければ大変なこととなってしまいます。何事もそうですが、段取り八分で「無事」を確保できます。油断しないように日々努めていかなければ、とてもとても雪国の大寺を守っていく事は出来ませんね。幸いに今年は谷水が豊富なため、幾ケ所にも枝分かれした融雪装置もその役目をいかんなく発揮しています。

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話は変わりますが、最近、夜に街なかを車で走りますと、イルミネーションで目いっぱい飾り付けた家を見かけます。時折ニュースでも取り上げられていますが、今年は青色LEDが大活躍している様子で、一段と輝きを増して大変美しく感じられ、何とも幻想的で大人も子供もご近所の皆さんもが楽しめるパラダイスゾーンとなっているようです。

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その青色LEDを3名の日本の物理学者が発明したという事、またそれがノーベル賞を受賞されたという事でより一層輝いて見えますね。本当に嬉しい事です。今年の最後を締めくくるにふさわしい日本人物理学者の快挙に和尚も心から拍手を送ったものでした。「俺がやらねば誰がやる 今やらねばいつ出来る」の大和魂が炸裂した日本国民すべての方が誇りを持てた素晴らしいニュースであったと、青色LEDの電飾をみて思ったものでした。「暗いくらいと不平を言わずに進んで灯りをつけましょう!」と昔々のコマーシャルを思い出しながら、納得の一日となりました。友峰和尚より

第489話

2014-12-20

爆弾低気圧が去ってほっとしたのも束の間、また冬型の気圧配置になるとの天気予報ですが、それに呼応するかのように株高も激しく乱高下しています。なにやら気象状況と人間の心は連動しているかのような趣を感じますが、お正月までにはなんとかどちらも安定してほしいと願っています。寳勝寺は急ピッチで屋根修復工事が進められていますが、事務所内は屋根から落ちてくる埃と大工さんの打ち付ける金槌の音で大変なことになっています。埃も300年前からの「ほこり」と考えますと「ほこり高き」ものと捉えてガマン、ガマンの毎日ですし、また工事からも、じりじりと大晦日が迫ってくる感が伝わって来ます。

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本堂正面玄関の屋根部分

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 屋根を支える梁

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 あちこちに虫食いの穴があり、傷みが激しくなっています。

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そんなわけで、寳勝寺の年越しはすっぽりと素屋根に覆われ、寺内は防塵シートだらけの状態でのお正月を迎える事となりました。檀信徒皆様方には大変申し訳ありませんが、年賀のご参拝はお外からとなりますので宜しくお願いします。「門松や 冥途の旅の 一里塚 めでたくもあり めでたくも無し」。さてさて、お正月も加齢とともに次第に黄泉の国に近づいていくようです。何々!そんな弱気ではいけませんって!? ならばお正月は「和尚ガッツ!!」で迎えたいものですね。南無さん!! 友峰和尚より

第488話

2014-12-19

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年末ジャンボ宝くじも今日が締切日だとか。皆様の中にもきっと買われた方が多くおられるかと思いますが、なかなか当たらないと言われる方のために一言申し上げますと、「一億円が当たらないかな?」と思って買われる方には福の神さまは顔をしかめられると思います。そこでぐっと「当たり」のステージを下げて、「30万円ぐらいで十分ですからどうか当たりますように」とお祈りしますと、きっと福の神さまもチャンスを与えて下さることと和尚は考えます。これはあくまで推定ですぞ。和尚などには神様は罰を与えてもお金は与えてくれないと思っていますよ。皆様どう思われましたか?「和尚、納得!!」と思われた方は早速に謙虚な気持ちで以て宝くじを買ってみてください。幸運をつかまれることを願っています。そうなんですね。「ほどほど」が大切な心の持ち方だと思います。そんなわけで今日が締切日、とにかく宝くじを買わない事には埒があきませんからね。さて、昨日今日と東京からの大切なお客様をお迎えしていました。年末のあいさつに来られたわけですが、本当に感謝申し上げました。この時期、多くの方々との一年のご厚誼に感謝しての交流が続いていきます。DSC01463 (500x281)

㈱いせや様がご来山下さいました。墓地改葬工事計画の打ち合わせをしています。

 

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中本社長様と、御奥様とともに

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北條総代様と、西野様とともに

 

なんだかんだと申しましても人間社会はやはり人間同士の心の交流あっての人生ですから、そこん所が一番大切であるとの和尚自身の反省も含めて、今年一年間、多くの方々からご厚誼・ご法愛頂きましたことに残りの日々を通して御礼の意を申し上げていきたいと思っています。友峰和尚より

第487話

2014-12-18

寺町高台に位置する寳勝寺にも容赦なく強風とみぞれ混じりの雪が一晩中吹きつけた朝を迎える事となりましたが、大した被害も無くほっといたしました。と言いますのも寳勝寺は現在屋根の修復工事中で、素屋根が掛けられた状態のためにニュースで報道されているように仮設の屋根が吹き飛ばされないか心配したものでしたからやれやれです。「爆弾低気圧」などと誰が命名したかは知りませんが、本当に怖い名前ですね。青森や北海道地方では大きな被害が報告されていましたが、心からお見舞い申し上げたいと思います。今やすべてが電化社会の中ですから、ひとたび停電しますと本当に恐ろしい状態になると北海道でのニュースを見て思いました。ストーブも一つぐらいは電気を使わないシンプルなものが必要だと実感しました。まだまだこれからが本格的な厳冬を迎えようとしているだけに「備えあれば憂いなし」の格言の如く、早速に準備しなければと感じたものです。

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生活が豊かになればなるほど昔のレトロな生活がいかに日本の風土に合っていたか思い知らされる感がありますね。兎に角も無事に低気圧が通過したことを素直に喜んだ師走の一日でした。友峰和尚より

第486話

2014-12-17

NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」もこの日曜日で最終回を迎えるそうですが、和尚も久しぶりにドラマを毎回欠かさずに見てきました。と言いますのも、学校で習った歴史などは昔々の話で、自分の年齢も若く先生の話もあまり実感として捉えることが出来ていなかった為、この歳になってその時代の人物や出来事に再び触れる事には大きな意義を感じ取ることが出来ます。しかも史実に基づいて忠実に作られているという事になりますと、尚更です。

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勿論今回のドラマの主役でもある岡田准一さんのはまり役ともいえる黒田官兵衛の迫真の演技が和尚の心を捉えたのかも知れません。いづれにしましても、関ヶ原の天下分け目の大勝負までの出来事を理解でき、改めて感動を覚えたものでした。昨日卑山で発見された棟札が、今日の地元の新聞に大きく掲載されました。過去の歴史を知る上において、棟札のような歴史を刻む物件がその当時の状況を伝える大切な証拠となります。我々もまた後世に自分の生きた証を色々な形で残しておきたいものですね。国政選挙が終わった途端に日本全土が爆弾低気圧の襲来で大嵐となっています。そんなみぞれ混じりの強風の中、今日もめげずに本堂屋根修復工事の大工さんの垂木に釘を打ちつける金槌の音が終日聞こえていました。まるで歴史を刻んでいくかのような気がした金槌の音でした。歴史を知る為にはまだまだドラマよりも尚、見えない場所で活躍して来た人々が居る事を知る一日となったようです。友峰和尚より

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